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通帳・クレジットカード・電子マネーは『仕事用』を分けるの?【フリーランスの確定申告】

通帳・カード・電子マネーを仕事用で分ける

”通帳とか、クレジットカードとか、電子マネーとか、って。仕事用とプライベート用を分けたほうがいいの?”

その答えは、「分けるメリットを感じるならば」です。というわけで、フリーランスが経理・確定申告をするにあたり「いろいろと分ける」ことのメリットをお話します。

目次

通帳・クレジットカード・電子マネーは「仕事用」を分けなくてもいい

経理をはじめたばかりのフリーランスや、まだいちども確定申告をしたことがないフリーランスの疑問のひとつ。それは、

通帳(銀行口座)、クレジットカード、電子マネーなどは、仕事とプライベートとで分けたほうがいいのか?

この疑問にお答えするならば、「どちらでもいい」です。

ほんとうに「どちらでもいい」のですが、それだけですとどうにも不親切なので。もう少し言い添えるとこうなります ↓

分けることにメリットを感じるのならば分ければいい。そうでもなければ分けなくてもいい。

まだまだ不親切だろう、って? そうですか、すみません。

というわけで、「分ける」ことによるメリットについてお話をすることにします。そのメリットは次の3つです ↓

  1. 経理(帳簿づけ)がわかりやすくなる
  2. 経費か否かの判断が早くなる
  3. 対税務署で効果を期待できる

これら3つのメリットを「いいね!」と感じるのであれば分ける。そうでなければ分けなくてもいい。これでいかがでしょう?

このあと、3つのメリットそれぞれについてお話ししていきます。

 

《メリット①》経理(帳簿づけ)がわかりやすくなる

通帳(銀行口座)、クレジットカード、電子マネーなどを分けるメリットとして、「経理(帳簿付け)がわかりやすくなる」ということが挙げられます。

ここで「ひとつの銀行通帳」を、仕事でもプライベートでも使う場合をイメージしてみましょう。

仕事に関わる出金もあれば、プライベートの出金もあります。もちろん、入金についても同じであり、仕事とプライベートとが混じります。

このようにひとつの銀行通帳を「分けない」で使うことには、2つのデメリットがあります ↓

  1. 経理をする段階で、「この出金・入金は仕事に関係があるのかどうか?」を判断する時間が生じる
  2. 仕事と関係のない出金・入金についても、「仕事とは関係ない取引だ」として経理処理(具体的には仕訳)をする手間が生じる

これに対して、通帳を仕事とプライベートとで「分ける」のであればどうかと言うと。

仕事用の通帳だけを見て経理をすればよく、①のデメリットはありません。判断を要せず、粛々と処理をするのみです。

また、プライベートの取引は別通帳ですから、経理上、プライベートの通帳は丸ごと無視できます。②のような手間を要しません。

よって、通帳を「分ける」のであれば、「分けない」場合のデメリットを回避できるというメリットがあるわけです。

これは銀行の通帳に限らず、クレジットカードや電子マネーについても同じことになります。

 

《メリット②》経費か否かの判断が早くなる

「分ける」場合の2つめのメリットとして、「経費か否かの判断が早くなる」が挙げられます。

例として、クレジットカードでイメージしてみましょう。クレジットカードを仕事用とプライベート用で分けている場合。

当然ながら、クレジットカードを使うタイミングで、仕事用とプライベート用どちらのカードを使うか判断をしなければいけません。経費か否かを判断をしなければいけません。

これが、分けずに1枚のカードであれば、「経費かどうかは、おいおい考えればいっか」ということになるわけで。

結果、「経費かな。やっぱりだめかな。いやいや経費でも・・・」などとウデウデと考えているようだと、ムダに時間を食うばかりです。

人間、時間に余裕があると、必要以上に余分な時間をかけてしまうもの。時間に余裕を残さないように、使う時点でいさぎよく決めてしまいましょう。と、いうハナシです。

また、(分けずに1枚のカードで)あとから判断できる余地を残してしまうから、良からぬことを考えてしまう。というデメリットもあります。

カードを使ったときはプライベートだと思っていたが、「やっぱり経費だったことにしよう、そうしよう」みたいな。

そんな出来心を許さぬためにも、経費か否かの判断は早く済ませてしまうに限ります。出来心と葛藤をするのであれば、それもまたムダな時間です。

 

《メリット③》対税務署で効果を期待できる

「分ける」場合の3つめのメリットとして、「対税務署で効果を期待できる」が挙げられます。

例として交通系電子マネーのSuicaでイメージしてみましょう。Suicaのカードを仕事用とプライベート用とで分けている場合。

もしも税務調査で、税務署から「このSuicaはプライベートでも使っているんじゃないの?」という疑いを持たれても。

「いやいや、プライベートは別のSuicaでちゃんと分けてるし」と、プライベート用のSuicaの利用履歴を提示することができる。これは税務署に対する、ひとつの説得材料になります。

本人が主体的に2つのSuicaを使い分けているという事実は意外と大きく、疑うにも「疑いにくさ」が出てくるものです。

そもそも仕事とプライベートとで正しく使い分けをしているか、というのは大前提ですが。対税務署という観点での「分ける」も検討してみましょう。

電子マネーについては、利用できる場面(お店・商品、金額など)が拡大傾向であるため、税務署の関心も高いところです。

 

《おまけ》サイフ(現金)まで分けるの?

ここまで「分ける」ことのメリットについて、お話をしてきました。

そうかそうか、分けるのは良いことか。と言うと、そうとばかりも言い切れないこともあります。

それは「現金」です。もし現金も、仕事用とプライベート用とで分けるということになれば、たしかに、通帳やクレジットカードなどと同じメリットが期待できます。

しかし。その引き換えとして、普段から「サイフ」を2つ持つことになるでしょう。ひとつのサイフでは、現金が混じってしまいますからね。

で、ほんとうにサイフを2つ持って歩くの?

わたしはイヤです。クレジットカードや電子マネー、仮想通貨など、これだけ決済手段が多様化しているというのに。現金にこだわって、サイフを2つも持つなんてとてもとても・・・

それじゃあ、現金は仕事用とプライベート用のいっしょくたで経理をするかというと。実はそれもしません。

そもそも、フリーランスの経理では「現金」など扱わない。という経理方法もあります。その経理方法についてはこちらの記事を ↓

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まとめ

通帳・クレジットカード・電子マネーは「仕事用」を分ける、ということについてお話をしてきました。

必ずしも分ける必要はないけれど、分けるメリットがある。

ですから、そのメリットを理解して、分ける・分けないを考えるようにしましょう。

それはそれとして。経理・確定申告の初心者には、「分ける」をおすすめします。理由は、メリットで示したとおりです。

 

 

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通帳・カード・電子マネーを仕事用で分ける

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