間違い節税であなたが失う3つのモノ ~原因と解決策~

間違い節税

税金を納めるくらいなら経費で使っちゃおう! 節税、節税。

なるほど、そういう考え方もありますね。でもちょっと、待って。その節税、間違いかもしれませんよ。

節税と引き換えに、失くしているモノがあるかもしれません。そんな「間違い節税」についてお話をしていきます。

目次

間違い節税で失う3つのモノとは何なのか?

多くの事業者を魅了する言葉、「節税」。たしかに、税金は少ないほうがいいわけで。

ところが。

本来あるべき「節税の趣旨」を取り違えてしまった結果、つまり「間違い節税」により、大事なモノを失くしてしまっているケースは少なくありません。

その失くしモノとは次の3つです ↓

  • おカネ
  • 信用
  • 良心

いずれも一目で大事なモノだとわかるものばかり。失くしているのでは困ります。

それでは、その原因である「間違い節税」とは何なのか? その解決策はどこにあるのか?

3つの失くしモノ別に、このあとお話をしていきます。

 

《失くしモノ1》おカネ

まずは、1つめの失くしモノ「おカネ」について。なぜ、節税をしておカネを失くしてしまうのか?

原因は、ムダ使い

おカネを失くしてしまう「間違い節税」の原因は、ムダ使いにあります。

税金を払うくらいなら経費を使おう、という思いを出どころにした節税。これが「ムダ使い」です。

な、なんだと~!(怒)という気持ちはわかります。ムダ使い、だなんて言われたら気分が悪い。でもちょっと落ち着いて、次の問題を考えてみてください。

  • 「利益 100、税率 30%」の会社が、経費 100を使って節税を試みる効果とは?(経費100を使う前、手元のおカネは100とします)

税金は減ったのにおカネが減る

さきほどの問題について。さいしょに、経費 100を使わないとした場合を考えてみましょう。

  • 利益 100 × 税率 30%=税金 30
  • 残るおカネ = 手元のおカネ 100 - 税金 30 = 70

むずかしいことは特にありません。利益 100に対して税金 30、手元に残るおカネは 70。以上。

続いて、節税を試みて、経費 100を使う場合を考えます。

  • (利益 100 - 経費 100) × 税率 30%=税金 0
  • 残るおカネ = 手元のおカネ 100 - 経費 100 = 0

こちらもむずかしいことはありません。利益は節税の結果 0、税金も0。ところで、残ったおカネは? ゼロです。

解決策は、節税の「ほんとうの意味」を知ること

問題の解答を考えた結果わかったこと。それは、節税をしないほうが手元に残るおカネは多い、ということです。これをもう少し正確に表現すると ↓

節税だと取り違えていたムダ使いをしないほうが、手元に残るおカネは多い。そういうこと。

経費 100を使おう、ということ自体は悪くありません。悪いのだとすれば、その経費 100がムダ使いである場合です。

いわゆる「衝動買い」がムダ使いにあたります。税金が出そうだからとりあえず買っちゃえ、というのはムダ使いです。おカネを失くします。

これに対して、あらかじめ利益を想定し、税金を見込み、計画的な投資費用をかけて税金を抑える。投資の結果、さらに売上・利益を伸ばしていく。おカネも増える。これが「ほんとうの節税」です。

ムダ使い節税を解決するために、節税のほんとうの意味を理解しましょう。節税とは、税金を減らすことではありません。

節税とは、税金を減らしながらなお、手元のおカネを減らさずに増やすことです。

 

《失くしモノ2》信用

2つめの失くしモノ「信用」について。なぜ、節税をして信用を失くしてしまうのか?

原因は、利益が無い

信用を失くしてしまう「間違い節税」の原因は、利益が無いことにあります。

税金を抑えたいがゆえに、経費を増やすなどして利益を圧縮する。という考え方がありますが。極端には、利益ゼロを目指すケースがあります。利益が無ければ、税金も無し。

ところが。利益無し、税金無しと引き換えに、非常に大きなもの失うということを知っておかなければいけません。

それは、銀行からの信用力です。

「利益が無ければ、おカネは貸せない」by 銀行

銀行からの信用なんて別にいらないよ、と言うのかもしれませんが。そんなあなたには、ひとつ質問です。

あなたの会社には、あるいはあなた自身には、何が起きても決して困ることがないほどのおカネがありますか?

