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フリーランスになったときの『ただしい経理のはじめ方』

フリーランスの経理のはじめ方

” フリーランスになった! ” ” フリーランスになるぞ! ”

というときに避けては通れぬ「経理」の道… いったいどうしたらいいの? というあなたのために。フリーランスになったときの「ただしい経理のはじめ方」についてお話をします。

目次

フリーランスになったときの「ただしい経理のはじめ方」

フリーランスになった! あるいは、フリーランスになるぞ! というときに。

考えなければいけないことのひとつに「経理」が挙げられます。経理、つまり、いわゆる「帳簿つけ」です。

はじめての「経理」をどうはじめたらよいものか…?

そんな疑問にお答えすべく。フリーランスの「ただしい経理のはじめ方」についてお話をしていきます。

「ただしい」はじめ方があるのですから、「まちがった」あるいは「おすすめできない」はじめ方もあります。

そのあたりのことにも触れながら、ただしい経理のはじめ方を確認していきましょう。

まずは結論として、フローチャートを提示します。ただしい経理のはじめ方フローチャートです ↓

image1

上図の「Start」から、「経理のはじめ方」がはじまります。

図中では、いろいろな矢印(コース)が交錯しておりますが。それらの意味合いを端的にあらわすとこうなります ↓

  • 「青色実線」の矢印 ・・・ いちばんおすすめのコース
  • 「青色点線」の矢印 ・・・ 次におすすめのコース
  • 「黄色点線」の矢印 ・・・ あまりおすすめはしないコース
  • 「赤色点線」の矢印 ・・・ まちがったコース

それではこのあと、フローチャートについて説明を加えていきます。

 

【START】まずは開業の手続きをしよう

フリーランスの「ただしい経理のはじめ方」について、フローチャートのスタートは「開業の手続き」です。下図緑色の部分になります ↓

image2

フリーランスは事業をはじめたら、とにかくまずは、税務署に「2つの書類」を提出しましょう。2つの書類とは、

  • 開業届 ・・・ 事業をはじめました、と届け出る書類
  • 青色申告承認申請書 ・・・ 青色申告をしたいです、と申請をする書類

とくにだいじなのが「青色申告承認申請書」。青色申告というものをすると「大きな特典」がついてくるのですが、青色申告をするには事前に税務署への申請が必要なのです。

その申請書類が「青色申告承認申請書」です。しかも、開業してから2ヶ月以内に提出すること、という期限付き。くれぐれも忘れないように注意しましょう。

なお、2つの書類はいずれも、それほど難しい書類ではありません。ネットで調べるなどしながら、じゅうぶんにじぶんで書ける書類であることを申し添えます。こちらの記事も参考にどうぞ ↓

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よくわかる、自分で書ける青色申告承認申請書の書き方【記入例付き】 青色申告承認申請書の書き方がわからない・・・ 個人事業を開業したらまず。税務署に出しておきたい書類のひとつ、「青色申告承認申請書」。青色申告には特典がいっぱい、...

 

【まちがい多発】経理のお勉強を飛ばさないで!

前述した「開業の手続き」から、フローチャートをさらに進めましょう。次は、「経理の全体像を勉強する」です。下図緑色の部分になります ↓

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ここでの注意点は、「経理の全体像を勉強する」をすっ飛ばして、上図の赤色点線矢印のコース(経理ツールを選ぶ、または、税理士に丸投げする)に進むことです。

そのコースは残念ながら、経理のはじめ方としてはまちがっています。では、なぜまちがっていると言えるのか?

お勉強をせずに「経理ツールを選ぶ」のまちがい理由

まずは、フローチャートの赤色点線矢印を左側(経理ツールを選ぶ)に進んだ場合のまちがい理由から。次のとおりです ↓

  • じぶんには必要がないツール、合わないツール、思っていたのと違うツールを買ってしまう
    → ムダ買い
  • 経理(帳簿つけ)はできても、その結果が正しいかどうかがわからない
    → チェックのしかたがわからない
  • 確定申告(税金計算)のための経理になってしまう
    → 経理の目的は税金計算ではない

ちなみに、経理ツールの最たる例が「会計ソフト」です。いくつもの種類がある会計ソフトを、右も左もわからないうちに選ぼうとするとこうなります。

会計ソフトのほかにも、請求書作成サービスを使うか、ネットバンクを使うか、電子マネーを使うか、などツール選びはいろいろありますが。

とにかく帳簿つけをしようとして、ツール選びを先走る人は少なくありません。気をつけましょう。

お勉強をせずに「税理士に丸投げする」のまちがい理由

続いて、フローチャートの赤色点線矢印を右側(税理士に丸投げする)に進んだ場合のまちがい理由から。次のとおりです ↓

  • 税理士に何を頼めばよいのか、どんな税理士を探せばよいのかがわからない
    → 専門家をきちんと活用できない
  • 税理士報酬の金額が妥当かどうかがわからない
    → 高すぎる税理士報酬を払うことになるかも
  • いつまでたっても、じぶんでは経理も税金もわからない
    → じぶんで数字を活かせない

経理(帳簿つけ)を嫌うばかりに、即、税理士に丸投げをしてしまうとこうなります。

税理士に任せること自体は悪いことではありませんが、任せるにあたってじぶん自身も、「経理」について必要最低限の理解はしておくべきだ。ということです。

では、事前に「なに」をお勉強しておけばよいのか

というわけで。フローチャートをいきなり赤色点線の矢印に進むのではなく、まずは青色実線の矢印を進みましょう。

つまり、「経理の全体像を勉強する」に進む。ここでの勉強の対象は次のとおりです ↓

  • 経理(帳簿つけ)の目的・しくみ・流れ
  • 確定申告(税金計算)の目的・しくみ・流れ
  • 必要最低限の経理用語・税金用語
  • 正しい節税と間違った節税の違い
  • 経理の結果(=数字)の活かし方

このあとのフローチャートを進めるにあたって、最低限、これくらいは勉強をしておきたい。というのが、上記の項目になります。

これらの項目を見て、あるていど回答ができるくらいにはなりましょう。

できないのであれば、フローチャートを「経理ツールを選ぶ」や「税理士に丸投げする」に進むのはまだ早い。そう考えて勉強を。でも、どうやって?

