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融資を受ける会社の『商売』を銀行に伝えるときのポイント3つ

融資を受ける会社の『商売』を銀行に伝えるときのポイント3つ

銀行は、融資先の「商売」を理解できなければ融資ができません。

というわけで、融資を受ける会社の「商売」を銀行に伝えるときのポイントについてお話ししていきます。

目次

銀行は「商売」がわからなければ融資ができない。

銀行から融資を受ける会社がすべきことのひとつに、「自社の商売を銀行に伝える」が挙げられます。商売、つまり、会社がどのような事業をしているのかを銀行に伝える、ということです。

銀行は、融資先の「商売」を理解できなければ融資ができません。本来、事業の内容や将来性(過去の業績だけでなく)を含めて、融資審査をすべきだからです。

ところが、融資先の商売をうまく理解できずに、融資がしにくい状態になっているケースもあります。これは、銀行に問題があるだけではなく、会社にも問題があると言えるでしょう。

なぜなら、自社の「商売」を銀行に伝えようとしていない会社もあるからです。

いやいや、ちゃんと伝えている。そう思われるかもしれませんが。このあとお話する3つのポイントに問題はないか、すべて押さえられているか、確認をしてみましょう↓

融資を受ける会社の『商売』を銀行に伝えるときのポイント3つ
  1. だれに・なにを・どのように
  2. ホームページを更新する
  3. 現場・現物を見せる

これらのポイントが押さえられていないと、銀行はじゅうぶんに商売を理解していない可能性があります。ひいては、融資が受けにくくなってしまいます。困りますよね。

というわけで。このあと、3つのポイントを順番に見ていきましょう。

融資を受ける会社の『商売』を銀行に伝えるときのポイント3つ

【ポイント1】だれに・なにを・どのように

銀行に伝えるべき「商売」の内容を、端的に言うと、「だれに・なにを・どのように売るか?」です。きわめてシンプルなことなのですが、意外と銀行は理解していませんので気をつけましょう。

たとえば、同じ「既製品A」を売るにしても、事業者に売る会社もあれば、消費者に売る会社もあります(だれに)。また、同じ「消費者」に売るにしても、「既製品」を売る会社もあれば、「自社製品」を売る会社もあります(なにを)。さらには、同じ「既製品A」を売るにしても、店頭販売する会社もあれば、ネット販売する会社もあります(どのように)。

これらは一例に過ぎず、実際には「だれに・なにを・どのように売るか?」は、百社百様です。にもかかわらず、銀行担当者は「〇〇業」くらいの理解しかしていないケースが散見されます。

これでは、銀行に自社の強み、自社の良さを評価してもらうことができません。結果として、融資が受けにくくなってしまいます。だから、会社はみずから、自社の商売を銀行に伝える必要があるのです。

ちなみに。「だれに」とは、「顧客をどう選択するか」を意味します。「なにを」とは、「自社がなにに集中するか」を意味します。「どのように」とは、「競合とどう差別化するか」を意味します。

つまり、自社の「選択・集中・差別化」の戦略が、「だれに・なにを・どのように売るか?」です。

これは、「顧客(Customer)・自社(Company)・競合(Competitor)」の頭文字をとって「3C」と言われる王道の「フレームワーク」でもあります。

対銀行ばかりではなく、会社が今後の方向性を考える、経営計画を考えるといった場面でも、3Cは必須です。ぜひとも、「明文化(文字に・言葉にできるように)」しておきましょう。

そのうえで、銀行に伝えるときには、「業務フロー」と「商流図」をつくって提示するのがおすすめです。文章を羅列するよりも、格段に「可視化」のレベルが上がります。

ツールとしては、経済産業省が提供する「ローカルベンチマーク」を利用するとよいでしょう。そのあたり、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓

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業務フローも、商流図も、「だれに・なにを・どのように」という部分を、言葉にすることを意識してつくるようにしましょう。

【ポイント2】ホームページを更新する

銀行もまた、融資先の「商売」を理解しようと試みています。そのひとつが、融資先のホームページのチェックです。昔に比べれば、ホームページをつくっている会社も増えましたので。

