『古い領収書が出てきた…経費にできる?』の経理方法まとめ

古い領収書の経理

”古い領収書が出てきたけど… これって経費になるのかな?”

その疑問の答えは「ケースバイケース」です。というわけで、古い領収書が出てきたときの経理方法をまとめます。

目次

『古い領収書が経費にできるか』はケースバイケース

上着のポケットから、クシャクシャになった古い領収書が… 

机の引き出しの奥からも。おぉ、サイフの中からも。うわっ、クルマのグローブボックスからも… 忘れられていた領収書やレシートを見つけることがあるかもしれません。

そんな「古い領収書(レシート含む)」を経費にすることができるのか? その答えはケースバイケースです。

というわけで、古い領収書が出てきたときの経理方法をまとめます。ケース大きく2つに分かれます ↓

古い領収書の経理方法 2ケース
  1. 今期中の領収書が見つかった
  2. 今期より前の領収書が見つかった

 

《ケース①》今期中の領収書の経理方法

1つめのケースは、見つけた古い領収書の発行日付が「今期中」というケースです。

今期の経費にできる

たとえば、3月決算の会社で、今が8月だとして。その年の4月17日に発行された領収書が見つかった…という場合。

その領収書は、今期の経費にできます。

また、個人事業者(個人事業者はみな12月決算)で、今が8月だとして。その年の4月17日に発行された領収書が見つかった…という場合。

やはり、その領収書は、今期の経費にできます。

このように古い領収書でも、今期中(まだ決算が終わっていない)の発行日付の領収書であれば、今期の経費として計上できます。

経理方法は2通り

見つかった古い領収書を、今期の経費として計上する場合の経理方法は2通りです。

【領収書の発行日付で経理する】

今が8月1日、見つけた古い領収書(事務用品代 1,080円)の発行日が「4月17日」だとして。その「4月17日」の日付で経理をする方法です。

仕訳にするとこういうこと ↓

日付勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額摘要
4月17日消耗品費1,080現金1,080◯◯文具店 事務用品代

仕訳自体にはなんら問題がないのですが、3ヶ月以上もさかのぼって経理をしていることには大きな問題があります。

上記の例で言えば、4月17日にさかのぼって仕訳をすることで、現金出納帳の現金残高が変わります。

ということは。さきほどまで(4月17日の仕訳をする前)の現金残高と、実際の現金残高とは合っていなかった、と「自白」をするようなものです。

会計ソフトによっては、作業日付が記録されますので、さかのぼって経理をしたことの「証拠」も残ります。

みずから「イイ加減な経理をしています」と申告するようなこの方法はおすすめできません(そもそも、古い領収書が見つかることがよくないわけですが…それはさておき)。

というわけで、おすすめは次の方法です。

【領収書を見つけた日の日付で経理する】

「さかのぼる」のが良くないのですから、領収書を見つけた日で経理をしよう。というのが、こちらの仕訳です ↓

日付勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額摘要
8月1日消耗品費1,080現金1,080◯◯文具店 事務用品代(4月17日分)

上記の仕訳の意味は、「4月17日は、立て替え払いをしていましたよ。それを8月1日になって精算しました」ということです。

これであれば、3ヶ月以上も精算が滞っていた点はよろしくないものの、さかのぼって経理をしていない点では「いくらかの誠意」は見えるというものでしょう。

経理はタイムリー(適時)に行われるべきものであり、さかのぼって行うものではありません。

特に「現金残高」は、その時点の現金出納帳がきちんとしていなければ、確認をする術(すべ)がありません。さかのぼることは厳禁です。

【参考】借入金や事業主借ならどうか?

現金出納帳さかのぼり問題の解決策として、「現金」勘定の代わりに、「借入金(会社の場合)」や「事業主借(個人事業主の場合)」勘定を使えばいい。というのは間違いです。

言うまでもありませんが、さかのぼることが本質的な問題です。借入金や事業主借が推奨されるのは、おもにキャッシュレス経理(現金を持たない・使わない経理)の観点からです。

 

《ケース②》今期より前の領収書の経理方法

2つめのケースは、見つけた古い領収書の発行日付が「今期より前」というケースです。

原則、今期の経費にはできない

たとえば、3月決算の会社で、今が4月だとして。その年の2月に発行された領収書が見つかった…という場合。

今期の経費にできません。

3月決算の会社であれば、「4月から3月までの1年間(今期)」のなかで、きちんと計算をしなさい。というのが税金の考え方です。

したがって、2月は「前期」に当たるため、「今期」に含めて計算することはできないのです。

これは個人事業者の場合も同じです。個人事業者(個人事業者はみな12月決算)で、今が2月だとして。前年の12月に発行された領収書が見つかった…という場合。

やはり、その領収書は、今期の経費にはできません。

この場合、前期の決算・申告をやり直すことで、前期の経費にすることは可能です。とはいえ、やり直すのもなかなかタイヘンですよね。

ですから、見つかった領収書の金額がそれほどでもない(多額ではない)のであれば。やり直すのはタイヘンだから、「経費にするのはあきらめよう…」という選択になるわけです。

と、ここまでが「原則的」なお話です。

であるならば。原則あるところに例外あり、というのが次のお話です。

例外、金額が少なく・それほど古くなければ…

前期の領収書が見つかっても、今期の経費にすることはできない。と先ほど言いました。それが原則。

いっぽうで。実務の現場では、今期の経費に入れてしまうこともあります。

ただし、原則的な取扱い(経費に入れちゃダメ!)がある以上、なんでもかんでも経費に入れてしまうわけにもいきません。

そこで、例外的に経費に入れるのは、次のようなケースに限られています ↓

  • 見つかった領収書の金額が大きすぎない
  • 見つかった領収書の日付が古すぎない

大きすぎない、古すぎない、など。なかなかビミョーな表現ではありますが。

法律で定められているわけではなく、あくまで実務の現場における「暗黙の了解」的取扱いであることをご了承願います(注・税理士によって、見解が異なります)。

ですから「ダメだ!」と言われれば、やはりダメなんだ。ということは心しておかなければいけません。

ちなみに、古い領収書が何枚もあって金額も多額、とか。領収書の日付が2年も3年も前… というのは、さすがに「了解」できかねるわけで。度が過ぎる、というものです。

参考までに、前期の領収書を「心して」、今期の経費に入れる際の仕訳はこのようになります。3月決算の会社が4月1日に、前期の2月17日の領収書を見つけました、というケースです ↓

日付勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額摘要
4月1日消耗品費1,080現金1,080◯◯文具店 事務用品代(2月17日分)

 

まとめ

古い領収書が出てきたときの経理方法についてお話をしてきました。

経費にできるかどうかはケースバイケースですが、一番だいじなことは、古い領収書が出てこないようにすることです。

領収書については、当日中または翌日には整理をするようにしましょう。

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