開業する前から開業したあとも、確定申告・経理の悩みや不安を抱えるフリーランスは少なくありません。
というわけで、開業するフリーランスに税理士が伝えたい「確定申告・経理」に関する3つのこと、についてお話をします。
確定申告・経理の不安は続くよ、どこまでも?
かれこれ2年以上、税理士として「フリーランスのためのはじめての確定申告・経理セミナー」を毎月、企画・開催しています。
セミナー参加者の方々に、「どうして参加をされようと思ったのですか?」とお聞きすると。多いのは次のような回答です ↓
- これから開業する、あるいは、開業したばかりで何から手をつけてよいかわからない
- すでに経理をはじめているが、正しくできているのかどうか自信がない
- いちどはじぶんで確定申告をしてみたけれど、税金を払いすぎたり、少なすぎたりしていないか不安
このように、開業する前から開業したあとも、確定申告・経理の悩みや不安を抱えるフリーランスは少なくないようです。
というハナシを見聞きするであろう、「これから開業する・しようとするフリーランス」の方は腰が引けてしまうことでしょう。
そこで。確定申告・経理について、開業するフリーランスの方に向けてお伝えしたいことを3つ、挙げてみました ↓
- じぶんでできる
- カンタンにはできない
- はじめが大事、はじめに学ぶ
それでは、このあと順番にお話していきます。
開業するフリーランスに伝えたい「確定申告・経理」に関する3つのこと
《伝えたいこと①》じぶんでできる
開業するフリーランスの方に、確定申告・経理について、まずお伝えをしたいこと。
それは、「じぶんでできる」です。フリーランスの確定申告・経理はじぶんでできますよ、ということ。
実際、周囲を探してみれば、「じぶんでできる、じぶんでやっている」と言う先輩フリーランスを見つけることができるでしょう。
また、わたしも。確定申告・経理をじぶんでできるフリーランスを知っていますし、何人も見てきました。
だからまずは、「じぶんにもできる、じぶんにだってできる」、そう考えることにしましょう。
なぜそんなに「じぶん、じぶん」言っているのかというと。「じぶんでやる」に対して、「税理士に丸投げ」という選択肢があるからです。
丸投げ、つまり、レシートだの領収書だの書類をぜんぶ税理士に渡して「あとはよろしく頼む」という選択肢があるにはある。
選択肢ではあるけれど、おすすめはできない。だから、「じぶんでできる」を推しています。
では、どうして丸投げがおすすめできないのか? ラクそうだし、間違いもなさそうだし、おカネを払ってでもプロに任せたほうがよいだろう。そう思われるかもしれません。
けれども、丸投げには大きなデメリットがあります。税金や経理が他人任せになる、というデメリットです。
とくに経理は、じぶんの仕事の「いまの状況」を、「金額」というモノサシで明らかにする大事な役割を担っています。
具体的には、「利益(売上 − 経費)」と「おカネ(資産 − 負債)」とを、目に見えるカタチにするのが経理です。
その経理を税理士に任せるとなると。利益やおカネが「いまどうなっているか?」を知りたくても、税理士が経理をしてくれるまではわかりません。
また、税理士が四六時中となりにいるわけではありませんから、知りたいことをすぐに聞くこともできないでしょう。
いっぽうで。日々いろいろな判断をするなかでは、利益やおカネの有無を判断材料にすることが少なくありません。その判断材料が手元に無い、他人任せというのはデメリットです。
手元に無いだけにとどまらず。他人任せにしたことで、利益やおカネのしくみがよくわからないままになる、ブラックボックス化してしまうのもよくありません。
ですから、まずは「じぶんでできる」と考えることからはじめましょう。それが、お伝えしたいことの1つめです。
《伝えたいこと②》カンタンにはできない
さきほど《伝えたいこと①》のなかで、確定申告・経理を「じぶんでできる、じぶんでやっている」先輩フリーランスはいる、と言いました。
わたしが税理士の業界で過ごしたこの20年を見てみると、じぶんでできる・じぶんでやっているフリーランスは確実に増えました。
その背景には、「パソコン」の進化と普及。「会計ソフト」の進化と普及があります。パソコン、会計ソフトのいずれも、昔に比べれば扱いやすく、価格もお手頃になりました。
税理士のような専門家でなくとも、パソコンと会計ソフトを使えるようになったことで、「じぶんでできる」フリーランスは増えているのです。
