銀行担当者との付き合い方を間違えると、融資を受けられない・受けにくくなるデメリットがあります。
そこで。銀行担当者との付き合い方について「間違い例」と「正しい例」をお話していきます。
意外と間違えている、銀行担当者との付き合い方
銀行から融資を受けている、あるいは受けようとしている会社が、銀行担当者との付き合い方を間違えていることがあります。
結果として、融資を受けられない・受けにくくなるのがデメリットです。
そんなデメリットをこうむることがないように。銀行担当者との付き合い方について「間違い例」を確認しておきましょう。
もうなんども融資を受けている、という会社でも意外と間違えていたりします ↓
- 口頭のみで伝える
- 会うのは借りたいときばかり
- 銀行がほしい情報を伝えていない
上記についてそれぞれ、間違いである「理由」と、「正しい例」とをお話していきます。
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
銀行担当者との付き合い方「間違い例」
《間違い例1》口頭のみで伝える
間違いの理由
たとえば、会社のほうから銀行に対して融資の依頼をするときに「口頭」のみで済ませている。これは間違いです。
その理由は、「言った、言わない」になる可能性があるから。
銀行担当者に融資を依頼したはずなのに忘れられている…というのがいちばん顕著な例です。「言った、言わない」になりえます。
忘れてこそいないけれど、担当者のところで保留されてしまっていることもあるでしょう。銀行員も忙しく、優先順位をつけて対応しているからです。
あとになって「急いでいたのに!」と文句を言っても、「聞いてない」と言われてしまうかもしれません。
また、そもそも依頼とさえ受け取られていないこともあります。会社は「融資を依頼した」つもりが、銀行担当者は「軽く相談されたくらい」に感じているケースです。
待てども待てども返事がないので問い合わせたら、「依頼されてない」と言われてしまう。ありえます。
このように、口頭のみで伝えると「言った、言わない」になる可能性があるのが間違いの理由です。
融資の依頼に限らず。担保・保証に関するお願い、金利に関するお願いなど。さまざまな場面で同じことは起こります。
正しい例
「口頭のみで伝える」という間違い例に対する正しい例は、「文書にして伝える」ことです。
伝えたいことを文書にして銀行担当者に渡すことで「言った、言わない」を避けることができます。
担当者も文書で受け取ったものはそのままにしづらく(上司などにも見せなければと考える)、忘れられたり、保留されたりが少なくなるでしょう。
また、文書にすることで内容が明確に伝わります。「依頼」を「軽い相談」と流されてしまうような誤解もなくなります。
文書にするなどメンドーだなぁ、と思われるかもしれませんが。「言った、言わない」のデメリットを考えれば、手間をかける価値はあります。
だいじなことほど、文書にして伝えるようにしましょう。
具体的な文書の記載例などはこちらの記事をどうぞ ↓
《間違い例2》会うのは借りたいときばかり
間違いの理由
銀行担当者に会う・会おうとするのはおカネを借りたいときばかり、という会社があります。間違いです。
その理由はいくつかあります。
まず、「おカネを借りたい」と急に言ってくるような会社の状況は悪いことが多いから。ゆえに、融資をすることはできない。
売上が減った(利益も減った)、おカネが無い・足りない… だからおカネを借りたい。そのような危ない会社に融資などできない、と考えるのが銀行です。これが理由の1つめ。
2つめの理由は、感情的にイヤだから。
銀行担当者のほうから会おうとすると断られるのに(忙しい、用は無いから帰れ!)、おカネを借りたいときだけは会おうとしてくる。そんな「自分勝手」がイヤに感じるのは当然でしょう。
まだあります。3つめの理由は、会社のことがよくわからないから、です。
ふだんは会わないので、銀行担当者としては会社のことがよくわかりません。よくわからない相手におカネを貸す、のを躊躇するのは銀行に限ったことでもないでしょう。
以上が、「会うのは借りたいときばかり」の付き合い方が間違いである理由です。
正しい例
「会うのは借りたいときばかり」という間違い例に対する正しい例は、「いま借りる必要がなくても会う」ことです。
具体的には、3つの場面が挙げられます。
まず1つめは、決算の報告です。毎年、決算書ができたら銀行担当者に会って報告をする。
