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まもなく訪れる『コロナ後融資』のトレンド3つ

まもなく訪れる『コロナ後融資』のトレンド3つ

ワクチン接種もはじまり、いよいよ「コロナ後」が見えてきました。というわけで、コロナ後融資のトレンド」について、お話をしていきます。

目次

いよいよ、コロナ後。

きょうは 2021年6月16日。ワクチン接種もはじまり、いよいよ「コロナ後」が見えてきました。この点で、銀行融資はどうなっていくのか?

コロナ禍では、セーフティネット保証を中心とした「救済型」の融資が広く利用されたわけですが。コロナ後は、そこにどのような変化があるのか。

というわけで。わたしが考える「コロナ後融資のトレンド」について、お話をしていきます。具体的には、こちらです↓

まもなく訪れる「コロナ後融資」のトレンド3つ
  1. プロパー融資
  2. 伴走支援型特別保証制度
  3. オンライン融資

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

まもなく訪れる「コロナ後融資」のトレンド3つ

【トレンド1】プロパー融資

民間銀行の融資は、大きく2つに分かれます。「信用保証協会の保証付き融資」と「プロパー融資」です。

信用保証協会の保証付き融資とは、信用保証協会の保証が付いた融資。会社が返済できなくなった場合には、信用保証協会が返済を肩代わりします。よって、銀行にとっては安心・安全な融資です。

いっぽうのプロパー融資は、信用保証協会の保証が無い融資。会社が返済できなくなった場合には、銀行が 100%の損をかぶります。銀行にとっては、リスクが大きい融資です。

このうち、コロナ禍で多く利用されたのは、「信用保証協会の保証付き融資」になります。その典型が、セーフティネット保証による融資でした。

けれども、コロナ後に「平時」を迎えると流れは変わります。プロパー融資のウェイトが高まる、という変化が起きるでしょう。

さかのぼって 2018年、中小企業信用保険法という法律が見直されました。銀行も会社も、長らく信用保証協会付き融資に「依存」する体質が続いたことを受けて、「なんでもかんでも信用保証協会付き融資にするな」という見直しです。つまり、「もっとプロパー融資をしなさい」と。

コロナ後は、この見直しの流れに「戻る」ことになるはずです。コロナ禍では、いったん止まっていた流れに、ふたたび戻るはずです。

したがって、会社はプロパー融資を受けられるように準備しなければいけません。具体的には、利益を出すこと。プロパー融資は、銀行にとってリスクが大きい融資ですから、審査が厳しくなります。

その審査で重視されるのが「利益」です。依然、コロナの影響によって厳しい状況の会社も少なくありませんが、コロナ後を迎えようとしているいま、利益改善は待ったなしの状況でと考えておきましょう。

また、銀行がプロパー融資の審査をするにあたっては、「事業性評価」もポイントになります。

事業性評価とは、数字だけではなく、数字にはあらわれない「事業の内容・成長可能性」も評価しよう、という考え方です。金融庁が、銀行に対して要請している考え方でもあります。

ですから会社は、利益(数字)を出すことに加えて、「事業の内容・成長可能性」もアピールしていくようにしましょう。アピールをするためのツールとして、経済産業省が提供している「ローカルベンチマーク」が役立ちます。

くわしくは、こちらの記事を参考にどうぞ↓

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【トレンド2】伴走支援型特別保証制度

2021年4月から、コロナ後を見据えた融資として「伴走支援型特別保証制度」がはじまりました。概要としては、次のとおりです↓

  • 保証限度額 … 4,000万円
  • 保証期間 … 10年以内
  • 据置期間 … 5年以内
  • 金利 … 銀行による
  • 保証料率 … 0.2%

なお、本制度は「信用保証協会」の保証(「セーフティネット保証」あるいは「危機関連保証」)を必要とします。ゆえに、会社は「信用保証料」を支払わなければいけませんが、保証料率は原則 0.85%であることを考えると、0.2%はかなりの優遇です。

というように、伴走支援型特別保証制度は、通常の融資に比べて有利な面があります。ただし、利用するためには、一定の「要件」を満たさなければいけません。

その要件として挙げられているのが、「経営行動計画書の作成」と「銀行による四半期モニタリング」です。制度を利用したければ、いわゆる「経営計画書」をつくりなさいよ。そして、四半期にいちど、銀行のモニタリングを受けなさいよ、ということになります。