結果、フリーランスは「じぶんでもできる」と公言し、会計ソフトの売り手もまた「じぶんでもできる」と喧伝する。
ところが、話はそうカンタンではありません。
セミナー参加者やコンサルティングを受けられる方の、「じぶんでやった確定申告・経理」を拝見すると。ひとつの例外もなく、なにかしらの間違いが見つかります。
間違いの大小はあるにせよ、なにかしらの間違いをしている。おそらく世間一般にも、そのようなケースは多いものと推測します。
この点について。会計ソフトを使うことで、カタチ上は「それっぽく」経理ができたり、確定申告書ができたりします。だから、「できた」と勘違いをしてしまうことがあります。
けれども、ヒトが会計ソフトへの入力を間違えたり、処理を間違えたり、設定を間違えたりすれば。パソコン・会計ソフトは、ヒトの間違えにしたがい、間違えたままの結果を出力します。
パソコンや会計ソフトを使うことで、お手軽・簡単に、誰にでもできたように見えても、実はできていないこともしばしばある。
ここでお伝えしたいことは「じぶんでできる」はカンタンではない、ということです。
《伝えたいこと①》では、「じぶんでできる」とか言っておきながら。こんどは「カンタンにはできない」と言う。いったいどうしたらいいんだ? と思われることでしょう。
その答えが、次にお伝えする《伝えたいこと③》です。
《伝えたいこと③》はじめが大事、はじめに学ぶ
ここまでの話をまとめると。確定申告・経理は「じぶんでできる」が、「カンタンにはできない」。
それなら、どうしたらいいのか? はじめのうちに学んで身につけることです。開業する前・開業したばかりのうちに学ぶこと。
開業したばかりであれば、一般に、比較的取引量も少なく、経理も比較的シンプルですみます。単純で理解がしやすい。ゆえに、じぶんでできる。
「じぶんでできる」が習慣になれば、その後に取引量が増えても、少しずつレベルアップしながらじぶんで続けることへの抵抗は小さくなります。
いっぽう、取引量が増えた段階からはじめようとすると。理解するのに時間がかかり、じぶんで続けることへの抵抗も大きくなりがちです。
結果として、「場当たり的」にネット検索をしたり、他人から聞いた話など「断片的」な情報に依存します。
これが、《伝えたいこと②》で触れた「できているようで、実はできていない」という間違った確定申告・経理へと繋がるきっかけになるのです。
そうはならないように、というのであれば。「場当たり的・断片的」ではなく、「体系的」に学ぶのがおすすめです。
ここで言う「体系的」とは。確定申告・経理の「全体像」をひととおり知ること。ノウハウばかりではなく、その「根拠・理由」も含めて知ることを指します。
なにごとも全体像がわからなければ道に迷うし、根拠・理由がわからなければ理解ができずに応用が効きません(たとえば、税務署に根拠・理由を聞かれたらどうしますか?)。
さいごにもうひとつ。学ぶのが遅くなればなるほど、間違いは大きくなる。これにも注意が必要です。
さいしょは小さな間違いであっても、それに気づかず時間がたてば、間違いは積み重なって大きなものとなります。
実際、4年も5年も自己流でやった確定申告・経理を拝見したところ、「致命的に」間違いが大きくなっていたケースもありました。
こうなると「直す」というのもなかなか困難です。修正をするための作業に手間・時間がかかる。税理士の手も借りるとなればおカネだってかかります。
もっと早く気がつくことができていれば、もっと早く正しい確定申告・経理を学んでいれば… 後悔をするばかりです。
別に脅かす意図はありませんが。学ぶのであればやはりはじめのうちに、ということで一例を挙げました。
繰り返しになりますが、確定申告・経理は「じぶんでできる」が、「カンタンにはできない」。
だからこそはじめのうちに、セミナーや書籍、コンサルティングなどを利用して「体系的」に学ぶことをおすすめします。そこはおカネのかけどころです。
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まとめ
開業するフリーランスに税理士が伝えたい「確定申告・経理」に関する3つのこと、についてお話をしてきました。
開業する前から開業したあとも、確定申告・経理の悩みや不安を抱えるフリーランスは少なくありません。
その悩みや不安にどう向き合うか? のご参考になれば幸いです。
- じぶんでできる
- カンタンにはできない
- はじめが大事、はじめに学ぶ