会社が銀行に融資を依頼するときには、銀行が必要とする情報をスムーズに伝えることが大切です。
そこで。5W1Hに沿って情報を伝えましょう、というお話をしていきます。
5W1Hって、どこか懐かしい。
会社が銀行に融資を依頼するときには、銀行が必要とする情報をスムーズに伝えることが大切です。
って、そんなのあたりまえだろう。そう思われるかもですが。では、「銀行が必要とする情報」とはなんなのか。具体的に挙げることができるか? と言えば。あたりまえにはいかないこともあるのではないでしょうか。
というわけで。銀行が必要とする情報について、まとめてみることにします。結論として、「5W1H」にまとめることが可能です。5W1Hって、なんか昔、学校でならったような… と、懐かしんでいる場合ではありません。
こういうことです↓
- When(いつ)
- Where(どこ)
- Who(だれ)
- What(なに)
- Why(なぜ)
- How much(いくら)
これら5W1Hのそれぞれについて、銀行融資ではどういうことをあらわすのか。このあと、順番に見ていきましょう。
銀行に融資を依頼するときの5W1H
5W1Hについてお話をしていきますが。ここからは、銀行に話をしやすいように、「順序」を入れ替えたうえで、見ていくことにしましょう。
Why(なぜ)
銀行に融資を依頼するときの5W1H、まずは「Why(なぜ)」から。
銀行融資における「Why(なぜ)」は、いわゆる「資金使途」にあたります。資金使途とは、借りたおカネの使いみち。借りたおカネをなにに使うのか。なぜ、おカネを借りる必要があるのか? ということで「Why」です。
銀行は、資金使途が無いおカネ・資金使途が不適当なおカネを貸すことはできません。したがって、融資を依頼されたときには必ず、資金使途を確認します。会社は、よどみなく資金使途を回答できるようにしておきましょう。
資金使途は大きく分けると2つ。設備資金か運転資金か、です。細かく分けるともう少しありますので、くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
なお、資金使途について「ウソ」はいけません。おカネを借りたいからと言って、ウソの資金使途を言ってしまう社長もいるわけですが。ウソがバレると「ペナルティ」が待っています。そして、ウソはいずれバレるものです。安易にウソをつくのはやめましょう。
How much(いくら)
銀行に融資を依頼するときの5W1H、続いては「How much(いくら)」。
銀行融資における「How much(いくら)」は、「融資希望額」にあたります。いくらのおカネを借りたいのか? ということで「How Much」です。
この点で、「借りられるだけ」とか「銀行におまかせ」というのは、基本的にはおかしなハナシになります。銀行は、会社が必要なだけのおカネを貸すのであって、貸せるだけ貸すのではありません。
それに。前述の「資金使途」が決まっていれば、おのずと「いくら必要か」も決まるはずです。したがって、融資の依頼をするときには、会社のほうから「〇〇万円借りたい」と伝えるようにしましょう。
とはいえ。いくらくらい借りられるのかがわからなければ、「〇〇万円借りたい」とも言えないよね… というのも一理あります。あまりムチャな金額を言うのもなんですし。
というわけで、自社がどれくらいの「借入余力」があるのか? その考え方・計算方法を押さえておくとよいでしょう。くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
ちなみに。銀行が「貸したい」と融資セールスをしてくる場合には、「Why」や「How much」は銀行のほうで考えてくれることになります。少々おかしな気もしますが、事実は小説より奇なりです。
[ad1]When(いつ)
銀行に融資を依頼するときの5W1H、続いては「When(いつ)」。
銀行融資における「When(いつ)」は、「融資希望時期」にあたります。いつ、おカネを借りたいのか? ということで「When」です。
銀行に融資を依頼するときには、融資希望時期を伝えるようにしましょう。いつまでに借りたいのかが伝わっていないと、会社がおカネを必要とする時期に間に合わない… ということもありえるからです。
また、「いつまでに」ということが決まっていないと、銀行担当者のスピード感に任せることにもなってしまいます。場合によっては、なかなか話が進まない… ということはあるものです。
したがって、「いつまでに借りたいのか」を銀行に伝える。あるいは、「いつまでに検討してもらえるか」を銀行に確認するようにしましょう。
ちなみに。急ぎで借りようとするのは、良いことではありません。銀行からすれば、「もっと前もって借りればいいのに」と考えるところです。審査には相応の時間がかかりますから、急ぐと言っても限度があります。
