会計・経理で使われる「英語の略称」があります。たとえば、「PL(ピー・エル)」とか、「BS(ビー・エス)」とか。
その英語略称について。耳にすることもあれば、目にすることもありそうなもの10個、お話していきます。
はて、「ピーエル」とはなんぞや。
会計・経理で使われる「英語の略称」があります。わりと知られたところで言えば「PL(ピー・エル)」とか、「BS(ビー・エス)」とか。
そのような「英語略称」を耳にすることもあれば、目にすることもあるでしょう。そのときに、「はて、PLとはなんぞや? BSとはなんぞや?」なんてこともあるでしょう。
そこで。会計・経理で使われる英語略称なにこれ? というものを10個ほど集めてみました。こちらです↓
- PL
- BS
- CF
- FS
- TB
- SGA
- DEBT
- GAAP
- IFRS
- EBITDA
これらを見て、「なにこれ?」というものがあれば。このあとのお話で確認をしていただければと思います。知っていて損はないはずです。
それでは、順番に見ていきましょう。
会計・経理で使われる英語略称なにこれ10選
1.PL
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の1つめ。それは、「PL(ピー・エル)」です。
PLと言っても、高校野球のあの名門校のことではありませぬ。いまは会計・経理のお話、ということで。PLとは「損益計算書(Profit and Loss statement)」の略称になります。
じゃあ、「損益計算書」って言えよ。とも、思うわけですが。「損益計算書」と発音するよりも「ピーエル」と発音するほうがラクちんです。なにより、かっこよさげだから「ピーエル」と言うヒトもいるとかいないとか。
損益計算書とは、いわゆる「決算書」のなかに含まれる書類の1つ。損益計算書とは、「1年間の経営成績をあらわす書類である」などと解説されます。
もう少し平たく言うと、その会社の「利益」を計算する書類です。損益計算書は「売上 − 費用 = 利益」という構成になっており、決算書のなかでは比較的わかりやすい書類だと言えるでしょう。
2.BS
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の2つめ。それは、「BS(ビー・エス)」です。
BSとは「貸借対照表(Balance Sheet)」の略称になります。貸借対照表もまた、さきほどの「PL(損益計算書)」と同じく、「決算書」のなかに含まれる書類の1つです。
貸借対照表とは、「一定時点における財政状態をあらわす書類である」などと解説されますが。もう少し平たく言うと、その会社の「純資産(自己資本)」を計算する書類です。
算式で言うと「資産 − 負債 = 純資産」。これが、貸借対照表の構成です。
ちなみに。貸借対照表を眺めると「資産 = 負債 + 純資産」と見えることから、「資産」と「負債+純資産」とがバランス(均衡)する。だから、バランスシートと呼ばれるのだ。
というのは、違うようです。「Balance (バランス)」には「残高」との意味があり、資産や負債などの「残高」を一覧にした書類だからバランスシートと呼ばれる。というのが正解です。
3.CF
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の3つめ。それは、「CF(シー・エフ)」です。
CFとは「キャッシュフロー計算書(Cash Flow statement)」の略称になります。
キャッシュフロー計算書もまた、さきほどの「BS(貸借対照表)」や「PL(損益計算書)」と同じく、「決算書」のなかに含まれる書類の1つ。だということは、意外と知られていません。
なぜなら、中小企業にはキャッシュフロー計算書を作成する義務がないからです。自主的にキャッシュフロー計算書をつくっている中小企業はごくわずか。
キャッシュフロー計算書の構成は、「期首のおカネの残高 + 収入 − 支出 = 期末のおカネの残高」。おカネがどれくらい増減したのか、なぜ増減したのかをあきらかにする書類がキャッシュフロー計算書です。
なお、CFには単純に「キャッシュフロー(おカネの収支)」との使い方もあることから、それと区別をするために、キャッシュフロー計算書を「CS(Cash Flow Statement)」と表現することもあります。
4.FS
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の4つめ。それは、「FS(エフ・エス)」です。
FSとは「財務諸表(Financial Statements)」の略称になります。
財務諸表とは、「会社がその利害関係者(株主、社員、銀行など)に対して、一定期間の経営成績や財務状態を明らかにするためにつくられる書類全般」です。
日常的には、「決算書」と同じような意味合いで使われることも多く、前述した「損益計算書」や「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」などを総括して「財務諸表」、ということになります。
ちなみに。財務諸表のなかにはほかにも、貸借対照表の純資産の動きをあらわす「SS(Statements of Shareholders’ equity・株主資本等変動計算書)や、製造業などでつくられる「CR(Cost Report・製造原価報告書)」などがあります。
まぁ、実際に「SS」とか「CR」とか言っている光景はレアですが。略称で言われてもようわからんから、略さないで言ってよね。という身も蓋もないようなハナシです。
[ad1]5.TB
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の5つめ。それは、「TB(ティー・ビー)」です。
TBとは「試算表(Trial Balance)」の略称になります。
試算表とは本来、「決算が確定する前に、決算の準備段階として作成する、各勘定科目の集計表」のこと。と、言われても「なんのこっちゃ?」という感じなのですが。
日常的には、「決算書の月間版」との認識が広まっています。つまり、決算書が1年に1回作られるのに対して、決算書と同じようなものを毎月1回つくる。その毎月つくるものを「試算表」と呼んでいる。
でも、なんでわざわざ、毎月つくるの? メンドーだから1年に1回でいいじゃん。なんて、言わないでください。毎月つくるのは、タイムリーに会社の状況を把握するためです。
ゆえに、試算表を毎月つくっていない会社は、「いまどうなっているか認識できていない危ない会社」であって。融資を受けようとするときなどは、銀行から警戒されることを覚えておきましょう。
