会社の業績が良いときというのは、銀行から融資を受けるにも苦労が少ないものですが。
業績が悪くなったときのことを考えて、業績が良いときにこそ講じておくべき具体策についてお話をしていきます。
驕る平家は久しからず、にならぬよう。
会社の業績が良いときというのは、銀行から融資を受けるにも苦労が少ないものです。銀行は業績が良い会社に融資をしたいと考えるので、会社は融資を受けやすい。
また、業績が良い会社は資金繰りが順調なので、そもそも銀行融資の必要性がなかったりもするでしょう。その結果、なにが起きるか?
業績が悪くなったときのことを考えていない。業績が悪くなったときのために策を講じていない。そしていざ業績が悪くなったときに困ってしまう… というパターンはけして少なくありません。
そこで。業績が悪くなったときのことを考えて、業績が良いときにこそ講じておくべき具体策についてお話をしていきます。こちらの5点です↓
- 取引銀行を増やしておく
- メインバンクをつくっておく
- 信用保証協会の枠を空けておく
- あらかじめ融資を受けておく
- 貸借対照表をキレイにしておく
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
メインバンクをつくっておく銀行融資は「業績が悪くなったとき」を考えておく!の具体策5選
【具体策1】取引銀行を増やしておく
業績が悪くなったときに、取引銀行が少ない、それも1つしかないということになれば。その銀行から融資を受けられないと、会社は困ったことになってしまいます。
そのときになって、ほかの銀行に駆け込むようでは足元を見られますので、融資を受けるのは困難です。ゆえに、取引銀行を増やすのであれば、「業績が良いとき」が狙い目になります。
取引のない銀行から融資セールスを受けるためには、次のようなことを準備しておくとよいでしょう↓
- 預金口座を開設する
- 帝国データバンクの調査依頼を受ける
- 銀行の飛び込みセールスを受け入れる体制をつくる
くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
[kanren postid="29793"]これらは「民間銀行」に関して、になりますが。これとは別に、公的な銀行である「日本政策金融公庫」とも取引(融資を受ける)をしておきましょう。公的だけに、業績が悪いときにも柔軟な対応を期待できる銀行です。
業績が良いときであればなお、取引をしやすいのですから。業績が悪くなる前に、取引をはじめて実績をつくっておきましょう。
【具体策2】メインバンクをつくっておく
取引銀行を増やすときに、注意をすべきことがあります。それは、メインバンクがどこか? を決めておくことです。
メインバンクの定義はいろいろありますが、表面的には「融資残高が一番多い」という特徴があります。この点で、取引銀行の融資残高が「横一線」にならないように気をつけましょう。
どこも似たような融資残高となると、どの銀行にも「メインバンク」との自覚がなくなります(メインバンクは会社が決めるものではなく、銀行の側が決めるものです)。会社にとってのメインバンクがなくなってしまう。
メインバンクがあると、会社の業績が悪くなったときにでも支援を期待できます(融資残高が大きいがゆえに潰れたら、メインバンクは困るので)。メインバンクが支援をするなら、とほかの取引銀行も支援をしてくれる可能性が高まります。
ところが、メインバンクがないと。どの銀行も「様子見」です。どこも支援をしないのに、じぶんだけが支援をした結果、会社に潰れられたら困ります。だから、様子見になる。結局、会社はどこからも支援が受けられない…
ということがないように。会社は業績が良いうちに、融資が受けやすいうちに、戦略的・計画的に融資を増やしながらメインバンクをつくっておくようにしましょう。
逆に、場当たり的な融資で、取引銀行が分散しないように注意が必要です↓
【具体策3】信用保証協会の枠を空けておく
民間銀行からの融資には、大きく分けて2つ。信用保証協会付き融資と、プロパー融資とがあります。
