毎年、3月15日の期限間際にバタバタと確定申告。していませんか?
気持ちはわかります。普段は仕事で忙しいから、領収書整理も後回し。
だいたい、この領収書は経費になるんだろうか?そんなことを考え出したら面倒になるのも仕方ありません。
でもちょっと待って。その先延ばしで「必要以上に」税金が高くなっていること。それ、覚悟の上ですか?
バタバタ確定申告で税金が高くなる3つの理由
フリーランスにとって、切っても切れないイベントが「確定申告」です。
毎年のことなのになぜかいつもギリギリ。税金の高さにクラクラしながら納税に。という人も多いのではないでしょうか?。
クラクラしてしまうのは、税金の額を前もって想像できていなかったから。だから本来、計画的に準備をしておくべきなのですが。
「そんなこと言ったって、ね。面倒じゃん?しょうがない」という人へ。
ギリギリにバタバタと確定申告していることで「必要以上に」これだけ税金が高くなる、という事実についてお話します。
えっ、そうなの!?と驚いて、バタバタ確定申告を克服するきっかけにどうぞ。
【 バタバタ確定申告で税金が高くなる3つの理由 】
- 事前の節税対策がムリ
- 青色申告控除がとれない
- 税金の代わりに税理士報酬
《 理由1 》事前の節税対策がムリ
フリーランス(個人事業者)の決算期間は、「1月~12月」と決まっています。毎年、1月~12月の業績について確定申告をすることになります。
申告期限はと言うと、翌年の3月15日。お気づきの通り、申告期限ギリギリに税金が高いことがわかっても、手の打ちようはありません。もう、12月は過ぎているから。
「こんなことなら、もっと経費をつかっておくべきだった~」と悔やんでも後の祭り。それでも毎年のように、悔やみ続けている人をお見受けするのが確定申告。残念。
もっとも、税金が高くなるから経費を使うというのも「ムダ遣い」はいけません。税金が安くなる以前に、経費として使うお金はサイフからなくなってしまいます。
ですから、計画的にムダなく経費を使い、イイあんばいに税金を下げることができるよう、日頃から税金の予測をしておくことが望ましい。
「日頃から」なんてムチャだとしても、少なくとも年内には税金の予測をしておかないと。できるはずの節税もできない、ということになります。
ちなみに、年内にできる節税の手段は「経費を使うこと」だけではありません。それはそれはいろいろありますよ。でも、そのあたりの話は長くなるので機会をあらためましょう。
《 理由 2 》青色申告控除がとれない
青色申告控除だなんて、いきなり専門用語が飛び出してビックリしないでください。腰が引けるようなお話でもありませんから大丈夫です。
青色申告控除とは
フリーランス(個人事業主)の確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。「青色申告」の言葉くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
すごく端折って言いますと。白色はメリットなし、青色はメリットあり、です。なんのメリット?もちろん、税金が安くなるというメリットです。
そのメリット中、最大のモノが「青色申告控除」と呼ばれるもの。結論から言うと、青色申告控除はなんと「65万円」。
なんと、って言われても。ということで、そのありがたみを解説します。誤解を恐れず言うと、65万円は「経費」のようなものです。しかも実際にお金を使うわけではない、申告書上の経費。
これってスゴイことです。
青色申告控除のスゴイ節税効果
実際にお金を使うわけではない経費、という説明をしました。具体的な効果について補足します。
所得税の税率は、超過累進税率と言われる制度により、所得(利益のようなもの)が多い人ほど税率が高くなるしくみです。
ですから、同じ金額の経費を使っても税率の違いにより、その節税効果は人それぞれということになります。ここまで大丈夫でしょうか。
念のため、例を挙げておくと。20万円のパソコンを買った場合。税率30%の人は、6万円(20万円×30%)の節税効果があります。税率15%の人は、その半分の3万円です。
自分の税率について知る方法については機会を改めますが、フリーランスだと税率20%前後(所得税と住民税あわせて)の人が多いのではないかと考えます。
