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アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資3つ

アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資3つ

コロナ禍での借入によって「据え置き」となっていった返済がはじまった、もうすぐはじまる。ところが、返済できるだけのおカネも利益もない…

そこで、アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資について、お話をしていきます。

目次

いよいよ本格的なアフターコロナ。

本記事の投稿日現在(2021年10月19日)、新型コロナの感染も下火となり、いよいよ本格的なアフターコロナが見えてきた。という、状況にあります。

いっぽう、コロナ禍での借入によって「据え置き」となっていった返済がはじまった、もうすぐはじまる、という会社もあるでしょう。

借入をしたおカネが残っていれば問題ありませんが、すでに使ってしまった… という場合。返済できるだけの利益がなければ、資金繰りに問題が生じることになります。

というわけで、アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資について、確認をしておきましょう。具体的には、ぜんぶで3つ。次のとおりになります↓

アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資3つ
  1. 伴走支援型特別保証制度
  2. 新型コロナ対策資本性劣後ローン
  3. リスケジュール

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資3つ

【策1】伴走支援型特別保証制度

1つめの資金繰り策は、「伴走支援型特別保証制度」です。本制度は、いわゆる「信用保証協会の保証付き融資」であり、民間銀行で利用できる融資になります。

コロナ禍で多くの会社が利用した「実質無利子・無担保融資」に次ぐものという位置付けで、2021年4月からスタートしました。

したがって、コロナの影響で売上が減少している会社は、本制度を利用できることになります。が、「実質無利子・無担保融資」ほど利用しやすい制度ではありません。

なぜなら、「経営計画書の作成」と「銀行によるモニタリング」が、要件になっているからです。

経営計画書などつくったことがない… という会社は、悩ましいものがあるでしょう。また、融資を受けたあと、銀行のモニタリングを受けるのにわずらわしさも感じるでしょう。

とはいえ、「プロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)」を受けられない状況であれば、本制度を利用するしか道がない、ということもありえます。

ですから、本制度の概要を理解したうえで、「経営計画書の作成」と「銀行によるモニタリング」に耐えられる体制づくりに努めましょう。制度の概要については、こちらの記事もどうぞ↓

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体制づくりの面で、最低限しなければいけないのは、「毎月の試算表の作成」です。これがあたりまえにできていればよいのですが、そうでもない会社もあるでしょう。

毎月の試算表がなければ、毎月の実績が把握できず、モニタリングのしようがありません。そのような体制の会社は、そもそも「本制度の利用に適さない」となってしまいます。気をつけましょう。

また、モニタリングは、銀行にとっても「大きな手間」です。その手間に付き合ってくれるような関係性を築けているかどうか? というのも、ポイントになります。

つまり、本制度を利用するのであれば、関係性を築けている「メインバンク」から、です。

なお、銀行はモニタリングをするにあたって、財務情報(数字)に加えて、非財務情報(数字以外)も確認したいと考えています。この点で、必要になるであろうツールが、ローカルベンチマークになります。

ローカルベンチマークは、経済産業省が無料で提供している「会社の経営状態の把握するためのツール」です。本制度の利用を検討するのであれば、ぜひ、事前に作成をしておきましょう。

銀行はモニタリングがしやすくなりますから、協力も得やすくなるはずです。ローカルベンチマークについて、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓

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【策2】新型コロナ対策資本性劣後ローン

2つめの資金繰り策は、「新型コロナ対策資本性劣後ローン」です。こちらは、公的金融機関である日本政策金融公庫の融資制度になります。

名前だけ見ていると、「なんだか難しそうだなぁ」と思われるかもしれません。資本性劣後ローンというのも、耳慣れない言葉でしょう。

資本性劣後ローンとは、端的に言うと、「資本金に近い融資」です。まず、最長で20年毎月の返済が不要になります(利息支払はあり、元金は期日一括返済)。

さらに、決算書上は「借入金」ですが、銀行の評価上は「資本金」です。すると、借入をしたはずなのに、自己資本比率が上がりますから、結果的に民間銀行からの融資が受けやすくなります。

これに対して、コロナ禍で融資を受けて、「おカネもない・利益もない」という会社では、「債務超過(資産<負債)」の状態が少なくありません。債務超過は、銀行が忌み嫌うもののひとつ。融資を受けにくくしています。これを、資本性劣後ローンで解消しようというわけです。

本制度は、2020年8月にスタートして以来、徐々に利用が増えています。日本政策金融公庫も積極的に取り組んでいる制度ですから、利用を検討してみましょう。

ただし、「既存借入の返済にあてる」といった、後ろ向きな利用にはなじみません。資本性劣後ローンは、「資本金に近い融資」であり、その融資を元手に事業利益を増やすのが狙いです。

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したがって、本制度を利用するためには、利益を増やすための「計画書」を作成しなければいけません。それも「長期」の計画書になりますから、作成するのもカンタンではないでしょう。

そのあたりも理解したうえであれば、アフターコロナの資金繰り策として、有効な選択肢になります。

【策3】リスケジュール

3つめの資金繰り策は、「リスケジュール」です。リスケジュールとは、ひとことで言えば「一時的に返済を止めること」であり、「銀行融資を受ける」のとは異なります。

とはいえ、あらたに融資を受けることができない… というのであれば、リスケジュールは手段として利用せざるを得ないものです。

でも、リスケジュールなんてしたことがないし、そんなことをしてだいじょうぶなのか? と、思われる社長もいるでしょう。なので、リスケジュールについて、理解をしておかねばなりません。

とりわけ大きなポイントは、「経営改善計画書」を作成することです。経営計画書と似たようなものではありますが、経営改善計画書に特有の論点もありますから注意しましょう。

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なお、ほんとうにギリギリの状態まで、リスケジュールをガマンする社長がいます。ギリギリの状態でリスケジュールをするということは、もはや手元のおカネは「ほとんどない」ということです。

すると、返済を止められたとしても、改善までのあいだをしのぐことができません。

手元のおカネがまったく無くなってからのリスケジュールでは遅すぎます。遅すぎれば銀行からの理解も得にくく、「リスケジュールすらできない」ということにもなりかねません。

ですから、リスケジュールが「遅すぎないタイミング」にならないよう、気をつけたいところです。

なお、資金繰りが厳しくなったときに、支払いの優先順序をどうするか。リスケジュールを決める参考として、確認をしておきましょう。

支払いの優先順序
  1. 支払手形(不渡りは致命傷になります)
  2. 社員の給料(社員の士気を下げれば事業が成り立ちません)
  3. 買掛金(仕入先の信用を失うと商売が成り立ちません)
  4. 家賃・水道光熱費ほか費用(支払猶予・分割払いを相談しましょう)
  5. 税金・社会保険料(支払猶予・減免・分割払いを検討しましょう)
  6. 借入返済(優先順序はさいご、早めにリスケジュールを検討しましょう)

まとめ

コロナ禍での借入によって「据え置き」となっていった返済がはじまった、もうすぐはじまる。ところが、返済できるだけのおカネも利益もない… というのであれば。

本記事でお話をした、資金繰り策を検討してみましょう。

アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資3つ
  1. 伴走支援型特別保証制度
  2. 新型コロナ対策資本性劣後ローン
  3. リスケジュール
アフターコロナの資金繰り策として検討すべき銀行融資3つ

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