” クラウド会計、っていいよね ”
たしかに、クラウド会計はいいものです。でもちょっと待って。もしかしたら「残念な使い方」になってしまっているかも、というお話です。
初心者注意!クラウド会計の『残念な使い方』ワースト5
クラウド会計を使って帳簿つけ(経理)をするフリーランスが増えています。
そのいっぽうで。せっかくのクラウド会計をじゅうぶんに活かしきれていない、残念な使い方になっていしまっている… というフリーランスもいます。
とくに、クラウド会計の初心者は要注意!
というわけで、クラウド会計の「残念な使い方」ワースト5についてお話をしていきます。
- 預金残高が合っていない
- 各種データ・サービスとの連携ができていない
- 現金払いが多い
- 貸借対照表が正しくない
- 各種帳票を見ていない
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
預金残高が合っていない
クラウド会計の便利な機能として、「データの連携」が挙げられます。ここで言う「データ」の代表例が「銀行預金」です。
ネットバンクの取引明細データとクラウド会計とを連携させることで、取引明細のデータをクラウド会計に自動取得する。これが、銀行預金データの連携です。
これについて、クラウド会計初心者に多く見られるのが、「銀行預金の実際の残高(=通帳の残高)」と「帳簿の預金残高(=クラウド会計の残高)」とが合っていない、というものです。
データを連携させているのだから、合っていないはずがないだろう。そう思われるかもしれませんが、次のようなことを原因に、「残高が合わない」ということが起きるのです ↓
- 連携して取得したデータのうち、仕事とは関係がない取引について「削除」した
- 上記について、「削除」はしていないが、集計の「対象外(無視)」として処理した
仕事とは関係がない取引であっても、「銀行預金の取引」のひとつではあります。その取引を含めて、「銀行預金の実際の残高(=通帳の残高)」です。
したがって、ひとつでもデータを「削除」したり、「対象外」にすれば、「帳簿の預金残高(=クラウド会計の残高)」はその分だけ「銀行預金の実際の残高(=通帳の残高)」とズレてしまいます。
預金の残高がズレている(合っていない)というのは、正しい帳簿つけ・正しい経理からすると「致命的なミス」にあたります。
「銀行預金の実際の残高(=通帳の残高)」と「帳簿の預金残高(=クラウド会計の残高)」とにズレがないか、は定期的にチェックをするクセをつけましょう。
なにかの加減で誤って操作をし、データを削除したり、対象外にしてしまうこともあるものです。
仕事と関係がない取引については、「事業主貸」または「事業主借」という勘定科目で処理(仕訳)をします。
各種データ・サービスとの連携ができていない
銀行預金データとの連携について前述しました。クラウド会計のデータ連携の対象は多岐にわたり、銀行預金データにとどまりません。
クレジットカードや電子マネーの利用データ、Amazonなどの通販利用データ、タブレットレジや決済サービスを通じた売上データなど。
これらのうち、自分が利用しているサービスについては、その利用データをクラウド会計に連携させることで「速くて・ラクして・正確な」帳簿つけ(経理)が可能になります。
ところが。クラウド会計初心者のなかには、極端な場合、データ連携は銀行預金のみ、というケースがあります。
また、他のクラウドサービスである請求書作成サービスなどのデータも、クラウド会計と連携可能なものがあります。これについても、連携できていない、というケースがあります。
結果、手入力をせずに済む取引についてまで、わざわざ手入力をしている。これでは、せっかくのクラウド会計がもったいないです。
自分が使っているクラウド会計が、どのようなデータ・サービスと連携可能か、連携できるものがないかを確認をするようにしましょう。
現金払いが多い
クラウド会計の利点として、各種データ・サービスとの連携についてお話をしてきました。
これについて、「現金払い」の取引は、クラウド会計の利点が当てはまりません。
現金払いの取引は、連携可能なデータというものが存在しないことから、「すべからく手入力」することになるからです。
手入力は、時間がかかります。手間がかかります。入力間違いなどのミスの可能性が増えます。
そう考えると。「現金取引を減らす」という意識が必要です。現金取引を減らして、各種データ・サービスとの連携を増やすようにする。
具体的には、できるかぎり現金は使わず、代わりに、電子マネー・クレジットカード・銀行振込といったデータ連携可能な決済手段を使うことです。
もちろん、「クレジットカード払いは好きじゃない」などの好みの問題はありますが。
データ連携を利用する際の「速くて・ラクして・正確な」帳簿つけ(経理)というメリットと、よくよく天秤にかけてみることをお忘れなく。
貸借対照表が正しくない
青色申告の魅力的な特典として、「青色申告特別控除 65万円」というものがあります。
この特典を受けるにあたっては、「貸借対照表」という書類をきちんと作成していることが求められています。
この点について、クラウド会計を使って帳簿つけ(経理)をすると、貸借対照表が自動的に作成されるのですが。
その「自動的に作成された貸借対照表」が正しいかどうかはまた別のハナシです。
聞けば、貸借対照表をチェックもしないで(あるいは、チェックのしかたがわからずに)税務署に提出しているとか…
同じ決算書でも、「売上ー経費=利益」を計算する損益計算書はチェックをしているのに、不慣れで関心が薄い貸借対照表のほうはノーチェック。というケースがあります。
これではいつ、税務署からの指摘・問い合わせがあっても不思議ではありません。
クラウド会計は貸借対照表のカタチにはしてくれますが、その中身が正しいかどうかまでは判断をしてくれません。
貸借対照表に限らずということではありますが、フリーランス自身がをチェックするスキルを身につけるようにしましょう ↓
各種帳票を見ていない
貸借対照表を見ていない・チェックしていない、というケースについて前述しました。
このケースは、帳簿つけという「処理」だけをしていて「結果」を見てない、ということのあらわれだと言えます。
貸借対照表は「決算のとき」の話ではありますが、「日常的」にも同じことが起こりえます。
普段、帳簿つけという処理をしているなかで、処理の結果をきちんと見ていますか? ということです。
これについては、「ただ処理をしているだけ」という回答が決して少なくありません。
貸借対照表の話と同様に、「正しいかどうか」をチェックする意味で、処理の結果までを見るようにしましょう。
具体的には、試算表や推移表と呼ばれる帳票から、間違いやおかしなところがないかを見ていくことになります。
また、これに加えて、「いま、どうなっているか」という現状の把握と、「このあと、どうなりそうか」という将来の予測がだいじになります。
やはり、試算表や推移表をベースにして、現状把握と将来予測を行います。
帳簿つけ(経理)は「処理」が目的ではありません。処理をしたあとの「結果」を理解(現状把握)して、活かす(将来予測にもとづき意思決定をする)ことが目的です。
クラウド会計は、その使い方ばかりでなく、各種帳票の見方・活用まで身につけることをおすすめします。
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まとめ
クラウド会計の「残念な使い方」ワースト5についてお話をしてきました。
クラウド会計は万能ではありません。使う人の使い方しだい、といったところがあります。
その使い方に「残念」なところがないかは確認をしておきましょう。
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きょうの執筆後記
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