世間が知るほどの大富豪でもない限り、この問いに「YES」と答えることはできません。基本的に、おカネは限りあるものなのですから。

そうであるならば、「銀行からの借入」は大切です。特に中小零細企業がおカネを調達する手段は限られています。銀行融資は貴重な資金調達手段なのです。

では、銀行からおカネを借りようというときに。銀行は何を信用しておカネを貸すのか? それが「利益」です。

売上がいくらあったところで、利益が残らない事業を信用することはできません。利益が無いということは、借入金を返済するだけのおカネが無いのと同義なのです。

返済するためのおカネを稼げない相手に、おカネを貸すようなヒトはいませんよね。おカネを貸すのが仕事である銀行だって、当然同じ考えです。

解決策は、「いかに利益を出すか」にこだわること

誤解がないように申し添えますが。節税をやめろ、というハナシではありません。優先順位と程度の問題です。

優先順位の問題として、節税ありきではなく、利益ありきで考えるということ。まずは利益、次いで節税の順序です。

そして、程度の問題として。いくら節税といっても利益を減らし過ぎてはいけません。

考え方としては、年間利益イコール年間返済力です。年間利益が500万円ならば、借入は年間返済額で500万円が限度だということです。

ですから、年間利益がゼロであれば、1円の返済力もない。だから貸せない。という理屈。

いつなんどき、銀行融資が必要になるかはわかりません。いまはそうでないとしても、将来のことは誰にもわかりません。

節税に執着しすぎずに。どうしたら決算書の利益を増やすことができるのか、にこだわりましょう。

 

《失くしモノ3》良心

2つめの失くしモノ「良心」について。なぜ、節税をして良心を失くしてしまうのか?

原因は、脱税

良心を失くしてしまう「間違い節税」の原因は、ずばり脱税にあります。

オレは、ワタシは、脱税なんてしてないよ! と言うかもしれませんが。家族とのプライベートな食事代をちょこっと経費に入れちゃった、というのも脱税です。

気分を害されたかもしれませんが、マルかバツかで言えば、たしかに脱税なのです。それを「そのくらいイイだろう?」と考えるところに、実は良心の問題があります。

ちなみに、良心とは。コトの善悪をただしく見極め、ただしく行動できる心を言います。良心はたいせつにしたい、ですよね?

マヒが進み、悪事はエスカレートする

さきほど、「家族とのプライベートな食事代を経費にする」ことは脱税だと言いました。

経費全体からみれば、そのような食事代をちょこっと経費にするのは「小さなこと」だとも言えます。杓子定規なことを、といったところでしょうか。

それでも、コトの善悪で言えば悪であり、その悪に従った行動をしてしまった以上、良心はたしかに傷んでいると言わざるを得ません。

悪であることはわかっているけれど、このくらいならイイだろ? というのは言い訳です。それはそれとして。 

問題は、その小さな傷みが、エスカレートしていくというところにあります。

さいしょの「ほんのちょっと」が、つぎは「もうちょっと」、さらに「もっともっと」。どういうわけか、感覚がマヒし、悪事はエスカレートするのです。

もしも、思い当たることがある人は、毎年の「悪事の金額」を計算してみてください。十中八九、その金額は右肩上がりとなっていることでしょう。

解決策は、「悪事ゼロ」を目指すこと

悪事のエスカレートを防ぐ術は、いつも「悪事ゼロ」を目指すことです。「これくらいイイだろう」という出来心から、エスカレートははじまるわけで。

そもそものきっかけをつくらないように「ゼロ」を目指しましょう。

もうやっちゃった、と言うのであれば。これからまたやりなおせばいいだけの話です。たいせつなのは「これくらいイイだろう」を自分に許さないこと。

みんなやっている、どうせバレない、正直者がバカを見る。そうでしょうか? うらやんで、後を追うべきことなのでしょうか?

たまたま今まではバレていないだけ。バレやしないかといつもドキドキしている。他人の悪事を笑えない、非難する権利もない。家族や従業員、社会に胸を張ることができない。当の本人はそんな葛藤のさなかにあるのかもしれません。

うらやむべきこと、とも思えませんよね?

節税と脱税を勘違いしないように。脱税を正当化しないように。良心に恥じるところのない節税を。

 

まとめ

間違い節税であなたが失う3つのモノ、についてお話をしてきました。

おカネ、信用、良心。いずれも失くしてはいけないものばかり。

それぞれの間違い節税の原因を理解して、ただしい節税でトクをできるように努めましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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