フリーランスになったら経理がメンドーだし、よくわからない。簡単・楽にする方法はないのかねぇ・・・
というあなた。ありますよ、「モノを分ける」という方法が。
フリーランスの経理をカンタンに簡単・楽にする方法『分ける』
フリーランスが避けては通れない確定申告。そして、その前提としての経理。考えただけでもクラクラしちゃう、という方も少なくないようです。
そんなあなたにおすすめ、簡単・楽にするためのカンタンな方法がありますよ。それは、「分ける」です。
経理にまつわるいろいろな「モノを分ける」ことで、経理はもっと簡単に、そして楽になります。
経理がタイヘンだったりメンドーだったりする理由として、「いろいろゴッチャ混ぜになっている」ことが挙げられます。混じっているから混乱する、混じりを解くのに時間がかかる。
であるならば、ゴッチャ混ぜにならないように、そもそものはじめから分けておこう。それだけのことです。難しいことはありません。
では、いったい何を分けておけばよいというのか? このあと、具体的に見ていくことにしましょう。
銀行口座(預金通帳)を分ける
フリーランスで仕事をするようになったら、銀行口座(預金通帳)を分けましょう。
まずは、プライベート用と仕事用を分ける。さらに、仕事用を入金用と支払用に分ける。
プライベート用と仕事用に分ける
プライベートでの生活費を支払う・引き落としされる口座から、仕事の経費も支払う・引き落とされると、経理は余計な時間を食うことになります。
通帳(ネットバンクなら取引履歴)を眺めながら、「これはプライベートかな? それとも仕事の経費かな?」なんて迷っているから時間がかかるのです。
というわけで。迷わずに済むように、そもそも銀行口座を分けてしまいましょう。そんなこと? と思うかもしれませんが、効果のほどはやってみればわかります。
経理になれた人やクラウド会計などのITを駆使すれば、口座がひとつでも手間はそうかかるまい。かというと、そんなこともありません。
仕訳自体の手間はかからないとしても、確認の手間は取られます。元帳に余計な仕訳(プライベート分)が増えるのもいただけません。
入金用と支払用に分ける
プライベート用と仕事用の口座を分けたついでに、仕事用をさらに、入金用と支払用とに分けるという方法があります。特に、経理に不慣れな方にはおすすめです。
お客さまからの入金専用の口座をつくる。もうひとつ、自分が経費を支払う用の口座をつくる。それだけです。
こうしておけば、売上について知りたいことは入金専用口座を見ればすぐにわかります。たとえば、こんなこと ↓
- あのお客さんの入金はいつだったかな? ちゃんと入金されたかな?
- 今月の入金(売上)合計はいくらかな?
入金も支払もひとつの通帳だと、簡単にはわかりません。支払の情報まで混じっている分、入金を探すのにも時間がかかります。
入金と支払の口座(通帳)を分けることで、それぞれが「入金(売上)の帳簿」「支払(経費)の帳簿」と分かれるため、経理をするにもわかりやすいのがメリットです。
ちなみに支払用口座は、振込手数料が安い銀行を選ぶのがポイントです。振込手数料の何百円も積み重なるとバカになりません。
売上を現金で回収した場合(現金売上)、その現金をそのまま入金用口座に預け入れることをおすすめします。入金したら、通帳であれば余白にその内容(売上日、相手先など)をメモしておきましょう。
現金売上は、経理を後回しにすると忘れて「漏れ」がちですが、通帳に入金しておくと漏れません。もっとも、経理を後回しにしないほうがよいですが・・・
《もうワンポイント》借入金(融資)の口座も分ける、という考え方
優先順位はだいぶ落ちますが、借入金(融資)を受け入れる・返済する口座も分けておく、という考え方があります。つまり、借入金(融資)の口座は、入金(売上)にも支払(経費)にも使わない。
理由は経理の簡単・楽ではなく、万が一、返済がきびしくなってしまったときのためです。考えたくはありませんが、万が一が絶対にないとは言い切れません。
そのようなおカネが厳しいときにも、入金口座や支払口座で借入金を返済していると。当然ながら返済額を自動引落されて、口座の残高が減ってしまいます(残高があれば)。
これですと、「借入返済よりも先に支払うべきものがある!」という切羽詰まった場面では、その先にすべき支払ができるだけのおカネが足りなくなることがありえます。
そういうこともあるかもな、そういうときにはこうしよう、といったことをアタマの隅に置いておくとよいでしょう。万が一のときには役立ちます。
クレジットカードを分ける
フリーランスで仕事をするようになったら、仕事用のクレジットカードをつくって、プライベート用と仕事用とを分けましょう。
プライベート用と仕事用に分ける
クレジットカードをプライベート用と仕事用とで分ける理由は、銀行口座を分けるのと同じです。
もしもクレジットカードの利用明細に、プライベート分と仕事分とが混じっていると。その区分に時間がかかる、悩んでしまう。経理に不慣れな人ほどそうなります。だから、分ける。
そもそもクレジットカードを使う時点で、プライベートか仕事かを判断することになりますから、「経費だっけかな?」とあとで思い出す必要がありません。
また、税務調査においてもちょっとした効力を発揮します。プライベート(生活費)か仕事(経費)かを、2枚のクレジットカードで意識的に明確に使い分けていることをアピールできます。
税務署はその仕事柄、「プライベートと仕事とをゴッチャ混ぜにしてるんじゃないの?」と疑ってくるものです。2枚のクレジットカードとその利用明細を見せて否定しましょう。
