フリーランスが避けては通れない経理(帳簿つけ)。
なかでもアタマを悩ませる勘定科目の決め方について、そのポイントをお話していきます。
避けては通れぬ経理、アタマを悩ませる勘定科目
フリーランスが避けては通れないもののひとつに「経理(帳簿つけ)」が挙げられます。年に1度の確定申告に向けて、経理を「やらなければ」いけません。
その経理について。アタマを悩ませるのが「勘定科目をどれにするか?」です。経理をはじめたばかりであればなおさらでしょう。
というわけで。フリーランスが覚えておきたい、勘定科目の決め方のポイントをお話してきます。ポイントはぜんぶで5つです ↓
- 絶対的な正解はない
- ただし、基準を持つ・基準を変えない
- 「雑費」は使わない
- じぶんに合った勘定科目をつくっていい
- 内訳の集計ができるようにしておく
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
フリーランスが覚えておきたい!勘定科目の決め方5つのポイント
《ポイント1》絶対的な正解はない
勘定科目はどれが正しいんだろう…? 悩むフリーランスは少なくありません。実際、当ブログには毎日、勘定科目を検索する方が多く訪れています。
ところが、勘定科目に絶対的な正解はありません。これが1つめのポイントです。
たとえば、クルマのガソリン代。その勘定科目は「旅費交通費」でも「車両費」でもかまいません。どっちだろう?と悩む人がいますが、「どっちが正しいか?」で悩む必要はないということです。
どっちでもいいだなんて、ちゃんとやらないと税務署に怒られるんじゃなかろうか。と、思われるかもですが。
旅費交通費にしても車両費にしても、どちらも「経費」であることに変わりはありません。経費である以上、どっちにしても税金の額が変わるわけでもないので税務署的にも問題はないのです。
(当然ながら、そもそも経費ではないものを経費にするのは問題になります)
とはいえ、ガソリン代を「接待交際費」とか「地代家賃」などとするのは「さすがにおかしい」のは言うまでもありません。
要は、「おおむね合っている」と言える勘定科目であれば、それでよいということです。必要以上に悩まないようにしましょう。
《ポイント2》ただし、基準を持つ・基準を変えない
いましがた「勘定科目に絶対的な正解はない」と言いました。
ただし。勘定科目を決めるうえで基準を持つ、その基準を変えない。これが2つめのポイントです。
たとえば、さきほどのガソリン代。このあいだは「旅費交通費」にしたけれど、このたびは「車両費」にしているような場合。
これだと、勘定科目を決める基準がないし、あっても基準を変えていることになってしまいます。これは問題です。
では、基準がない・基準を変えることのなにが問題なのかと言えば。それは、「比較ができなくなる」ことです。
あるときは旅費交通費、またあるときは車両費というのでは、「先月と今月の旅費交通費を比べてみよう」ができません。比べても意味がなくなってしまいます。
ガソリン代が旅費交通費だったり、車両費だったりしているからですよね。
それでも経費は経費なのだから、税務署的にはOKだよね? と思われるかもですが。税務署的にはOKでも、あなた的にはNGです。
経理(帳簿つけ)は税務署のためだけにしているわけではありません。むしろ、本来はじぶんのために経理があります。
せっかく時間と手間をかけて経理をするのですから、じぶんにとっても役立つ情報を得られなければもったいない。
というわけで。勘定科目に正解はないけれど、基準を持つ・基準を変えないようにしましょう。基準を決めるにあたってはこちらの記事も参考に ↓
ガソリン代が旅費交通費だったり、車両費だったりしても税務署的にはOKだと言いました。たしかに、どちらも経費なので税金の額に変わりない点ではOKです。
ただし、基準が変わると毎年の確定申告書で勘定科目ごとに金額を比較をしたときにおかしなことになりかねません。
たとえば、前年はガソリン代が車両費、今年は旅費交通費にした場合。「なんでこんなに旅費交通費が増えたんだ?(なんかあやしい)」と税務署の関心をひく可能性があります。
《ポイント3》「雑費」は使わない
損益計算書のなかには「雑費」という費用の勘定科目があります。これを見て「なんだか便利そうな勘定科目だな」と多用する。
やめましょう。「雑費」は使わない。これが3つめのポイントです。
