クラウドサービスは「大きな波」として広がりをみせています。
 サービス内容も増え、さまざまな分野でその利用が進んでいます。
業種・業態を問わず、「これは事業で使える!」というクラウドサービスについてお話しします。
事業に役立つクラウドサービス ー おさらい ー
前回、当事務所で使っているクラウドサービスについてお話ししました。
 おさらいとして、その際に提示した一覧表を再掲します。
| サービス | 用途 | 利用料金(年間) | 
| MFクラウド確定申告 | 会計 | ベーシックプラン 8,800円 | 
| MFクラウド請求書 | 見積書・請求書作成・管理 | Starter 6,000円 | 
| ChatWork | 顧客コミュニケーション | 無料 | 
| CloudSign | 契約締結・管理 | 無料 | 
| Evernote | タスクとデータの保存・管理 | プレミアム 4,000円 | 
| Dropbox | データの保存・管理・共有 | Pro 12,000円 | 
前回までで、経理まわり、コミュニケーションまわりのお話をしました。
 今回は、データ管理についてのクラウドサービスです。


データ管理まわりのクラウドサービス
CloudSign ー 契約締結・管理 ー
選定理由と使い方
CloudSign(クラウドサイン)は、Web上で契約を締結・管理できるサービスです。
流れを簡単に示すと、
 1.送信者 作成した契約書をPDFファイルでアップロード
 2.送信者 相手側に送信(メールで契約書のURLを通知)
 3.受信者 Web上で契約書を確認・記名押印
はっきり言って、とてもラクです。
 いままでこのサービスを使っていなかった相手にも、記名押印について迷うことや時間がかかることはないでしょう。
 操作については直感的に対応できますし、対応個所もわずかです。
自分がこのサービスを使い始めた最大のメリットは、「紙のわずらわしさからの解放」にあります。
 この点、従来とどう変わるのかというと、
・印刷する
   契約者の数だけ部数を印刷していた → 印刷はゼロ
 ・製本する
   複数枚にわたる契約書は製本、契印を部数分 → 製本もゼロ
 ・印紙を貼る
   課税文書であれば、部数分の印紙代
     → 現時点では電子データは課税されず、印紙代ゼロ
 ・記名押印する
   契約書部数分に契約者が各々、記名押印
     → 契約者各々がWeb上で数か所入力するだけ
 ・管理する
   締結された契約書を紙で保管 → 紙は発生しない(クラウド上で管理)
この解放感を知ると、もはや「紙に戻る」ことができなくなります。
 とはいえ、「電子の契約なんて法的に大丈夫?」なんて言われそうです。
 システム運営者の弁護士ドットコムでは次のよう回答しています。
日本の法律では契約方式は自由であり、
クラウドサインで契約を締結することは問題ありません。
もっとも、定期借地契約や労働者派遣個別契約書など、
一部の業法では「紙」の契約で締結が義務付けられております。
ご不明点がございましたら当社までお問い合わせ下さい。「CloudSign よくある質問」より引用
紙に慣れ親しんだ「私たち」には抵抗がありますが、一部の場合を除き、紙である必要はないわけですね。
 さらに、こんなことも言っています。
クラウドサインでは、双方が合意締結した書類に対し、
クラウドサインのみが発行可能な電子署名が付与されます。
電子署名には、強固な暗号化方式によって守られる
公開鍵暗号方式に基づくデジタル署名を採用しています。また、受信者本人のみに発行されるユニークなURLを生成する
「メールアドレス認証」に加え、
書類を閲覧するために必要な「アクセスコード」を設定できますので、
確実に受信者のみが閲覧・同意できないようにする設定も可能です。「CloudSign よくある質問」より引用
少々専門的表現があってわかりかねる部分はありますが、要は、「クラウドサインの法的証拠力を担保するしくみはしっかりしていますよ」ということですね。
各種の機能強化を予定しているようで、今後も期待できるサービスといえるでしょう。
 おすすめです。
利用料金
ユーザー数が1、月の契約書送信数が30件までなら無料です。
 その他の場合には、月額固定費10,000円+送信1件ごとに50円。
料金体系は今後変わるかもしれませんが、今の時点ではかなりの方が無料で使えるのではないでしょうか。
 最初にデモの体験もできますので、まずはおためしで使ってみてはいかがでしょう。
Evernote ー タスクとデータの保存・管理 ー
選定理由と使い方