ですから、融資希望時期を伝えるときには、「余裕をもって」が望ましいことを覚えておきましょう。向こう1年ていどの資金繰り予定表を添えて、そのなかで融資希望時期を銀行に伝えるのがベストです。計画性のある会社だと、好印象・高評価を得やすくなります↓
What(なに)
銀行に融資を依頼するときの5W1H、続いては「What(なに)」。
銀行融資における「What(なに)」は、「事業内容」にあたります。自社はいったい、なにをしている会社なのか? ということで「What」です。
事業内容、つまり、自社の商売について、銀行融資では重要な情報になります。そんなの「決算書」を見ればわかるじゃないか、と思われるかもしれませんが。決算書でわかるのは、大まかな業種・業態くらいです。
どんな商品・サービスを売っているのか、どんなお客さんに売っているのか、売上単価はどのくらいなのか、など。商売のくわしい内容を決算書から読み取ることはできません。
けれども、決算書からは読み取れない情報のなかにこそ、自社の強み・弱み、競合他社との違いなどが含まれています。そういった情報がないと、銀行は会社の将来性をはかりづらく、融資を検討しづらいものです。
逆に、情報があれば、会社の将来性をはかることができるので、融資を柔軟に検討しやすくなります(決算書の良し悪しだけで、融資判断をされなくなる)。
というわけで。会社は、決算書とは別に、自社の事業内容を銀行に伝えるようにしていきましょう。伝え方としては、「ローカルベンチマーク」というツールをつかうのがおすすめです。くわしくはこちらの記事をどうぞ↓
Where(どこ)
銀行に融資を依頼するときの5W1H、続いては「Where(どこ)」。
銀行融資における「Where(どこ)」は、「事業計画」にあたります。自社はこの先、どこへ向かっているのか? ということで「Where」です。
銀行に提示する「決算書」や「試算表」は、過去の数字に過ぎません。過去は過去で「実績」として重要なのですが、将来の「予測」についても銀行は気にしています。
過去の実績が良かったとしても、その実績が続くかどうかを知りたい。過去の実績が悪いのであれば、今後、改善の見込みがあるのかどうかを知りたい。というのが、銀行の思いです。そのあたりを、事業計画書をつくって説明するようにしましょう。
事業計画書には、まず前提としての「経営理念」にはじまり、現状分析、課題・問題の特定、問題解決策、行動計画、利益計画、資金繰り計画、が盛り込まれているとベストです。
なんだかメンドーだなぁ、と思われるかもですが。事実、多くの社長がそう思っているので、事業計画書をつくっていません。ですから、事業計画書をつくって、それを銀行に説明することができれば、それだけで銀行の見る目は変わります。
もちろん、会社自身にとっても事業計画書は役に立つものですから、ぜひともチャレンジしてみましょう。
[ad1]Who(だれ)
銀行に融資を依頼するときの5W1H、さいごは「Who(だれ)」。
銀行融資における「Who(だれ)」は、「社長・社員」にあたります。社長や社員のようすはどうだろう? ということで「Who」です。
融資を受けるのは会社ではありますが。銀行は、その会社の「社長・社員」のようすを気にしているものです。社長の人柄はどうだろう? 事業に対する熱意はどうだろう? 社員の仕事ぶりはどうだろう? みたいな。
たとえば、約束の時間に遅れるような社長は、銀行から嫌われます。それがたとえ1分でも、一事が万事「なにごともルールを守れないヒト」と見られてしまうからです。
決算書などから各種支払の遅延や滞納がわかれば、それもまた「ルールを守れないないヒト」として見られてしまうことになります。
また、銀行が会社の事務所や工場などに出向く際には、そこで目にする社員のようすもチェックをしているものです。社員の挨拶や対応が良くないものであれば、「取引先にも同じなんだろうか?だとしたら、商売はうまくいかないだろうなぁ…」と想像することでしょう。
銀行には「ヒトを見て貸せ」の言葉もあります。銀行が見ているのは、会社そのものばかりではなく、社長・社員のようすまで見ている。その前提で、対応・行動するようにしましょう。
銀行融資におすすめのメニュー
モロトメジョー税理士事務所では、「銀行融資のサポート」をするメニューをそろえています! 当事務所は経営革新等支援機関の認定を受けています。
銀行融資の記事まとめページ
銀行融資入門セミナー
銀行融資・財務のコンサルティング
銀行融資の個別相談
まとめ
会社が銀行に融資を依頼するときには、銀行が必要とする情報をスムーズに伝えることが大切です。
そこで、5W1Hに沿って情報を伝えるようにしてみましょう。必要なことを漏れなく伝えられれば、融資はより受けやすくなります。