ネット、書籍、セミナーなど。勉強する方法ならば、いろいろあります。参考まで、当ブログ内での情報を掲載しておきます ↓

 

経理をはじめたあとは3通り

フローチャート上を、「経理の全体像を勉強する」に進み、さらに、「経理ツールを選ぶ」に進み。ようやく「経理をはじめる」ことになります。下図緑色の部分です ↓

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勉強したことを活かして、選んだツールによる経理(帳簿つけ)という「処理」をした結果。その「処理」が合っているかの確認をどうするか? 

これには3つのコースがあります。「税務署などで見てもらう」「セルフチェック」「税理士に見てもらう」の3つです。

大本命!「セルフチェック」

じぶんで経理(帳簿つけ)の処理をして、その確認もまたじぶんでできる。自己完結できる、これがベストでしょう。

前述したような勉強の機会を重ねて、経理処理の経験を積めば、決してできないことではありません。

また、もっと早く・効率的に、セルフチェックのスキルを身につけたいのであれば。専門家のコンサルティングを受けるのもおすすめです。

コンサルティングを受けるのにおカネはかかりますが、スキルを身につけるまでのあいだの、あくまで一時的な費用です。

たとえば、税理士に経理を丸投げし続ける際の費用と比較をすれば、じゅうぶんにおトクだと考えることができます。

【参考】当事務所のフリーランス向け経理コンサルティング『自分・de・経理』

無料がポイント!「税務署などで見てもらう」

おおむねセルフチェックでいけそうなのだが、ちょっと不安なところがある。確認をしたいところがある。

この場合には、「税務署に聞いてみる」という選択肢があります。税務署は費用もかからないし、いいじゃない! ということかもしれませんが、注意点はあります ↓

  • 無料だけに混んでいることがある(確定申告期限前など)
  • 尋ねる税務署・税務職員によって回答が異なることがある
  • 基本的に「節税(税金を減らす)」については教えてくれない
  • 税金計算に関することが対象(経理ツールの選び方や数字の活かし方などは、税務署の管轄外)

税務署に聞いてみるのであれば、上記のことは心得ておきましょう。

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『わからないことは税務署へ相談に行こう』というときの注意点 これって経費にして大丈夫なのかなぁ・・・ というときに、税務署へ相談に行くという方法があります。 税務署では、無料で相談を受け付けていますので、じぶんで経理・申...

また、税務署以外にも類似のケースとして、街中の「無料税務相談会」や、比較的低料金で相談などを受けられる「青色申告会」を利用する、という方法もあります。

有料だけど効果大?「税理士に見てもらう」

前述した「税務署など」のように無料や低料金ではありませんが。税理士に見てもらう、という方法もあります。

この方法のメリットは、税理士という「専門家による幅広く・深いサービス」を期待できることです。

税金計算はもちろん、余計な税金は払わないための「節税」策や、よりよい経理の方法、数字の活かし方などのアドバイスを受けることができるでしょう。

経理や税金のこと以外にも、経営のこと、財務のこと、仕事のしかた、などまで得意にしている税理士もいます。

じぶんが税理士に見てもらいたいことと税理士報酬とのバランスを考慮して、じぶんに合った税理士を探してみましょう。税理士もいろいろです。

 

経理のゴールは確定申告じゃない

これでいよいよ、フローチャートもおしまいです。下図緑色の部分になります ↓

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ここで、「確定申告」の文字の左上にある「Goal?」に注目です。

まちがった理解をされていることが少なくないのですが、経理のゴールは確定申告ではありません。そういう意味で「?」を付けてみました。

たしかに、経理(帳簿つけ)をした結果、確定申告(税金計算)ができるのですが、経理の最終ゴールではありません。言うなれば、通過点。

では、経理の最終ゴールはどこにあるのでしょうか? 

じぶんの仕事・生活の「いま」を数字で把握して、その数字をもとに「これから」の意思決定をできるようになる。これがゴールです。

フリーランスは、「ひとり」という性格上、多くのことをじぶん自身で決めていかなければいけません。フリーランスの毎日は意思決定の連続です。

そのときに、勘や経験や度胸、感覚や感情などでも意思決定をすることはできますが。

唯一無二かつ万人共通のモノサシである「数字」をよりどころにできれば、意思決定の精度・確度はぐんと上がります。

このときの「数字」は鮮度が高いものが望ましく、確定申告のためだけに1年に1回だけ計算された数字ではダメなのです。古い数字では、ただしい意思決定をすることができません。

したがって。経理は、よどみなく流れる川のごとく、です。日々経理、毎日経理がベスト。そのようなゴールを描きながら、ただしい経理をはじめていきましょう。

 

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  きょうの執筆後記
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