銀行からの評価を上げるにはどうしたらいいのか? 決算書の内容を良くするのは大前提として。
ほかにも、情報を開示することで、銀行からの評価を上げられますよ。という、お話をしていきます。
情報を出し惜しむと評価は上がらない。
銀行から融資を受けようとしている、あるいは、すでに受けている会社の社長であれば、「銀行からの評価を上げたい」と考えていることでしょう。
銀行からの評価が上がれば、言うまでもなく、融資が受けやすくなるからです。そこで、一生懸命に決算書の内容を良くするのは「大前提」として。ほかにもなにかないのか?
あります。決算書のほかにも、銀行からの評価を上げる方法はちゃんとあります。それは、「必要な情報を開示する」ことです。銀行が融資先の評価をするにあたって、必要としている情報は「決算書」だけではありません。
というわけで、銀行がほかにどのような情報を必要としているのか? 銀行からの評価を上げるために、会社はどんな情報を開示すればいいのか? についてお話をしていきます。具体的にはこちらです↓
- 経営計画書
- ローカルベンチマーク
- 社長の個人資産
これらの情報を開示していない、というのであれば。ぜひ、このあとの話を確認しておきましょう。開示しているか・いないかで、融資の受けやすさに間違いなく差が出ます。
銀行の評価を上げたいなら、会社が開示すべき3つの情報
経営計画書
銀行の評価を上げたいなら、会社が開示すべき情報。まず、1つめは「経営計画書」です。どこかで聞いたことがあるようなハナシかもしれませんが。
聞いたことはあっても、それを実践している会社となると少ないものです。経営計画書を銀行に提示している会社は、よくて1〜2割くらいでしょう。そもそも、経営計画書をつくっていない会社が少なくありません。
それはそれとして。なぜ、経営計画書を開示すると、銀行からの評価が上がるのか?
経営計画書には、定性評価に関する情報が多く含まれているからです。ちなみに、定性評価とは、定量評価と対をなす評価であり、「数字(量)では測れないもの」ということになります。
銀行は、数字だけを評価して融資の可否を判断しているのではなく、数字以外にも目を向けて、融資の可否を判断していることを覚えておきましょう。
定性評価として、具体的には次のような項目が考えられます↓
・市場動向(市場がどのステージにあるか)
・景気感応度(景気の影響を受けるか否か)
・市場規模(大きいか・小さいか)
・競業状況(競合が多いか・少ないか)
・業歴(長いか・短いか)
・経営者・経営方針(社長の資質・会社の方向性はどうか)
・株主(安定しているか)
・従業員のモラル(良いか・悪いか)
・営業基盤(強いか・弱いか)
・競争力(大きいか・小さいか)
・シェア(大きいか・小さいか)
逆を言うと、これらの項目に対する「答え」が含まれていない経営計画書では、銀行に開示する経営計画書としては「不十分」だと言えます(もちろん、会社自身にとっても不十分ではありますが)。
ありがちなところでは、数値計画だけしかなく、その前提がない。本来、経営計画書をつくる順序として、現状の分析や課題の把握がなければいけません。
具体的には、いわゆる「SWOT分析」や「3C分析」といったフレームワークを利用します。このあたりがよくわからない、ということであれば。書籍で勉強する、コンサルタントや税理士などに聞いてみましょう。
経営計画書は、銀行融資において、これまでよりも重要性が高まっているものと考えられます。経営計画書の作成が、融資を受けるにあたっての要件になりだしていることがひとつ↓

また、いま銀行は「本業支援(融資先の事業支援)」にチカラを入れていることもひとつです。銀行は、融資支援だけではなく、本業支援することで、融資先といっしょに成長しよう。そうでなければ、銀行が生き残ることはできない、という状況にあります。
したがって、経営計画書を提示できる会社は、銀行からの支援(融資支援も本業支援も)を受けやすく、提示できない会社は支援が受けにくくなるものと理解しておきましょう。
[ad1]ローカルベンチマーク
銀行の評価を上げたいなら、会社が開示すべき情報。2つめは「ローカルベンチマーク」です。最近では、認知度も上がってきましたので、「知ってはいる」という社長も多いのではないでしょうか。
けれどもやはり、知っているけど「使ったことはない」という社長も多いことと推測します。結論として、ぜひ、ローカルベンチマークを使ってみましょう。
ローカルベンチマークとは、経済産業省が提供する「健康診断ツール(Excelファイル)」です。そのなかみは大きく2つ、「定量情報(財務情報)」と「定性情報(非財務情報)」とにわかれています。
経営計画書と同様に、定性情報を提供できるのがポイントです。
なお、ツールは「ローカルベンチマーク」でネット検索をして、ローカルベンチマークの専用サイトからダウンロードしましょう。
ちなみに、昨日(2021年9月8日)、ローカルベンチマークのサイトにアクセスしたところ、突然に「大幅リニューアル」されていてびっくりしました。
とはいえ、それくらいチカラが入っている、チカラを入れ続けているツールだということでもあります。銀行でも、ローカルベンチマークを利用した支援が増えてきましたので、今後もますますの活用が期待できるところです。
会社側の使いかたとしては、まず、社長がいちど、ローカルベンチマークをつくってみる。そのうえで、銀行担当者に提示をしてアドバイスを求める、という流れがよいでしょう。必要に応じて、コンサルタントや税理士などに意見を求めるのもおすすめです。
ローカルベンチマークは、会社がつくっておしまいではありません。会社がつくったローカルベンチマークを「たたき台」として、会社の関係者とコミュニケーションを深めるところに「本質」があります。
銀行とのコミュニケーションが深まれば、銀行からの支援が受けやすくなるものです。ローカルベンチマークをつくるうえでの考え方、作成ポイントはこちらの記事も参考にどうぞ↓


社長の個人資産
銀行の評価を上げたいなら、会社が開示すべき情報。3つめは「社長の個人資産」です。イヤだイヤだ、個人の資産など、ぜったいに教えたくない! と思われるかもしれませんが。
良くも悪くも、「中小企業と社長は一心同体」というのが銀行の見方です。社長に個人資産があれば、それもまた、会社の資産とあわせて考えます。
したがって、会社の資産がじゅうぶんでない・業績が悪い場合でも、社長個人に資産があれば、銀行からの評価が得られる。融資が受けられる、ということがあります。
逆に、会社の資産がじゅうぶんでない、社長個人の資産もない、となれば。当然、融資は受けにくくなるところです。実際に、個人資産がないのであればしかたありませんが、あるのなら情報開示することを考えましょう。
担保にとられることを心配する社長もいますが、それはまた別の問題です。銀行は必ずしも担保にとらずとも、個人資産の存在を確認するだけで、評価上の加点はあります。
それでも担保にほしいと言われたら断るのも、ひとつの選択肢です。
なお、個人資産は、会社の資産がじゅうぶんでないときや、業績が悪いときだけに役立つわけではありません。会社の資産がじゅうぶんなとき、業績が良いときにも役立ちます。
個人資産があることで、銀行の「安心感」が高まることから、融資条件の改善につなげることができる。具体的には、金利の引き下げ、プロパー融資、短期継続融資や当座貸越、経営者保証の解除など。
こういったことを望むのであれば、社長の個人資産を開示することも検討してみましょう。個人資産をリストにして、銀行に提示すればOKです。
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まとめ
銀行からの評価を上げるにはどうしたらいいのか? 決算書の内容を良くするのは大前提として。
ほかにも、情報を開示することで、銀行からの評価を上げることができます。どんな情報を開示すればいいのか、押さえておきましょう。
- 経営計画書
- ローカルベンチマーク
- 社長の個人資産
定性評価の項目