資金繰りのよくある間違い・勘違い5選

資金繰りのよくある間違い・勘違い5選

わたしが資金繰りのお手伝いをするなかで、実際に見聞きをしている、資金繰りのよくある間違い・勘違いについてお話をしていきます。

目次

気づいたときには大慌て。

会社の資金繰り、もしも、社長が間違い・勘違いをしていたら… 困りますよね。実際、間違い・勘違いに気づいたときに大慌てするケースはあるものです。

というわけで、資金繰りのよくある間違い・勘違いをまとめてみます。こちらの5つです↓

資金繰りのよくある間違い・勘違い5選
  1. 損益計算書で考える
  2. 税金を忘れている
  3. 返済額を把握していない
  4. 利益が出ていればだいじょうぶ
  5. 使ってはいけないおカネを使っている

これらは、わたしが資金繰りのお手伝いをするなかで、見聞きをしているものになります。じぶんにも間違い・勘違いがないか? 確認をしておきましょう。

資金繰りのよくある間違い・勘違い5選

損益計算書で考える

資金繰りを「損益計算書で考える」という間違い・勘違いがあります。

たとえば、損益計算書に記載されている売上が 100万円、費用が 70万円、利益が 30万円だとしたら。おカネは 30万円増えているはずだ、という考え方です。

ところが、ほとんどの場合、損益計算書と資金繰りとは一致しません。なぜなら、損益計算書は「発生主義」という基準にしたがって作成されるものだからです。

いやいや、急に「発生主義」などと言われてもなんのことやら… と、思われたかもしれませんが。たとえば、売上 100万円について。損益計算書では、モノが売れたときに売上をカウントします。

言い換えると、売上代金を受け取っているか・受け取っていないかは関係ありません。仮に、代金は翌月受け取るのだとしても、商品をお客さまに渡した時点で、売上がカウントされます。

売上という事実が発生したときに、取引をカウントする。これが発生主義です。費用についても、同じように考えます。代金を支払ったかどうかは関係なし。

モノを受け取ったり、サービス提供を受けた時点で、損益計算書にカウントされます。

だとしたら、資金繰りは損益計算書とは一致しないことがわかるでしょう。もし、売上代金 100万円の受け取りは来月で、費用 70万円の支払いは即金だとしたら。今月は 70万円のおカネが減っていることになります。

損益計算書だと、30万円増えているように見えるのにもかかわらずです。だから、資金繰りを把握するために、おカネの動きを把握するために、資金繰り表をつくる必要があります。

つくりかたについては、こちらの記事を参考にどうぞ↓

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税金を忘れている

資金繰りを考えるときに「税金を忘れている」という間違い・勘違いがあります。

たとえば、法人税。決算で利益が出れば、原則、その2ヶ月後までに納税しなければいけません。さらに、その6ヶ月後には「予定納税(前期決算の年税額の半分を納税する)」があります。

これがスッポリと抜け落ちているケースは、けして少なくありません。ちゃんと資金繰り表をつくっているのにもかかわらず、抜け落ちていたりもします。なぜなのか?

単純に、納税スケジュールを把握していないという理由がひとつ。もうひとつは、税金の計算方法がわからないために放置している。結果として忘れてしまう、ということがあるようです。

なので、納税スケジュールと税額については、わからなければ税理士に確認しておきましょう。そのうえで、税額分のおカネを確保できるように算段することです。

ざっくり、「利益に対して30%」みたいに計算する方法もありますが。場合によっては、利益に「けっこうな金額を加減算(別表調整、と言います)」して税率を乗じるケースもあります。すると、納税時には「思ってたのと違う!」と、びっくりすることがあるので気をつけましょう。

