少々、乱暴な表現にはなりますが。「融資を受けたけりゃ、資金繰り表・計画書をとりあえず銀行に出せばいい」と考えています。
というわけで、その理由についてのお話です。
乱暴な主張だ、と言われても。
もしも、「会社で融資を受けたいなぁ」と思っているのなら。
「資金繰り表」と「計画書」を、とりあえず銀行に出せばいい。などと言ったら、「そんな乱暴な!」と叱られるのかどうなのか。
でも、わたしは心底、そう考えているので。叱られたとしても、そして、なんどでも言うでしょう。
『融資を受けたけりゃ、資金繰り表・計画書をとりあえず銀行に出せばいい。』
でもなぜ、そんなことが言えるのか? その理由についてお話をしていきます。こちらです↓
- 出すだけで一目置かれる
- 出し続けることで理解・改善が進む
- 評価が上がって良い条件で借りやすくなる
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
融資を受けたけりゃ、資金繰り表・計画書をとりあえず銀行に出せばいい。その理由
《理由1》出すだけで一目置かれる
融資を受けたけりゃ、資金繰り表・計画書をとりあえず銀行に出せばいい。と、言いました。
そもそも、「資金繰り表」とは。過去から将来にわたる、入金・出金の状況をまとめた書類です。ここで言う「過去」とは3ヶ月、「将来」とは1年ていど。
つまり、過去3ヶ月から向こう1年のあいだの入金・出金の状況をまとめた書類が「資金繰り表」です。
もうひとつ、「計画書」とは。事業計画書や経営計画書などと呼ばれる書類のこと。おもな内容として、「数値計画」と「行動計画」とが挙げられます。
将来、会社はどのような数字を目指しているのか(数値計画)。その数字を実現するためにどのような行動をとっていくのか(行動計画)。それらを明文化したものが「計画書」です。
では、その「資金繰り表」と「計画書」について。銀行に出している、という会社がどれくらいあるのか? きちんとした統計があるのかどうかわかりませんが。
わたしの肌感覚では、10%もないでしょう。5%だってあやしい。誤解を恐れずに言えば、ほとんどの会社は銀行に「資金繰り表」や「計画書」を出していないのです。
そんな「出していないのがあたりまえ」の状況で、もし、資金繰り表や計画書を出す会社があったらどうでしょう? ちょっとスゴいかも、って思いますよね。
銀行も、そう思います。ちょっとスゴい会社かも、と思います。
もちろん、資金繰り表も計画書もつくりゃあいい、ありさえすればいい、ということではありません。内容ありき、です。内容がだいじ。
ただ、それでも。多くの会社がつくっていない、あるいは、つくれずにいるなかで、まずつくろうとする「姿勢」は評価すべきものだと言えます。
資金繰り表でおカネを管理しよう、計画書をもとにブレない経営をしよう。そういった「姿勢」は、銀行から一目置かれるものです。事実、銀行員の方からは、そのような言葉を聞いています。
銀行から融資を受けたいのであれば、銀行に「貸したい」「貸してもいい」と思わせることです。そのためには、「ウチの会社は、ほかの会社とはちょっと違うんだ、スゴいんだ」という印象を与えることも大切です。
ぜひ、資金繰り表・計画書を銀行に出してみましょう。
《理由2》出し続けることで理解・改善が進む
融資を受けたけりゃ、資金繰り表・計画書をとりあえず銀行に出せばいい。その理由の1つめとして、「出すだけで一目置かれる」という話をしました。
続いて、2つめの理由は、「出し続けることで理解・改善が進む」です。
たとえば、資金繰り表について。ときおり、税理士の方からも「資金繰り表のつくりかたがわからない。教えてほしい」というご相談をいただきます。
と、言うと。資金繰り表をつくるのはそんなに難しいのか? と、思われるかもですが。そんなことはありません。
資金繰り表は「足し算・引き算」が基本です。微分積分のような難解な知識が必要になるわけではありません。
様式としても、月初現金預金にはじまり、当月入金を加算・当月出金を減算して、月末現金預金を計算するというシンプルなものです。
ところが、社長にしても税理士にしても、「資金繰り表のつくりかたがわからない」とはどういうことなのか?
