” えっ? 残業食事代って経費にならないの? ”
そうなんです。会社員だと経費なのに、フリーランスだと経費じゃない。そんな支払いには注意をしましょう、というお話です。
会社員だと経費なのにフリーランスになると経費にならない
フリーランスにとって、「(この支払いは)経費になるかならないか?」というのは大きな関心事のひとつでしょう。
経費になるのであれば税金は安くなるし、逆に、経費にならなければ税金は高くなってしまうからですね。
この「経費になるかならないか?」について。会社員の場合には問題なく(会社の)経費になるのに、フリーランスになると経費にならない。そんな支払があります。
したがって、会社員から独立してフリーランスになったよ、というときには注意をすべきところです。
会社員のころと同じ感覚で経費として精算してしまうと、のちのち税務署から問題にされるかもしれない支払とは、次のとおりです ↓
- 残業食事代、慰労食事代
- 社員旅行代
- 健康診断費用
- 衣服代(制服代)
- 給料
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
残業食事代、慰労食事代
会社員であれば、残業をしたときの食事代やプロジェクトの打ち上げ食事代など、「社員の福利厚生」的性格を持つ食事代は、会社の経費にすることができます。
いっぽうで。フリーランスになると、そのような食事代は経費にはならない。と、言われています。言われています、だなんて逃げ腰なハナシぶりですが。
フリーランスとはひとり者であり、他に社員はおらず。ひとりきりの食事代は「社員の福利厚生」と言うには違和感がある、といった考え方が理由です。
別の見方をすれば「違和感」ていどの理由でもあり、税法で直接的に「残業食事代は経費ではない」などと決められているわけではありません。つまり、厳密にはグレーゾーンなのです。
ただそれでも、ひとりきりの食事を「仕事だ」と証明することは難しく。仕事というよりは、人間誰しも生きていくために必要な食事でしょう。ゆえに、経費ではない。と見られるわけです。
まとめると。ひとりきりの食事代はグレーゾーンではあるけれど、税務署を説得するのはカンタンではない。という感覚が大切だ、ということです。
逆に(?)、頻度も金額もそう目立たないくらいの残業食事代・慰労食事代であれば、経費として認められる可能性があります。
会社員には福利厚生があって、なんでフリーランスには福利厚生がないんだ! おかしいだろ? と個人的にも思ったりするわけですが。そこのところは自己責任でお願いいたします。よろしくです。
社員旅行代
会社員をしていると、「社員旅行」というイベントがあったりします。温泉入って、美味しいものを食べて、日ごろの疲れを癒そうじゃないか、と。
この社員旅行にかかる費用は、会社の経費になります(贅沢すぎないこと、などの要件はありますが)。
それならば。フリーランスのわたしも、日ごろの疲れを癒やしに行こうじゃないか。経費で温泉旅行へGO! というわけにはいきません。残念ながら。
フリーランスは個人事業主であって社員ではないだろう?(社員旅行とは言えない)というハナシがあり。
また、個人事業主自身に、福利厚生なんて考え方はおかしいだろう? という前述の食事代と同じハナシもあり。
フリーランスの旅行代は、基本的には経費になりません。
ただし、商談・視察・研修などの目的で、仕事上の出張旅費・宿泊代は、もちろん経費としてOKです。詳しくはこちらの記事もどうぞ ↓
健康診断費用
年に1回、健康診断を受けるように。と、会社から言われる会社員。「労働者は会社が行う健康診断を受けなければならない」と、労働安全衛生法が定めているからです。
法律によって義務付けられているものなのですから、会社にとっては必要な支払いとして経費になります。
かたや、フリーランスはどうかというと。なにかに義務付けられるわけでもなく、健康診断を受けるかどうかは「任意」の状態にあります。
よって、仕事に必要な支払いとは言えず、経費にはなりません。なにやら不公平感を禁じ得ないところではありますが、そういう考え方です。
ちなみに。健康診断により病気が見つかり、その治療が行われた場合のみ、健康診断費用については「医療費控除」ができます。
とはいえ、病気が見つかるなんて望ましいことではありませんから。健康診断費用は経費にもならず、医療費控除もできず、悔しい思いをするほうが幸せだ。というのがフリーランスです。
衣服代(制服代)
会社によっては、「制服(ユニフォーム)」があります。社名がプリントされたジャンパーとか、作業服とか。この場合の衣服代は、経費になります。
ほほう、衣服代は経費になるならば… と、「フリーランスの仕事着も経費だろう!」と考えるのは尚早です。
たしかに。仕事柄、「作業服」や「衣装」と呼べるような、明確に仕事オンリーで着ると想像できる衣服であれば、その購入費用は経費でもよいでしょう。
ところが、日常にも着回せるようなジャケットやシャツなど、フツーの衣服については経費と主張するにはきびしいものがあります。ほんとうに仕事でしか着ていない、としてもです。
なぜきびしいかと言えば、そのような「フツーの衣服」を、仕事でしか着ていないと証明するのは、カンタンではないから(というか、ほぼムリ)。
フツーの衣服は仕事でもプライベートでも着るんでしょ? というのが世間一般の見方です。税務署もまた、その「世間一般の見方(社会通念、とも呼ばれる)」を重視します。
フリーランスの衣服については、特殊な状況下でない限りは経費にはならない。と考えておきましょう。詳しくはこちらの記事もどうぞ ↓
給料
会社は、社員にお給料を支払うと、その金額が経費になります。
この点について、税金の世界では。フリーランスが、じぶんでじぶんに「給料を支払う」という考え方がありません。
たとえば。仕事用の銀行口座から、プライベートの銀行口座におカネを移した場合。その金額が、給与として経費になることはないのです。
どうなるかと言えば、単純に「おカネの移動」として見るだけです(事業主貸、という勘定科目で帳簿つけをします)。
はじめての確定申告など、帳簿つけに不慣れな方は、知らずに「給料」として経費にしてしまうことがあります。
この場合には、納める税額が過小となり、メンドーなことになりますから。じゅうぶんに気をつけましょう。
- 確定申告・経理についてもっと知りたい→ 「まとめ記事」ページはコチラ
- 確定申告・経理についてじっくり学びたい → 「セミナー」の案内はこちら
- 確定申告・経理をもっと自分でできるようになりたい → 「コンサルティングサービス」案内ページはコチラ
まとめ
会社員は経費になるのにフリーランスは経費にならないもの、についてお話をしてきました。
とくに独立開業したばかりで、会社員の感覚が残っていると、誤りがちなところをピックアップしてみました。
知らなかった・間違っていた、ということがないかを確認しておきましょう ↓
- 残業食事代、慰労食事代
- 社員旅行代
- 健康診断費用
- 衣服代(制服代)
- 給料
************
きょうの執筆後記
************
ブログには書けない・書きにくいことその他。きょうの「執筆後記」は毎日メルマガでお届け中です。
よろしければメルマガ(無料)をご登録ください! → 登録はこちらから