同じように、消費税も注意が必要です。法人税よりもさらに納税額がイメージしにくいために、いっそう忘れられていることがあります(税込経理をしている場合はとくに)。

というわけで、法人税や消費税は、毎月の試算表をつくる段階で、その時点での納税見込額を税理士に確認しておくのがおすすめです。

返済額を把握していない

ここで言う「返済額」とは、銀行借入の返済額です。その返済額を把握していない、これもまた、資金繰りにおける間違い・勘違いにあたります。

さきほど、損益計算書の話をしました。売上が 100万円、費用が 70万円、利益が 30万円だとしたら。おカネは 30万円増えているはずだ、という話です。

では、売上代金の入金も、費用の支払いも、ともに即金だとしたらどうでしょう。あぁ、それならば、おカネは利益と同じく 30万円増えるよね。とは、いきません。

銀行への返済がある場合には、利益 30万円のなかから返済をしなければならないからです。と言うと、返済は「費用ではないのか?」と思われるかもしれませんが。

支払う利息は費用ですが、元金返済分は費用ではありません。

借りたものを返しているだけだから、ですね。なので、借入をしたときにも当然、収入にはなりません。だったら、返済するときにも費用にならない。と、覚えておくとよいでしょう。

返済額を把握せずにいると、思いのほかおカネが足りないことに気づけなくなってしまいます。たとえ利益が出ていても、さらに返済分のおカネが必要になることを忘れないようにしましょう。

具体的には、向こう1年間の「返済予定表」をつくっておくのがおすすめです。いま現在の銀行借入について、毎月の元金返済・利息支払はいくらになるのかをまとめておきます。

利益が出ていればだいじょうぶ

利益が出ていればだいじょうぶ、おカネが足りなくなることなどない。これが間違い・勘違いであることは、ここまでの話でもうわかるでしょう。

とはいえ、ほんとうに間違い・勘違いが多いところなので、あえて挙げました。

典型的なケースで言うと、売上が右肩上がり、利益も右肩上がりのケースです。こういう会社では、資金繰りが順調にも思えますが、実際はそうでもありません。

売上が伸びているときというのは、売掛金や在庫が多くなるものです。売掛金とは、売上代金の入金を待っている金額。在庫とは、売れておカネになるのを待っている金額になります。

売掛金も在庫も、増えると資金繰り悪化の原因になるものです。なので、売上が伸びているときには、売掛金や在庫分のおカネ(増加運転資金、と言います)を手当てする必要があります。

具体的な方法としては、銀行融資です↓

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また、利益が出ていても、金額の大きな資産を買っている場合には気をつけなければいけません。たとえば、500万円のクルマを買った場合、いちどに 500万円が費用になるわけではないからです。

「減価償却」と言って、数年(乗用車だと6年)に分けて費用にすることになります。クルマのような資産は、長いあいだ使うことができるからですね。

そう考えると、利益が出ていればだいじょうぶとは言えません。資産の購入代金のうち、すぐには費用になっていない分もあるのですから。その分、おカネはなくなっていることを理解しておきましょう。

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使ってはいけないおカネを使っている

手元におカネがあると、ついつい使いたくなってしまうのが「ヒト」です。ところが、おカネがあったとしても、使ってはいけないおカネもあります。それは、借りたおカネです。

借りたおカネは、言うまでもなく、いつか返さなければいけません。たとえば、銀行から 1,000万円を借りたときには、1,000万円のおカネが預金口座に入金されます。

そこで、通帳に記載された 1,000万円を見て、「おカネがある」と考えてはいけませんよ。ということになります。そんなのあたりまえじゃんか、と思われるかもですが。

それでも意外と、おカネを使ってしまうのが「ヒト」だということは前述したとおりです。なので、ついつい使ってしまいがちな自覚がある人は、対策を講じたほうがよいでしょう↓

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なお、銀行から借りたおカネを、当初の「使いみち(資金使途、と言います)」とは違うことに使うとペナルティを受けます。

最悪は、全額一括返済です。それを免れたとしても、完済するまで、次の融資を受けられなくなると考えておいたほうがよいでしょう。いずれにせよ、資金繰りには大打撃です。

おカネがあるからといって、うっかり使ってしまうことがないように気をつけましょう。

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まとめ

わたしが資金繰りのお手伝いをするなかで、実際に見聞きをしている、資金繰りのよくある間違い・勘違いについてお話をしてきました。

じぶんにも間違い・勘違いがないか? 確認をしておきましょう。

資金繰りのよくある間違い・勘違い5選
  1. 損益計算書で考える
  2. 税金を忘れている
  3. 返済額を把握していない
  4. 利益が出ていればだいじょうぶ
  5. 使ってはいけないおカネを使っている
資金繰りのよくある間違い・勘違い5選

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