つくりかたがわからないのではなく、つくったことがないだけです。
じぶんで手を動かして、つくってみれば、けして難しいものではありません。とくに、過去の資金繰り実績については、おカネ(現金預金)の動きを資金繰り表にあてはめるばかりです。
なれるまでは時間がかかるかもしれませんが、時間をかければきっとできます。
その「時間をかける」をしていないことが、「つくりかたがわからない」にすりかわっているだけなので。ぜひ、手を動かしてみましょう。
ちなみに。最終的には、Excelの関数やマクロなどをつかって、効率化するのはいいのしても。はじめは、実際に「じぶんの手」を動かすのがおすすめです。
手を動かすから、理解が進む。わたしはそう考えています。はじめから、効率化しようとすると(≒ラクをしようとすると)、「つくりかたがわからない」になってもしまいます。
なお、資金繰り「実績」に比べると、資金繰り「予測」のほうは、少々難易度が上がるところです。こちらの記事も参考にどうぞ↓
というわけで。手を動かして資金繰り表をつくることで、しくみが「理解」できるようになります。加えて、どうすれば「改善」できるかも見えてくるものです。
どこの数字が変われば、おカネが増えるのか、という「しくみ」がわかっているからですね。
したがって、資金繰り表を定期的に銀行に出し続けることで、理解と改善が進みます。改善が進めば、当然、銀行からの融資も受けやすくなります。
これは、計画書についても同じことです。
社長自身がアタマを悩まして、手を動かしてつくった計画書によって、理解・改善が進みます。
計画書をつくる過程で、いま現在の問題がわかってきますし、問題の解決策を考えることになります。解決策を行動計画に沿って実行できれば、実際に改善が進むでしょう。
こちらの記事も参考にどうぞ(赤字の会社を前提にした「経営改善計画書」についてですが、計画書の「本質」に変わるところはありません)↓
黒字の会社は、計画書をつくっている割合が高い、という統計データもあります。計画書をつくるから黒字になるわけではありませんが、黒字の会社が計画書をつくっているのは事実なのです。
それを銀行もわかっています。計画がある会社、計画に沿って経営できる会社は、良い会社だと考えています。
ですから、会社は計画書を銀行に出す。そのうえで、計画と実績との対比を、銀行にも定期的に報告するのがおすすめです。
[ad1]《理由3》評価が上がって良い条件で借りやすくなる
融資を受けたけりゃ、資金繰り表・計画書をとりあえず銀行に出せばいい。理由の3つめは、「評価が上がって良い条件で借りやすくなる」です。
資金繰り表や計画書を銀行に出すことで、融資を受けやすくなる、借りやすくなることはお話をしてきました。
ただ借りやすくなることに加えて、「良い条件」で借りやすくもなります。
まずは、「姿勢」を評価されるから。多くの会社がつくっていない資金繰り表や計画書をつくっている「姿勢」に対して、銀行はプラスの評価をするでしょう。
また、その「姿勢」を継続することで、会社の改善が進みます。改善による「実績」に対しても、銀行はプラスの評価をするでしょう。
これらプラスの評価によって、銀行の「貸したい」という思いは強まります。
評価が高ければ高いほど、つまり、良い会社であればあるほど、ほかの銀行も「貸したい」と考えるので、銀行どうしの競争が起きる。競争に勝つためには、銀行は、会社にとって「良い条件」を提示する必要があります。
たとえば、金利を下げるとか、担保・保証を求めないとか。
これは、資金繰り表・計画書によって、銀行から「プラスの評価」を得られたメリットだと言えます。
なお、「プラスの評価」は、会社が赤字のときにも活きるものです。
同じ赤字の会社があったとして。資金繰り表・計画書をつくっている会社と、つくっていない会社と。どちらのほうが融資を受けやすいかと言えば、つくっている会社のほうでしょう。
言うまでもありませんが、資金繰り表をつくっているほうが、おカネの管理ができているでしょうし、計画書をつくっているほうが、改善の可能性が高いと見られるからです。
資金繰り表にしても、計画書にしても。つくり続けることができる会社、銀行に出し続けることができる会社は少ない。だからこそ、続けることができる会社を銀行も評価するので、たとえ赤字でも融資を受けられるチャンスが広がります。
ほかの会社がやっていないからこそ、資金繰り表・計画書にチャレンジしてみましょう。
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まとめ
少々、乱暴な表現にはなりますが。「融資を受けたけりゃ、資金繰り表・計画書をとりあえず銀行に出せばいい」と考えています。
というわけで、その理由についてお話をしてきました。腑に落ちるところがあれば、ぜひきょうから、資金繰り表・計画書をつくってみましょう。銀行に出してみましょう。
- 出すだけで一目置かれる
- 出し続けることで理解・改善が進む
- 評価が上がって良い条件で借りやすくなる