雑費は積極的に使うような勘定科目ではありません。他の勘定科目にどうしても当てはまるものがなく、さいごにどうしようもなくて使うのが雑費なのです。
では、「どうしても他に当てはまる勘定科目がない」ということはあるのか?と言えば。無いと言えば無い。どれかしらの勘定科目に当てはめることができるはずです。
どの勘定科目にすればいいかよくわからないから雑費にしちゃえ、という使い方をする人もいますが、これは税務署的にもNGです。
決算書の「雑費」に掲載される金額が大きいほど、税務署は「中身はなんだろう? ほんとうに経費なのかなぁ?」と考えます。調べたくなります。でも、調べられたくはありませんよね。
もちろん、あなた的にもNGです。なんでもかんでも雑費にしていたのでは、おカネをなにに使ったのかがさっぱりわからなくなってしまいます。経理から役立つ情報が得られません。
だから「雑費」は使わない。覚えておきましょう。
《ポイント4》じぶんに合った勘定科目をつくっていい
さきほど「他の勘定科目にどうしても当てはまるものがなく、さいごにどうしようもなくて使うのが雑費」だと言いました。
そうは言うけど、実際、当てはまりそうにないものもけっこうあるじゃないか! と思われるかもしれません。
税務署(国税庁)が提供している「青色申告決算書」に掲載された勘定科目は限られていて当てはまらないものもある、ということですね。
けれども、その決算書には「空欄」が用意されています。損益計算書にも貸借対照表にもいくつかの空欄があり、自由に勘定科目をつくっていいようになっています。
というわけで4つめのポイントは、じぶんに合った勘定科目をつくっていい、です。
たとえば、損益計算書で言うと。研修やセミナーに参加したときの費用について、もともと掲載されている勘定科目のなかには適当なものがありません。
そこで空欄を使って「研修費」など内容に合った勘定科目をつくるのがよいでしょう。
さきほどから例示しているガソリン代も、実は「車両費」という勘定科目はもともとの掲載がありません。車両費で経理するのであれば、やはり空欄を使って勘定科目をつくることになります。
もともと決算書に掲載されている勘定科目に適当なものがないからと「雑費」を使ったりせず、じぶんに合った勘定科目をつくってみましょう。
そのあたりの参考として、こちらの記事もどうぞ ↓
《ポイント5》内訳の集計ができるようにしておく
「旅費交通費の金額が多いけどなんだっけ?」など、勘定科目とその金額を見るだけでは疑問に思うことがあるでしょう。
この点で、勘定科目の「内訳」がわかると疑問は解消しやすくなります。
たとえば。旅費交通費について「電車・バス代」「タクシー代」「ガソリン代」「カーシェア代」「駐車場代」などの内訳で金額がわかるとしたら。
「あぁ、今月はタクシー移動が多かったんだ」と、かんたんに気が付きやすくなります。
同じように、売上高を得意先ごとや商品ごとに内訳をとれば売上分析に役立ちます。売掛金を得意先ごとに内訳をとれば回収管理に役立ちます。
損益計算書・貸借対照表それぞれの勘定科目について、勘定科目を決めるだけではなく、その内訳をとることも検討してみるとよいでしょう。
というわけで、内訳の集計ができるようにしておく、が5つめのポイントになります。
具体的な方法としては、会計ソフトの「機能」を使うのがお手軽です。
マネーフォワードクラウドや弥生会計では「補助科目」と呼ばれる機能があります。勘定科目の内訳として補助科目を設定することで、補助科目ごとの金額集計ができるようになります。
freeeだと「タグ」と呼ばれる機能を使って、同じようなことができます。
ひと手間ありますが、その結果で得られる情報はじぶんの役に立つはずです。会計ソフトも「ただ確定申告できればいい」ではなく、「どうしたらじぶんに役立つか、どうしたら日ごろの判断に役立つか」を考えてみましょう。
確定申告・経理におすすめのメニュー
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まとめ
経理(帳簿つけ)をするうえで、多くのフリーランスが「勘定科目をどうするか?」でアタマを悩ませています。
その悩みを解決すべく、勘定科目の決め方についてはポイントを押さえておきましょう。
- 絶対的な正解はない
- ただし、基準を持つ・基準を変えない
- 「雑費」は使わない
- じぶんに合った勘定科目をつくっていい
- 内訳の集計ができるようにしておく