信用保証協会付き融資とは、会社が返済できないときには信用保証協会が肩代わりをしてくれる融資。銀行としては安心な融資です。いっぽうのプロパー融資は、信用保証協会の保証がない融資。銀行が100%リスクを負う融資になります。
では、会社の業績が悪いときに受けられる確率が高いのはどちらの融資か? 銀行にとって安心な信用保証協会付き融資のほうですよね。
けれども、その信用保証協会付き融資には「枠」があります。金額的な制限(会社の規模・状況によって異なる)があるのです。にもかかわらず、その枠がいっぱいになってしまえば、業績が悪いときの融資は期待できません。
そこで会社は、業績の良いときにこそ、プロパー融資を受けて信用保証協会付き融資の枠を空けておくようにしましょう。枠を空けておくことができれば、業績が悪くなったときにも融資を受けられる可能性が高まります。
会社の業績が良いからといって、銀行のほうから進んでプロパー融資を提案してくれるわけでもありません(銀行にとってはリスクが大きな融資なので)。ですから、会社のほうからプロパー融資を引き出していくことが必要になります。そのあたり、こちらの記事も参考にどうぞ↓
【具体策4】あらかじめ融資を受けておく
銀行融資はおカネが無くなったとき、足りなくなったときに受けるもの。と、考えている社長がいます。
これは間違いです。おカネが無い、おカネが足りないヒトに、おカネを貸したいと思いますか? 思いませんよね、というハナシです。銀行だって同じであることを理解しておきましょう。
だから、おカネが無くなる前、足りなくなる前にあらかじめ融資を受けておく。これが、銀行融資に対する正しい考え方になります。
具体的には、会社の業績が良いとき。業績が良ければ、銀行は融資をしやすいのですから、そのタイミングであらかじめ融資を受けておくのがベストです。
いま使わないおカネを借りるなんてイヤだ。利息だってもったいない。そう思われるかもしれませんが。そのおカネが、いざというときの助けになる。そう考えると、利息はいざというときのための保険料です。
業績が悪くなってから、銀行に駆け込む。結果、融資を断られる。なんて銀行はヒドいんだ! と文句を言う。これは銀行がヒドいのではなく、会社の理解不足・準備不足でしかありません。気をつけましょう。
【具体策5】貸借対照表をキレイにしておく
会社の業績が悪い、つまり、赤字の会社は融資が受けにくい。これは、決算書で言うと「損益計算書」の話です。
赤字でも、融資が受けられるかどうかの分かれ目になるものとして、「貸借対照表」が挙げられます。貸借対照表がキレイだと、まだ望みはある。逆に貸借対照表がキレイではないと、融資は望み薄になります。
では、ここで言う「貸借対照表がキレイ」とは?
おかしな資産が無い、ということです。たとえば、売掛金のなかに不良債権や架空債権がある。在庫のなかに不良在庫や架空在庫がある。社長への貸付金がある。仮払金がたくさん残っている。含み損を抱えた有価証券がある。利益を生み出してない固定資産がある… などなど。これらは「おかしな資産」の代表例です。
赤字の原因はそういうところにあるのではないか? だとしたら、ここで融資をしても、赤字は改善しないのではないか? 貸すのはやめておこう。と、銀行は考えることでしょう。
もちろん、黒字のときにも同じように、銀行は貸借対照表を見ています。けれども、赤字のときにはよりいっそう注意深く見られるものです。黒字のときには「ま、いっか」と見逃されたところも、赤字となればそうはいきません。
ですから、会社は業績が悪くなったときのことも考えて、業績が良いうちに、貸借対照表をキレイにしておきましょう。
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まとめ
会社の業績が良いときというのは、銀行から融資を受けるにも苦労が少ないものですが。
業績が悪くなったときのことを考えて、業績が良いときにこそ講じておくべき具体策を押さえておきましょう。
- 取引銀行を増やしておく
- メインバンクをつくっておく
- 信用保証協会の枠を空けておく
- あらかじめ融資を受けておく
- 貸借対照表をキレイにしておく