これを聞いて、「別に、伴走支援型特別保証制度なんて利用しないし」と考えるのは尚早です。本制度の開始から読み取るべきは、「経営計画書と、銀行のモニタリングの重要性が高まった」というところにあります。

今後は、本制度を利用するかどうかにかかわらず、融資全般について、経営計画書の作成や銀行のモニタリングが広がっていくのではないか。というのが、わたしの考えです。

モニタリングをするためには、あたりまえに「試算表」も必要になります。そのあたり、会社は準備を整えておくようにしましょう。

なお、経営計画書の作成にあたっては、「数字」ばかりではなく、「事業の内容」を明らかにすることも大切です(前述の「事業性評価」ともリンクします)。

このとき、「地域への貢献」は、ひとつのキーワードになります。中小企業がおもに融資を受けるのは、地域金融機関(地方銀行、信用金庫・信用組合)です。その地域金融機関には、「地域貢献・地域といっしょに成長」というミッションがあります。

したがって、会社の「事業の内容」と、地域金融機関の「ミッション」とに関わりがあるほど、地域金融機関はその会社を応援しやすくなる。つまり、事業の内容に「地域への貢献」が多い会社ほど、地域金融機関からの融資が受けやすくなる、ということです。

経営計画書を通じて、自社の「地域への貢献」をアピールしていくようにしましょう。

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【トレンド3】オンライン融資

オンライン融資とは。その名のとおり、「申し込みから審査・入金までオンライン(インターネット)を利用して行う融資」を言います。

銀行口座の取引履歴、会計データ、企業間の決済情報、ソーシャル情報(インターネット上の口コミ)などの膨大な情報を「 AI( 人工知能)」によって分析する、といったところが特徴です。

そんなオンライン融資が、コロナ後は「いままで以上」に注目されるものと考えます。理由は次の3つです↓

  • 申し込みから入金までが速い
  • 人と会わなくていい
  • 審査の手間が少ない

コロナ禍で銀行融資を目一杯まで受けた会社は、これ以上の融資を受けにくい状況にあります。そのなかで、どうしてもおカネが必要という場面では、「申し込みから入金までが速い」オンライン融資が、選択肢にあがるでしょう。

また、コロナを経て、新しい生活様式が定着しました。この点で、申し込みでも審査でも「人と会わなくていい」オンライン融資は、通常の銀行融資に対するメリットだと言えます。

また、オンライン融資は、通常の銀行融資よりも必要書類が少なく「審査の手間が少ない」のもメリットです。

このあたりは、会社にとってのメリットであるのと同時に、銀行にとってのメリットでもあります。銀行の業績悪化や再編にともない、銀行員の数が減っている・減っていくことは報道のとおりです。

銀行がこれまでのように「手間ひまかけている余裕がない」と考えると、オンライン融資は銀行にとって必要なツールにもなるでしょう。

では、会社がオンライン融資を利用するにあたって気をつけるべきことはなにか? おもに次の3つです↓

  • 対象者が狭い
  • 融資金額が少ない
  • 返済期間が短い

オンライン融資では、特定の会計ソフトを利用していることが条件であったり、特定の銀行に口座があることが条件であったりと、対象者が狭くなっています。

オンライン融資では、審査材料である「データ」を必要とするため、しかたのないところでしょう。したがって、自社はどんなオンライン融資を利用できるのか、いまのうちに調べておきましょう。

また、オンライン融資は、通常の銀行融資に比べると融資金額が少ないのはデメリットです。少ないものだと「300万円まで」や「500万円まで」、多いものでも「1,000万円まで」となっています。

さらに、返済期間が短く、長くても1年ていど。融資金額といい、返済期間といい、中長期での資金繰り改善としては心もとないものがあるでしょう。おまけに、金利も高いです。

よって、オンライン融資は「あくまで一時利用、銀行融資の補助的手段」との考えが妥当だと言えます。

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まとめ

ワクチン接種もはじまり、いよいよ「コロナ後」が見えてきました。

というわけで、「コロナ後融資のトレンド」も見据えておきましょう。きょうの記事が、その参考になるようであれば幸いです。

まもなく訪れる「コロナ後融資」のトレンド3つ
  1. プロパー融資
  2. 伴走支援型特別保証制度
  3. オンライン融資
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