6.SGA
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の6つめ。それは、「SGA(エス・ジー・エー)」です。
SGAとは「販売費及び一般管理費(Selling, General and Administrative Expenses)」の略称になります。販売費及び一般管理費とは、前述した「損益計算書(PL)」のなかに含まれる項目のひとつです。
商品・サービスを販売するための直接的な費用(販売費)と、会社全体の管理業務にかかる費用(一般管理費)の合計額が「販売費及び一般管理費」になります。
具体的に言うと、給料・賞与、接待交際費、旅費交通費、消耗品費、地代家賃… といった各種の費用です。
これらを総称して「販売費及び一般管理費」と発音するのもおっくう(な、長い)なので、会計・経理にこなれたヒトは「販管費(はんかんひ)」などと略します。
そして、会計・経理分野のオシャレさんな専門家などは「SGA」と略すのだと思います。たぶん。
7.DEBT
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の7つめ。それは、「DEBT(デット)」です。これについては、略称ではなく、英語そのものですが。
DEBTとは「負債、債務、借入金」をあらわす英単語になります。
会計・経理に関わっていると、「負債、債務、借入金」といった話はよく登場するわけで。そのときに、「デット」と表現されることがわりとよくあるように思います。はい。
そこは「負債」とか「借入金」って言えばいいんじゃなかろうか? と、個人的にはわりとよく思うのですけど。「デット、デット」と連呼されているケースがあったりして…
とはいえ。「デット」って、そんなに広く一般に理解されているような英語ではない気がするので、ここに取り上げてみたしだいです。
[ad1]8.GAAP
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の8つめ。それは、「GAAP」です。「ガープ」とか、「ギャープ」とか、「ギャップ」などと発音されます。いろいろです。
そんな「GAAP」とは、「一般に公正妥当と認められた会計原則(Generally Accepted Accounting Principles)」の略称になります。
と、言われても。ふつうは、「一般に公正妥当と認められた会計原則」ってなんなのよ? というハナシでしょう。要は、「会社が守るべき会計のルール」みたいなものです。
たとえば。会社法431条には「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」などと書かれています。
また、法人税法22条には「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする」などと書かれていまして、そのあたりが「GAAP」です。
じゃあ、GAAPとは具体的になんなのよ? と言うと。ひとつは「企業会計原則」です。1949年に、企業会計制度対策調査会が公表した会計基準。ふ、古い…
また、ひとくちに「会計基準」と言っても、世界にはいろいろありまして。
アメリカにおいては、米国会計基準として「US GAAP」があるし。会計基準を世界規模で統一しようとする、「IFRS」もあります。その「IFRS」が、次のお話です↓
9.IFRS
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の9つめ。それは、「IFRS」です。「イファース」とか、「アイファース」とか、「アイエフアールエス」などと発音されます。これまたいろいろです。
そんな「IFRS」とは、「国際会計基準(International Financial Reporting Standards)」の略称になります。
さきほど、「GAAP」の項目で、「一般に公正妥当と認められた会計原則」というお話をしました。具体的には「会計基準(会社が守るべき会計のルール)」なのですが、会計基準にもいろいろある。
で、その会計基準を世界規模で統一しようというのが「IFRS」になります。国際会計基準審議会(IASB)というところがつくりました。
グローバル化が進む世の中ですから、日本の企業でも、積極的に「IFRS」を取り入れる上場企業も増えています。
日本の「GAAP」も、「IFRS」と整合性をとっていくものと思われますから。その動向にも、注目をしておくとよいでしょう。
10.EBITDA
会計・経理で使われる英語略称なにこれ、の10個め。それは、「EBITDA」です。
「イービットディーエー」とか「イービットダー」などと発音されます。ほかにも、イービッタ、エビータ、エビティーダとか、どんだけだよ。という感じです。
それはそれとして。「EBITDA」とは、「利息の支払い前、税金の支払い前、減価償却費の控除前の利益(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)」の略称になります。
と、言われても。なんのことだかよくわかりませんよね。そこで、「EBITDA」を端的に算式であらわすとこうなります ↓
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費
税金の支払い前というのは「税引前利益」です。その税引前利益から、さらに利息の支払い前というと、おおむね「営業利益」です。それに、「減価償却費の控除前」なので、上記のような算式でよろしいかと。
EBITDAは、名称や算式からもわかるとおり、「利息、税金、減価償却費」の影響を排除するはたらきがあります。
金利の水準や税率、減価償却の計算方法は、世界で見ると各国ごとに差があります。その差を含めた「税引後利益(最終利益)」などで大企業を見ていると、他国の企業と比較ができない、比較しづらい…
というわけで、EBITDAの指標が大企業を中心に重宝されることとなったのです。が、実は中小企業においても、近年ではEBITDAは注目の指標とされています。そのあたり、ご興味あればこちらの記事も ↓
まとめ
会計・経理で使われる「英語の略称」があります。その英語略称について、耳にすることもあれば、目にすることもありそうなもの10個、お話してきました。
なにこれ? というものがあれば、これを機会に押さえていただければと思います。知っていて損はないはずです。
- PL
- BS
- CF
- FS
- TB
- SGA
- DEBT
- GAAP
- IFRS
- EBITDA