顧問税理士を替えること自体に問題はないけれど。場合によっては、銀行融資に悪い影響を与える。融資が受けにくくなるので気をつけましょう、というお話です。
税理士と銀行融資になんの関係があるのか?
会社を続けていると、「顧問税理士を替える」ということはあるものです。替えること自体に問題はありませんが、「銀行融資」に与える影響は理解しておくようにしましょう。
場合によっては、悪い影響があり、銀行融資が受けにくくなることもあります。困りますよね。でも、税理士と銀行融資になんの関係があるんだ? と、不思議に思われるかもしれません。
というわけで、顧問税理士を替えることが銀行融資に与える影響についてお話をしていきます。ぜんぶで3つ、こちらです↓
- 決算書が変わる
- 税理士署名が変わる
- 銀行対応が変わる
顧問税理士を替えるのであれば、これら3つの影響に気をつけて銀行対応するようにしましょう。それではこのあと、順番に見ていきます。
顧問税理士を替えることが銀行融資に与える3つの影響
【影響1】決算書が変わる
顧問税理士を替えることが銀行融資に与える3つの影響、1つめ。それは、「決算書が変わる」です。決算書が変わるとは、どういうことかというと。
まず、顧問税理士が替わると「会計ソフト」が変わることがあります。あたらしい税理士から、「こちらの会計ソフトがおすすめです」みたいなハナシがあって、税理士とあわせて会計ソフトも変わるようなケースです。
会計ソフトが変わると、決算書の「見た目」が変わります。フォントや線の太さなど、細かいところですが、会計ソフトによって「見た目」は異なるものです。
銀行もそこはけっこう見ていて、税理士が替わったわけではなくても、「会計ソフト、変わりました?」などと聞かれることはあります。このとき、銀行はなにを考えているのか。
いわゆる「二重帳簿」です。世の中には、銀行に対して業績を良く見せるために、「銀行用」の決算書をつくる会社があります。真実の決算書とは別に、粉飾(利益や資産の水増し)した決算書をつくる会社があります。
その「銀行用」の決算書をつくるのに、別の会計ソフトを使うことがあるので、銀行は決算書の「見た目」の変化を気にしているわけです。なので、会計ソフトを変えるときには、その理由や経緯を銀行に伝えておくとよいでしょう。
また、「決算書が変わる」ということで言えば、もっと本質的なところで変わるケースもあります。税理士が替わったことで、経理処理が変わるケースです。
たとえば、同じ経費でも、税理士によっては使用する「勘定科目」が違ったりします。前年までは通信費にしていたのに、今年からは広告宣伝費に… みたいなことがあります。
すると、前年と今年の決算書とを比較したときには、だいぶようすが変わって見えることはあるわけです。
さらに言えば。税理士が変わったことで、貸付金や仮払金の経理処理が増えたり、減価償却費や未払金の経理処理が以前よりもルーズになる… というケースもあります。これらは、銀行から嫌われる経理処理であり、融資には悪影響です。
このあたり、会社が理解をしていないと(税理士に経理処理を丸投げしているようだと)、税理士を替えただけなのに、知らないうちに銀行融資が受けにくくなっていた… ということがあります。
経理処理や決算書は、税理士に丸投げ・任せきりにはせず、だいじなポイントは押さえるようにしましょう。具体的には、当ブログでもいろいろと記事を投稿しています↓
【影響2】税理士署名が変わる
顧問税理士を替えることが銀行融資に与える3つの影響、2つめ。それは、「税理士署名が変わる」です。税理士署名が変わるとは、どういうことかというと。
会社が毎年、税務署に提出する「税務申告書」には、顧問税理士の署名欄があります。具体的には、「別表一」という書類の右下です。
したがって、毎年の申告書を並べてみれば、顧問税理士が替わったことはわかります。銀行もまた、これを見て、「税理士が替わった」と気づいていたりもします。
このとき、銀行が考えることは「なにかトラブルがあったのではないか?」ということです。たとえば、粉飾決算。
銀行融資を受けたいがために、粉飾をする会社があります。そこで、会社が税理士に対して、粉飾の相談をする、粉飾の経理処理を依頼する。ところが、税理士としては粉飾に加担するわけにもいきませんから、「だったら顧問はできない」と断る。
結果として、顧問税理士が替わることはあるものです。
また、税金面でのトラブルというケースもありえます。会社が、税金を納めたくないばかりに、税理士に対して売上を隠していたり、架空経費の領収書を用意していたり… つまり、脱税です。これに気づいた税理士から、「顧問はできない」と断られてしまう。
やはり、結果として、顧問税理士が替わることになります。
粉飾にしても、脱税にしても。やってはいけないことですから、やってはいけないことをしている会社に、銀行は融資をするわけにはいきません。ですから、銀行は粉飾や脱税を警戒しています。
この点で、銀行が税理士署名欄を確認していることは覚えておきましょう。そして、顧問税理士を替えるときには、その理由や経緯を銀行に伝えておくのがよいでしょう。
[ad1]【影響3】銀行対応が変わる
顧問税理士を替えることが銀行融資に与える3つの影響、3つめ。それは、「銀行対応が変わる」です。銀行対応が変わるとは、どういうことかというと。
会社が銀行融資を受けるにあたって、顧問税理士が銀行対応に関わることがあります。たとえば、決算報告に同席をしたり、試算表の補足説明をしたり、資金繰り表の作成をサポートしたり。
この点で。税理士を替えたことにより、銀行対応に変化が生じるケースはあるものです。税理士との契約内容や税理士の姿勢によっては、顧問税理士が銀行対応にまったく関わらないこともあるでしょう。
以前の税理士は銀行対応に積極的、こんどの税理士は消極的、ということになれば。銀行融資には、悪い影響が起きる可能性が高くなります。
もちろん、税理士のサポートがなくても、会社自身でじゅうぶんな銀行対応ができるのであれば問題はありません。ところが問題は、会社だけではじゅうぶんな銀行対応ができないときに起こります。
いままでは顧問税理士経由で、欲しい書類がもらえたり、欲しい情報を確認できたのに。税理士が替わったら、それができなくなってしまった… 銀行としては不便ですし、結果として融資をしにくくもなります。
ときとして、顧問税理士は「会社と銀行」との通訳機能を果たすものです。銀行が会社に伝えたいことを、税理士がわかりやすく会社に伝える。逆に、会社が銀行に伝えたいことを、税理士がわかりやすく銀行に伝える。
銀行はえてして、会社に対して言葉を端折ります。と言っても、「悪意」があるわけではなく、立場上なかなか言いにくいことはあるからです↓
こういったことを、顧問税理士があいだに入って通訳できると、銀行対応はスムーズになります。
また、決算書や試算表、資金繰り表、経営計画書など、会社から銀行に書類を提出する際、書類を渡すだけでは、銀行からすると「よくわからない」ことはあるものです。そのときにも、顧問税理士があいだに入って通訳できるとスムーズになります。
ですから、顧問税理士を替えたことで、銀行対応に変わった部分はないか。以前よりも銀行に不便をかけている部分はないか。会社は確認をしておくようにしましょう。そのうえで、必要に応じて、あたらしい税理士に銀行対応の依頼・相談をするのがおすすめです。
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まとめ
顧問税理士を替えること自体に問題はありませんが、銀行融資に与える影響は理解しておくようにしましょう。場合によっては、悪い影響があり、銀行融資が受けにくくなることもあります。
顧問税理士を替えるのであれば、3つの影響に気をつけて銀行対応するようにしましょう。
- 決算書が変わる
- 税理士署名が変わる
- 銀行対応が変わる