いわゆるクラウドストレージと言われるサービスは多々ありますが、自分はEvernoteとDropboxの2つを使っています。
多くの中から選んだ理由は、どちらのサービスも、「定番中の定番」ということによる私の勝手な安心感です・・・
 もしかしたらほかにもっと良いサービスがあるのかもしれません。
それでも、選んだ2つのサービスについては、それぞれに「明確な役割」があります。
Evernoteは「情報を整理する」
  Dropboxは「データを溜める・共有する」
まずはEvernoteについてですが、他のサービスと特徴的に違うのは、「気になった情報をすきなカタチで保存」できることでしょう。
以前ご紹介した「ノート」や「ノートブック」というカタチによる保存。
 ノートには「タグ」づけも設定でき、関連の情報を整理するのに役立ちます。
 また、写真でも音声でも、Webサイトでもいろいろなカタチで保存できます。
こういった特徴から、自分はあくまで「情報の整理」として使っています。
 ですから、保存した情報は日常的に連続して整理を繰り返しています。
 保存しておしまい、ではありません。


このあとお話するDropboxはいわば「保存の道具」ですので、極端に言うと「保存したデータは溜めっぱなし」ですから決定的に違います。
利用料金
料金プランはベーシック(無料)、プラス(2,000円/年)、プレミアム(4,000円/年)と3つあります。
プランそれぞれ機能面の違いもありますが、「データのアップロード容量」の多さでプレミアムを選択しています。
 ベーシックは月間60MBまで、プレミアムは10GBまで。ケタがちがいます。
前述のとおり、自分は「日常的」に使っているので、安心できる容量としてプレミアムですが、無料の範囲で使われている方も多いサービスだと思います。
Dropbox ー データの保存・管理・共有 ー
選定理由と使い方
さきほどお話ししたとおり、Dropboxは「データを溜める・共有する」ために使っています。
 イメージとしては「外付けハードディスク」のような感じです。
特に小さめサイズのノートPCなどでSSDを採用している場合、データの保存容量は心もとないところがあったります。
 PC本体へのデータ保存は必要最低限にとどめたいのが本音です。
どこにいても、どのデバイスからでもアクセス可能な点でも、データ保存領域としてのクラウドストレージは便利で必要なもの。
 そのような理解で使っています。
すでに利用済みの方も多いと思いますが、「データの共有」についてもDropboxは便利です。
相手もDropboxを使っていれば、自分が保存しているファイル自体の共有ができます。
 相手が使っていない場合でも、リンクを伝えることでデータ共有することができます。
データをメールやUSBなどでやりとりすることは、情報管理上のリスクが伴います。誤送信、紛失など。
 また、データを更新するたびにやりとりしていると、データ管理上の煩雑さもあるでしょう。
 この点、Dropboxであれば共有・リンク先のデータは常に最新です。
利用料金
Basic(無料)とPro(12,000円/年)のプランがあります。
 ※ 組織利用向けのBusinessというプランが別にあります
BasicとProで機能面にも違いはありますが、私がProを選ぶのは容量が理由です。
 Basicは2GB、Proは1TB。もう、ぜんぜん違いますので否応なしですね。
まとめ
3回にわたり、当事務所で利用しているクラウドサービスをお話しました。
 クラウドサービスは「流れ」として確実にあるものです。
 従来の「価値」をまったく変えてくるクラウドは、その使い方で「革新」を起こすことができるものです。
 おおげさに言っているのではなく、事実「革新」です。
食わず嫌いはほどほどにしないと、「無知ゆえの損」を被ることになります。
 反面、粗悪なサービスにまで手を出すことがないように、見極める目はもたなければいけませんが。
クラウドサービスはわからないという方は、まずは周りの人から、「なんのサービスをどのように使っているか」聞いてみるとよいのではないでしょうか。
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   きょうの執筆後記
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昨日はちょっと具合の悪い部分があり、急きょ朝から病院へ。
 誰に気兼ねすることなくできるのは、フリーランスの利点のひとつ。
 だいじに至らないよう、早期対応が「ひとり身」の基本です。
 エラそうに言っていますが、まだ開業1か月・・・