これをせずに、ただ決算書を渡しているだけという会社が少なくありません。けれども、渡しているだけでは銀行に伝わらないことはたくさんあります。結果として融資が受けにくくなる。
具体的にはこちらの記事を参考に ↓
また、このときにも「文書にして伝える」は有効です ↓
続いて、2つめの場面。月次試算表の報告です。
決算は1年に1回だけ。これだけでは、頻度としては不十分ですから、月次試算表についても、銀行担当者に報告するわけです。
毎月だと多いなぁ… というのであれば、四半期にいっぺんくらいの頻度で報告するとよいでしょう。銀行担当者に会社のことを知ってもらう機会になります。
さいご、3つめの場面は、銀行の営業です。
銀行担当者にはいろいろと「ノルマ」があります。ゆえに、融資先に話を聞いてもらおうと営業をしなければいけません。
ノルマにお付き合いするかどうかは別にしても、できれば話を聞くというのがよいでしょう。銀行とのお付き合いも「人対人」です。
いつも一方的にお願いをするばかり、こちらが話をするばかりでは、お付き合いがスムーズにはなりません。
以上、銀行担当者との接点を増やし、「いま借りる必要がなくても会う」を実践してみましょう。
《間違い例3》銀行がほしい情報を伝えていない
間違いの理由
銀行がほしい情報、じゅうぶんな情報を銀行担当者に伝えていない。これは間違いです。
融資の可否を判断できるだけの情報が銀行になければ、融資が受けられない、あるいは受けにくくなってしまうからです。
よくわからない相手におカネを貸すのを躊躇する、というのはさきほどもお話をしました。
とはいえ。銀行がほしい情報とはなんなのか? なにをもってじゅうぶんと言えるのか? と思われるかもしれません。
その答えは、次の「正しい例」で確認をしていきましょう。
正しい例
「銀行がほしい情報を伝えていない」という間違い例に対する正しい例は、「銀行がほしい情報を伝える」ことです。あたりまえですが。
では、銀行がほしい情報とは? 大きく分けて次の2つです ↓
- 財務数値に関する情報
- 事業性評価に関する情報
まず、「財務数値に関する情報」から。具体的には、決算書、試算表、資金繰り表、銀行借入金一覧表です。
決算書をつくっていない会社はありませんが、その他についてはつくっていない会社も散見されます。
ところが、試算表も、資金繰り表も、銀行借入金一覧表も、銀行にとってはいずれもほしい情報です。
試算表で足元の業績を把握する。資金繰り表で向こう1年のおカネの動きをチェックする。銀行借入金一覧表で他行との取引ぶりをうかがう。
これらの情報にもとづいて、銀行担当者は「稟議書」をつくります。が、これらの情報がないと稟議書をつくるのにも苦労します。
よって、後回し。銀行員も忙しいうえにノルマがありますから、稟議書をつくりやすいところ、情報がそろっているところから手をつけるものです。
また、試算表その他の書類をつくれないような会社は「管理能力が低い」との評価にもつながます。
結果、「財務数値に関する情報」を伝えることができない会社は、融資が受けられない、受けにくくなる。デメリットです。
また、財務数値のほかにも、最近では「事業性評価に関する情報」を銀行はほしがっています。
事業性評価とは、「財務数値や担保・保証に依存しすぎず、会社や事業の将来性を見る」という評価の考え方です。
そんなのあたりまえだろう、という話ではありますが。過去いろいろとありまして、いま盛り上がりつつあるのが事業性評価にもとづく融資です。
ゆえに、会社は「事業性評価に関する情報」を銀行に伝えることで、より融資を受けやすくなるという効果を期待することができます。
ほとんどの会社が伝えることができずにいる情報でもあり、伝えることができれば他社とは大きな差がつく部分でもあります。
そんな「事業性評価に関する情報」を伝えるにあたっては、各種のツールを使うことが有効です。
具体的には、ローカルベンチマーク、RESAS(リーサス)、まち・ひと・しごと創生総合戦略の3つです。くわしくはこちらの記事を参考に ↓
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まとめ
銀行担当者との付き合い方「間違い例」について、その「理由」と「正しい例」とをお話してきました。
付き合い方を間違えていると、融資を受けられない・受けにくくなるというデメリットがあります。
銀行担当者との付き合い方について「間違い例」を確認しておきましょう。