債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応

債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応

債務超過になると、銀行融資が受けにくくなります。

というわけで、債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応についてのお話です。

目次

そんなことは知っている。

債務超過になると、銀行融資が受けにくくなる。と聞いて、「そんなことは知っている」という社長は少なくようです。

ところが。いざ債務超過になったときに考えるべきこととなると、「?」という社長も少なくありません。

というわけで。債務超過になったら、社長が考えるべき銀行対応について、このあとお話をしていきます。具体的には、次のとおりです↓

債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応
  • 実態でも債務超過かどうか?
  • 債務超過解消年数は何年か?
  • 計画書・ロカベンを準備する

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応

実態でも債務超過かどうか?

そもそも債務超過とは、資産よりも負債のほうが多い状態を言います。貸借対照表の資産の部の合計と、負債の部の合計を比べてみればわかることです。

言い換えると、純資産の部がマイナスになっている。これが、債務超過です。

いまある資産をすべて現金化しても、いまある負債を返済できない。「そんな危険な会社に融資はできない」というのが、債務超過に対する銀行の考え方になります。

とはいえ銀行は、債務超過かどうかを、貸借対照表の「数字そのまま」で見ているわけではありません。「実態」で見ています。

たとえば、貸借対照表の売掛金のなかに、回収不能の売掛金が混じっていれば、その分を資産から減額する。棚卸資産のなかに不良在庫があれば、やはり、資産から減額する。といった具合です。

いま挙げた例は、「資産が減る」ですが、「資産が増える・負債が減る」というケースもあります。つまり、貸借対照表の見た目よりも、実態がよくなるケースです。

たとえば、所有している有価証券や不動産に「含み益」があれば、その分、資産を増額します。返済を求められない役員借入金があれば、その分、負債を減額します。

このあたり、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓

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なんにせよ、銀行は貸借対照表を「実態」で見ていることを理解しておきましょう。そのうえで、社長もまた、実態で見て、債務超過かどうかを確認します。

結果、貸借対照表の見た目は債務超過でも、実態では債務超過でないのであれば、「ひとまずはまだ、だいじょうぶ」と考えることはできるでしょう。

ただし、債務超過は債務超過ですから、早く状況を改善すべきであることは言うまでもありません。具体的には、利益を出す、増資するといった方法があります。

貸借対照表の見た目が債務超過ではなくても、実態で見れば債務超過というケースがあります。銀行が見ているのは実態です。じゅうぶんに気をつけましょう。

債務超過解消年数は何年か?

貸借対照表を実態で見ても、債務超過になってしまった… そのときに確認をしておかなければいけないのが、「債務超過解消年数」です。

文字どおり、「何年で債務超過を解消できるのか」ということであり、算式であらわすと次のとおりになります↓

債務超過解消年数=実態債務超過額 ÷ 経常利益

上記のとおり、会社の経常的な利益である「経常利益」をベースに、実態で見たときの債務超過を何年で解消できるのかを計算するわけです。

そのうえで銀行は、「債務超過解消年数<3年」を、融資ができるギリギリの目安と見ています。つまり、3年のあいだに債務超過を解消できないような会社には融資をしない、ということです。

3年を超えると、ぜったいに融資をしないわけではありませんが。相当に厳しくなるものと考えておきましょう。なお、債務超過解消年数が5年を超えると、さらに状況は厳しくなります。

ちなみに、算式の「経常利益」は、直近3〜5期の平均値が基本です。場合によっては、今後の見込みをふまえて… ということになりますが。見込みを示すためには資料も必要です。

そのあたりを、次の項目でお話ししていきます。

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計画書・ロカベンを準備する

債務超過解消年数を計算するにあたって、だいじになるのは「経常利益」です。この点で、少なくとも現状の「経常利益」は傷んでいるにちがいありません。

それを見た銀行は、当然、「この先、経常利益はだいじょうぶかなぁ? 債務超過は解消できるのかなぁ?」と不安になります。

そこで、今後の経常利益の「根拠」を示すためにも、銀行に提出したいのが「経営改善計画書」と「ローカルベンチマーク」です。

経営改善計画書とは、その名のとおり、経営を改善するための計画書です。いわゆる経営計画書の赤字会社バージョンになります。

この経営改善計画書のなかで、現状分析をして、問題点をあぶりだし、解決策を挙げ、具体的な行動計画・数値計画を作成することになります。

メンドーだ、と思われるかもしれませんが。ここまでしなければ、銀行が「今後の見込み」を考えることはできないでしょう。結果として、傷んだ経常利益で見られますから、融資は受けにくくなります。

もっとも、銀行融資以前に、経営を立て直す必要がある状態です。だとしたら、メンドーなどと言ってはいられず、社長は経営改善計画書を作成すべきである。というのが、経営改善計画書の「本質」になります。

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それからもうひとつ、ローカルベンチマーク(略称:ロカベン)とは。経済産業省が提供する、会社の健康診断ツールです。

財務情報(数字)に加えて、非財務情報(数字以外)をとりまとめた書類であり、そのロカベンがあれば、銀行に対してスムーズに情報提供できるようになります。

とくにだいじなのは、非財務情報です。たとえば、経営理念や後継者の有無、会社の強み・弱み、市場や競合の状況、会社内部の体制など。決算書だけではわからない情報がもりだくさんです。

これにより、銀行は「今後の見込み」を検討しやすくなります。結果として、融資を受けやすくする効果があるのはまちがいありません。

ロカベンは、債務超過の会社ばかりではなく、すべての会社がとりくむことをおすすめするツールです。くわしくはこちらの記事もどうぞ↓

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まとめ

債務超過になると、銀行融資が受けにくくなります。と知ってはいても、いざ債務超過になったときに、なにもできないのでは困ります。

というわけで、債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応について、押さえておくようにしましょう。

債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応
  • 実態でも債務超過かどうか?
  • 債務超過解消年数は何年か?
  • 計画書・ロカベンを準備する
債務超過になったら社長が考えるべき銀行対応

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