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『わからないことは税務署へ相談に行こう』というときの注意点

税務署へ相談に行く

これって経費にして大丈夫なのかなぁ・・・ というときに、税務署へ相談に行くという方法があります。

税務署では、無料で相談を受け付けていますので、じぶんで経理・申告をしている人には便利なサービスです。

けれども、気を付けるべきいくつかの注意点がありますよ。というお話です。

目次

『わからないことは税務署へ相談に行こう』というときの3つの注意点

顧問税理士がいなく、じぶんで経理をしている。じぶんで税金の申告をしているという場合。

どうしてよいかよくわからない、ということもあるでしょう。

  • これは経費でいいのかなぁ・・・?
  • この収入って、税金がかかるんだろうか?
  • 申告書の書き方がわからない・・・ などなど

ネットで調べても確信が持てない。本で見てもはっきりしない。

そんなときのひとつの方法が、「税務署へ相談に行く」ということ。

税務署では相談を受け付けていますので、税務署の職員さんから無料で回答を得ることができます。

じぶんで経理・申告をしている人にとっては、役立つサービスと言えるでしょう。

ただし、「税務署での相談」というサービスを利用する場合に。税理士であるわたしの眼から見て、注意をすべきことがいくつかあります。次の3つです ↓

【 税務署へ相談に行くときの注意点 】

  1. 節税は期待できない、と心得よ
  2. 相談内容はきちんと記録に残す
  3. 回答の根拠を確認する

それでは、順番に見ていきましょう。

 

《注意点1》節税は期待できない、と心得よ

誤解を恐れずに言えば。税務署の仕事というのは、「税金を取る」ことです。

したがって、税金を増やすことには熱心ですが、税金を減らすことについては関心が薄い(むしろ、関心がない)。そりゃそうだ、ということです。

つまり。相談はできるけれど、税金を減らす、いわゆる「節税」は期待できません。基本的に、原則的に期待できない(ごくごくまれに例外はありうるがあくまで例外、そういうレベル)。

ですから、わからないことを解決するだけではなく、節税まで求めるというのであれば。税務署へ相談に行く、という方法は最適だとは言えません。

その場合、おカネはかかりますが、「税理士に相談する」というのがおすすめの方法になります。

税務署の仕事は「税金を取る」ことであると理解し、無料のサービスに過ぎないという割り切りが必要です。

もっとも、国には税金を納めているのだから、ただしくは「有料」だろうという主張もありますが。税理士に支払う報酬とは性格を異にする、ということですね。はい。

 

《注意点2》相談内容はきちんと記録に残す

これまた誤解を恐れずに言えば。相談を受け付ける税務署の職員さんすべてが「相談に回答するに足るほど税金に詳しい」わけではありません。

適切なたとえかどうかはともかく、税務署をフツーの会社に置き換えてみると。

会社の中には、優秀な社員もいれば、そうでない社員もいます。この道ウン十年のベテラン社員もいれば、今年入社したばかりの新人社員もいるでしょう。

そんな社員ひとりひとりの仕事に関する知識、経験、習熟度が一様であるはずはなく。もっと言えば、仕事に対する熱意や姿勢も異なります。

ここで話を税務署に戻してみると。相談を受けてくれる職員さんはいろいろだ、ということです。いろんな人がいる。

もう少しハッキリ言ったほうがいいですね。あなたがただしい回答を得られるか、誤った回答を得ることになるかは、相談時の職員さんしだい。そういうことです。

このこと自体は非難をすべきことと言うよりは、「当然に起こりうること」として備えることが重要です。

のちのちのトラブルに備えて記録に残すべきこととは?

というわけで。税金のプロフェッショナル的イメージの税務署であっても、まちがった回答をすることはありえます。

たとえば、ほんとうは経費にしてはいけないのに、「経費でいいですよ」と言われた。それにしたがって申告をした。

実はその回答はまちがっていて、後日の税務調査で指摘を受けた。間違ったのはワタシじゃなくて、税務署の職員さんなのに・・・ というケースは想定できます。

そういうトラブルを見越して、相談時の内容は、きちんと具体的に記録にのこしておくことをおすすめします。

記録に残してあるからと言って、税務調査での指摘がくつがえる(勘弁してもらえる)かどうかは別の話ではありますが。

場合によっては、勘弁してもらう交渉材料になりうるでしょう。少なくとも、わざとやったのではない、悪意だってなかった、というような説明材料にはなります。

そのために残すべき記録は次のとおり ↓

【 税務署へ相談に行った際に残すべき記録 】

  • 相談の日時
  • 相談をした税務署名
  • 相談をした税務署職員名
  • 相談の内容と税務署の回答内容
  • 相談時に持参して提示した書類(領収書、契約書など)は何であったか(その書類も保存しておく)
  • 回答時に税務署から受け取った書類(パンフレット、説明文書など)は何であったか(その書類も保存しておく)

相談後、税務署とのあいだでトラブルが生じた際には、上記の記録をもとに交渉をできるよう備えておきましょう。

 

《注意点3》回答の根拠を確認する

さいごの注意点になります。相談に対する回答については、「根拠」を求めるようにしましょう。

ここで言う「根拠」とは、税法のこと、法律のことです。

たとえば、ある支払について経費かどうかを相談したとします。税務署の職員さんは「それは経費ではないですね」とだけ回答したとして。

あなたは「はぁ、そうですか」で終わってはいけません。次のように根拠を求めることをおすすめします ↓

【 税務署の回答に根拠を求める会話例 】

そうですか、結論はわかりました。

わたしも(税金のことはよくわからず)きちんと理解したいので、根拠になる法律条文をおしえてください

「法律条文(ほうりつじょうぶん)」とは、「所得税法 〇条 △項 ◇号 なんたらかんたら・・・」という税法の文章のこと。 

わたしが書いておいてナンですが、これは嫌がられるでしょうね。税務署からしたら、とってもメンドーな奴ですねぇ。

とはいえ。これが相談をするあなたのためでもあるし、回答をする税務署のためでもある。わたしはそう考えています。

税金には「税法(法律)」という明確な基準がある以上、必ずなにかしらの法律条文を根拠に判断するのがただしい姿です。

ゆえに税務署は回答をする以上、その回答には責任を持って、根拠を示してほしいというのは当然の要求であり、決しておかしなことではありません(メンドーではあるでしょうが・・・)。

こうして根拠条文を求めることで、あいまいな回答、あやふやな回答を避け、よりたしかな回答を得ることにつながります。

職員さんによっては、「調べるのに時間がかかる」ということもあるかもしれませんが。待つなり、後日に電話で回答いただくなり、よろしくお願いするとよいでしょう。

ちなみに。相談内容のすべてについて根拠条文を求めよ、との話ではありません。金額面などで影響度合いが大きいなぁ、という「ここぞ」の相談内容のときに求めるのがおすすめです。

また、せっかく根拠条文を教わったのなら。ぜひあなたも、その文章を一読してみましょう。いまは誰でもネット(e-Gov法令検索など)で法律を確認できます。

専門的なものですからすべては理解できないかもしれませんが、理解できる部分、得られることは必ずあるはず。なにごとも勉強です。

 

まとめ

『わからないことは税務署へ相談に行こう』というときの注意点についてお話をしてきました。

世間一般に、税務署には「怖い」というイメージがあるようで。できれば行きたくない、関わり合いになりたくない、という声もお聞きします。

ですが、こちらがきちんとしている限り、恐れることはなにもなく。むしろ、じぶんで経理・申告をしている人にとっては、税務署は頼るべき存在と言えるでしょう。

注意点に気を付けて、税務署への相談も活用してみましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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