ということで仮に税率20%とした場合。65万円の青色申告控除の節税効果は13万円です。しかも、65万円のお金はサイフに残ったまま。
青色申告控除をとるために
ぜひとも恩恵を受けたい、65万円の青色申告控除。超えるべきハードルが2つあります。ひとつは税務署への届出。もうひとつは、会計ソフトで記帳をすること。
ここでバタバタ確定申告が問題になります。
ひとつめは、青色申告控除を受けるための「青色申告申請の届出」が提出期限に間に合わないこと。とはいえ、一度提出すれば翌年からは青色申告ですから、間に合わないのは最初の年だけです。
問題は2つめ、会計ソフトでの記帳です。65万円の控除を受けるためには、「複式簿記」なる方法で記帳することが求められています。これは会計ソフトで記帳をすることと、意味合いはイコールです。
では、自分で会計ソフトで記帳をできるのか?ということです。できる人はOK。では、できない場合は?税理士にお願いすることになりますよね。
ところが申告期限ギリギリになって、領収書の束を持ち込まれた税理士としては「えっ、これから会計ソフトに入力するの?やだよ」と言いはしませんが思います。
この場合、会計ソフトは使わずに、領収書をバーッと集計して、サクッと申告書を作る方式でしあげたりします(表現がヒドくてすみません)。65万円控除はとれません。無念。
ですから、税理士に確定申告を頼む場合には、できるだけ早く頼むようにしましょう。できれば2月の初旬には。そして、「65万円控除でお願い!」と言うのをお忘れなく。
- 青色申告をするには、次の期限までに税務署への届出が必要です
開業から2か月以内、もしくは青色申告をしたい年の3月15日まで - 青色申告控除には「10万円控除」もあります。こちらは会計ソフトによる記帳は必要ありません
- 青色申告をするためには、税務署への届出、会計ソフトへの記帳以外にも「細かい要件」があります。お気を付けください
《 理由 3 》税金の代わりに税理士報酬
さいごの理由です。これは厳密には、税金が高くなっているのとは違う話もあるのですが。
さきほど、青色申告控除のところで税理士の話をしました。申告期限の間際になって、税理士のところへ駆け込むとさらなる不幸(?)が待っています。
多くの税理士事務所は「確定申告」は繁忙期です。繁忙期なんて生易しいもんじゃない、連日の深夜残業・休日出勤の地獄絵図。というところもあるでしょう。
そんなところに、領収書の束を抱えて来られた日にはもう・・・もっと早くもって来い!うがー、きー(以下、自主規制)。
それでも仕事だからやる、という選択をする税理士はおそらく。65万円控除ではやらない、あるいは「特急料金」を頂戴するなどという条件を提示します。
65万円控除をやらないとなると、当然税金は高くなります。さきほどお話ししたとおりです。
また、期限間際ということで「特急料金」に応じることは、結果として税金を払うのと同じような気持ちになります。税金で払うか、税理士報酬で払うかの違いだけ。みたいな。
ちなみに、賢い税理士さんは「特急料金」などとは口にしません。シレっと通常料金に割増しした見積もりを提示します。それも仕方ありません、バタバタであるがゆえの自業自得です。
まとめ
バタバタ確定申告をしていると税金が高くなる理由についてお話ししました。今年はもう少し早くやろう、そう感じていただければ幸いです。
途中で触れた、会計ソフトによる記帳ですが、自分でやってみるという選択肢も考えてみましょう。
フリーランスなどの場合、そもそも取引数が多くない、取引が複雑でないことがほとんどです。それほどの時間をかけずに自分でやることもできるでしょう。
会計ソフトの記帳までできていれば、確定申告の際の税理士報酬は従来よりも値下げをお願いできるかもしれません。
いずれにせよ、期限間際で慌てることは精神的にも不健康。今年こそは早めの準備、いかがでしょうか。
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きょうの執筆後記
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青色申告は、フリーランスの節税の基本中の基本です。
白色申告をしているという人は、とにかく青色申告を考えましょう。そのほかの節税はそのあとです。