したがって、融資を受けている会社は、「銀行にも見られている」ことを前提に、ホームページをつくるようにしましょう。さらに言うと、銀行にも見られていることを前提に「きちんと更新」しましょう。

言うまでもなく、古い情報のままでは、銀行が商売を理解するのに役立たたないからです。

銀行は、けっこうホームページから会社の情報を取得してることがあり、銀行担当者から「ホームページで見たのですが…」というハナシをされることがあります。

これに対して、社長が「あぁ、それは古い情報で。いまは、…」と訂正をするケースが散見されます。銀行担当者がハナシをしてくれれば訂正もできますが、必ずしもハナシをしてくれるわけでもないでしょう。

その場合、せっかく「良い情報(ユーザーに好評、顧客が増えた、新製品ができた、マスコミに取り上げられた、など)」があるにもかかわらず、ホームページを更新していないばかりに、銀行に評価してもらえないのでは残念です。

いっぽうで。いまだに、「ネット閲覧」や「ネット情報の印刷」が制限されている銀行もある、と聞きます。

そう考えると、ホームページの更新だけではなく、「紙」で用意して渡すということも検討すべきところです。じゃあ、ホームページを印刷して渡せばいいか、というと。あまりおすすめはできません。

ホームページをそのまま印刷すると、余計な余白が多かったり、余計な情報まで印刷されることが多く、ムダに枚数が多くなってしまいます。すると、銀行も見るのにメンドーです。せっかくの情報が、読み飛ばされる可能性を否定できません。

紙で渡すのであれば、あらためて最新情報をまとめておくのがよいでしょう。ちなみに、「会社概要」はいつでも最新情報を渡せるようにしておくことをおすすめします。

銀行担当者が変わったときや、あたらしい銀行と取引をはじめるときなど、ことあるごとに利用機会はあるものです。

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【ポイント3】現場・現物を見せる

銀行に自社の商売をより理解してもらうためには、「現場・現物」を見せることも効果的です。たとえば、店舗・事務所内、工場、倉庫といった「現場」。実際の商品、サービスの体験といった「現物」です。

いま銀行では、「事業性評価」の流れもあり、現場の確認が増えています。事業性評価とは、カンタンに言うと「事業の内容や成長可能性の評価」であり、まさに「商売の理解」にあたるものです。

などと言われても、いまさら感はありますが。長きにわたって「決算書偏重、担保・保証偏重」にあった評価を、かつての「目利き」による評価に回帰しようという金融庁主導の動きでもあります。

ですから、銀行の側でも「現場が見たい」ということはありますので、会社の側から積極的に見せるのもいいでしょう。少なくとも、「見たい」と言われているのに断るところではありません。

ただし、現場を見られるときには、注意すべきこともありますので。その「準備・確認」はしておくようにしましょう。こちらの記事を参考にどうぞ↓

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なお、「現物」についても、ぜひ、銀行員(担当者や支店長など)に商品・サービスの体験をしてもらうとよいでしょう。体験してみてはじめてわかる良さ、は必ずあるものです。

実際、体験してもらったあと、支店長みずからすぐに顧客を紹介してくれたケースもあります。商品が気に入って、みずから購入してもらったケースもあります。

紹介や購入自体が目的ではありませんが、商品・サービスの体験を通じて、銀行の「商売」に対する理解が深まるのは大きなメリットだと言えるでしょう。

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まとめ

銀行は、融資先の「商売」を理解できなければ融資ができません。本来、事業の内容や将来性(過去の業績だけでなく)を含めて、融資審査をすべきだからです。

今後は、事業性評価の重視により、ますます「商売」を理解する必要性は高まります。融資を受ける会社は、「商売」を銀行に伝えるときのポイントを押さえておきましょう。

融資を受ける会社の『商売』を銀行に伝えるときのポイント3つ
  1. だれに・なにを・どのように
  2. ホームページを更新する
  3. 現場・現物を見せる
融資を受ける会社の『商売』を銀行に伝えるときのポイント3つ

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