SuicaやPASMOなど、交通系電子マネーも決済手段として広がりを見せています。このような電子マネーについても、クレジットカード同様にプライベート用と仕事用とを「分ける」ようにしておくのもよいでしょう。
《もうワンポイント》クレジットカードをつくるなら独立開業する前に
フリーランスになってからクレジットカードをつくろうとすると、思いのほか苦労をすることがあります。
それは、フリーランス(個人事業)はクレジットカード会社の審査に落ちやすいということ。落ちやすい、というのは「会社員に比べて」ということです。
フリーランスの地位は会社員ほどに固くはなく、ましてや開業したばかりともなればなおさら不安定。フリーランスの社会的地位はなかなか厳しいところにあるようです。
とはいえ、クレジットカード会社もさまざまたくさんありますから。こっちがダメでも、あっちはOKということも多々あります。いくつかチャレンジしてみるとよいでしょう。
できれば、独立開業する前、会社員であるうちに、クレジットカードをつくっておくことをおすすめします。
領収書、請求書を分ける
経理を簡単・楽にするという視点で言うと。領収書や請求書も、「分ける」ようにしておくのがおすすめです。
領収書を現金払いとクレジットカード払いとで分ける、請求書を入金前の分と入金後の分とで分けるようにしましょう。
領収書を現金払いとクレジットカード払いに分ける
経費の支払いをした際の領収書(レシート)は、現金払いした領収書と、クレジットカード払いした領収書とは分けておくようにします。
これらをいっしょにしてしまうと、クレジットカード払いの経費について「2重計上」の危険性が高まります。経理に不慣れな人ほどそうなります。
どういうことかというと。ひとつの支払いについて、まずは領収書を見て経費処理(現金払いと勘違い)、こんどは後日カード会社から届く利用明細からも経費処理。悪意なく経費を2重計上してしまう。
ということで、現金払いの領収書でと、クレジットカード払いの領収書とはいっしょにしないこと。混ぜないこと。それぞれ別々に経理処理をするとよいでしょう。
クレジットカード払いの領収書は、後日、カード会社から届く利用明細といっしょにしておくとよいですね。
電子マネー払いの経理処理についても、上記本文中のクレジットカード払いと考え方は同じです。ただし、電車・バス代などは領収書はありませんので、出金伝票や旅費精算書をつくる。あるいは、電子マネーの利用履歴を活用して経理をします。
請求書を入金前の分と入金後の分に分ける
自分が発行する売上の請求書について。発行してから入金されるまでの請求書と、入金後の請求書とは分けておくようにしましょう。
いっしょにしてしまうと、入金待ちの売上代金がどれだけあるかがわからず、売上代金の入金管理がお粗末になりがちです。
そこで、入金される前の請求書をひとまとめにして、確認しやすい場所に置いておきます。その後、入金されたら余白に入金日を記載して、入金後の請求書としてひとまとめにして保管します。
入金される前の請求書は、入金期日を過ぎていないかを随時確認し、1日でも過ぎたら支払の督促をするようにしましょう。督促がユルいと、支払いが遅れてもよい人だと思われかねません。
会計ソフトや請求書管理ソフトなどで入金管理をしていない場合には、このようなアナログな方法であってもきちんと入金管理をする方法はあるわけです。
また逆に、支払いをするほうの請求書(=自分が受け取った仕入や経費の請求書)も、支払い前と支払い後の分とで分けておくと良いでしょう。支払漏れを防ぐ効果があります。
《おまけ》サイフは分けない
さいごに少々おまけとして、サイフについて触れておくことにします。現金を入れるお財布をプライベート用と仕事用とで2つに分けるか否か?
プライベートの現金とは別に、仕事用の現金を管理する(=現金出納帳をつける)のであれば、お財布は分けるべきでしょう。
ひとつのお財布の中身をのぞき見たところで、プライベート用現金の残高と仕事用現金との残高とを区別することはできないからです。
それなら、常日頃いつも、2つのお財布を持って歩くのか? それもいいね、と言うのなら否定はしませんが。わたしはイヤです。
経費精算する、という考え方
わたしのように、2つのお財布を持ちたくないならどうするか? お財布はひとつでOKです。その代わり、現金払いの経費については次のように対応しましょう。
- お財布の中の現金で経費を支払う
- 現金払いした領収書をまとめておく
- 毎月末に、まとめておいた1ヶ月分の領収書の合計金額を仕事用銀行口座(口座を2つに分けていれば支払専用口座)から引き出す
- 経理の帳簿に記録する(月末の日付で、領収書1枚1枚の経費を、預金口座から支払ったように記録)
このようにすると、「仕事用の現金は持っていない」という経理をすることができます。一般の会社で言う「経費精算」のイメージです。
結果として、現金出納帳をつける必要はなくなります。
現金払いの領収書について、「預金口座から支払ったように記録する」という方法のほかに、「事業主借」を使う方法もあります。
簿記や仕訳がわかるというなら、そのような経理処理にも挑戦してみましょう。
まとめ
モノを分ける!がフリーランスの経理を簡単・楽にする方法、についてお話をしてきました。
分けなくても経理はできます。けれども分けたほうがシンプルで分かりやすくなることはまちがいありません。
経理に不慣れだなぁ、と感じるのであれば、「分ける」経理の実践をおすすめします。なにか1つからでも始めてみましょう。
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きょうの執筆後記
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