実録!フリーランスの『ざんねん』な経理・確定申告7選

実録!フリーランスの『ざんねん』な経理・確定申告7選

我流・独学で、経理・確定申告をしている。と、言うのであれば。

フリーランスの「ざんねん」な経理・確定申告には気をつけて。そんなお話をしていきます。

目次

ざんねんなじぶんにならないために。

わたしは税理士として、フリーランスの方から「経理・確定申告」に関するご相談をお受けしています。

「我流・独学で、経理・確定申告をしている」というご相談者がほとんどです。我流・独学自体が悪いわけではありませんが、結果として「ざんねん」な経理・確定申告になっているケースがあります。

ここで言う「ざんねん」とは。勘違いをしているとか、間違っているとか、ほんとうはもっといい方法・考え方があるのに。そんなケースです。

というわけで。実際にご相談をお受けしているなかから、よくある「ざんねん」な経理・確定申告を挙げてみます。こちらの7つです ↓

フリーランスの「ざんねん」な経理・確定申告7選
  1. 貸借対照表がめちゃくちゃ
  2. 家事あん分の根拠がない
  3. 所得控除が漏れている
  4. 小規模企業共済を知らない
  5. 書類を正しく保存していない
  6. クラウド会計で手入力している
  7. 現金取引が多い

これらを見て、「なんのことかわからない…」あるいは「心当たりがある…」という項目があれば、このあとの説明を確認しておきましょう。

 

フリーランスの「ざんねん」な経理・確定申告7選

《ざんねん1》貸借対照表がめちゃくちゃ

青色申告をしているフリーランスのなかには、確定申告書に「貸借対照表」を添付している人がいます。65万円の青色申告特別控除を受けようとするフリーランスです。

ところが、その貸借対照表を見てみると。めちゃくちゃ、ということが実は少なくありません。もう少し具体的に言うと、「ありえない金額」が掲載されている。

たとえば。現金の金額がマイナス、売掛金の金額がマイナスとか。なにかしらの在庫があるはずなのに、棚卸資産の金額がゼロとか。

そもそも。貸借対照表とはなにかがわからない、確認のしかたもわからない… とのことであり。それでも貸借対照表をつくれてしまうのが、会計ソフトの「ワナ」でもあります。

会計ソフトでつくられた貸借対照表は、一見「できた!」ように見えて、「合っている!」かどうかはまた別のハナシです。会計ソフトでの処理が間違っていれば、貸借対照表も間違ってつくられてしまいます。

したがって、できあがった貸借対照表については、必ず「じぶんの目」で確認をすることが大切です。くわしくはこちらの記事を参考に ↓

あわせて読みたい
フリーランスがこれだけは押さえるべき貸借対照表の見方・ポイント 経理をしたらできあがる貸借対照表。これって、どう見るの? どこを見るの? ということで、フリーランスがこれだけは押さえるべき貸借対照表の見方・ポイントについて...

《ざんねん2》家事あん分の根拠がない

仕事とプライベートの両方にかかわる費用があります。たとえば、自宅兼事務所の家賃。このような費用については、「区分する」ことが必要です。

仕事スペース分の家賃は「経費」になりますが、生活スペース(プライベート)分の家賃は経費にはできません。だから区分する。

この「区分する」ことを、税金の世界では「家事あん分」と呼びます。

では、自宅兼事務所の家賃をどのように家事あん分したのか? とうかがうと。「なんとなく…」とか、「ネットで〇〇%くらいは経費でOK、と書いてあったから」などという回答は少なくありません。

つまり、家事あん分に「根拠」がないのです。

そこで、実態を確認してみると。そんなにたくさん経費にできなかったり、逆に、もっと経費にできるのに… といった「ざんねん」が見つかることがあります。

そのようなことがないように。まずは家事あん分の考え方を理解して、そのうえで、「じぶんの実態」に合わせて「じぶんにとっての根拠」を備えておきましょう。

家事あん分の根拠は、税務調査でもしばしば問題になるところです。くわしくはこちらの記事を参考に ↓

あわせて読みたい
税務署に負けない!家事関連費の仕訳・按分・書類の経理処理 仕事とプライベートとが混じった費用である「家事関連費」。たとえば、自宅兼事務所の家賃。 「どこまで経費にできるか?」をめぐり、税務調査での争点になることも少な...

《ざんねん3》所得控除が漏れている

納める税金を減らす効果があるもののひとつに「所得控除」があります。たとえば、基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除など。

税金が課税される対象である「所得」を減らすという点では、「所得控除は経費と似たようなものだ」との理解でもよいでしょう。

そんな所得控除について。意外と漏れてしまっているのが、医療費控除です。医療費控除の存在自体は知っているものの、実は控除が漏れている。

具体的には、「医療費控除は、年間の医療費が10万円以上ないとできない」との勘違いです。ところが、「所得」が 200万円未満の人は、医療費が 10万円以下でも医療費控除ができます。

あわせて読みたい
フリーランスは知らなきゃダメな経理・税金系『公式・計算式』5選 フリーランスが経理・税金にかかわるにあたり、「これは役に立つであろう」という公式・計算式についてのお話です。 【フリーランスは知らなきゃダメな経理・税金系「公...

また、配偶者と離婚・死別した人を対象にした「寡婦(寡夫)控除」や、じぶん自身・扶養している家族を対象にした「障害者控除」なども、控除の存在を知らない場合には漏れやすいところです。

2020年からは「未婚のひとり親」に対する控除も新設されていますので、該当するフリーランスは確認をしておきましょう。

さらには、雑損控除も漏れやすくなっています。地震、風害、落雷、水害、雪害(雪下ろし費用)などの自然災害、火災、害虫災害、盗難・横領などの損失を一定額控除できるのが雑損控除です。

近年、台風や豪雨などの自然災害も増えています。実際、台風被害を受けたけれど雑損控除できるのを知らなかった、という方もいました。不幸にも被害を受けた場合には、雑損控除が受けられないか? 必ず確認をするようにしましょう。

[ad1]

《ざんねん4》小規模企業共済を知らない

前述した「所得控除」のひとつではありますが。小規模企業共済掛金控除、その存在を知らないというフリーランスの方は少なくありません。

小規模企業共済とは、ひとことで言うと「フリーランスの退職金準備制度」です。将来のじぶんの退職金のために、掛金を毎月支払い準備します。

このとき支払う掛金が「全額所得控除」になるので、納める税金が安くなる。貯金をしているのと変わらないのに税金が安くなるのはすごい!(銀行に貯金をしても税金は減らない…) というのが小規模企業共済です。

また、支払済みの掛金の金額に応じて、借入をすることもできます。新型コロナウィルスのように、突然の資金繰り難にも対応できるのもメリットです。

小規模企業共済? なにそれ? ということであれば、ぜひいちど、内容を確認しておくようにしましょう。くわしくはこちらの記事をどうぞ ↓

あわせて読みたい
『すぐ加入』の一択!フリーランスなら小規模企業共済 フリーランスなら、「小規模企業共済」制度に加入の一択。 というくらいオススメです。えっ? 小規模企業共済ってナニ? というフリーランスのあなたは必見です。 【フ...

《ざんねん5》書類を正しく保存していない

経理・確定申告をするのに使った「書類」には、保存を求められているものがあります。たとえば、レシートや領収書、請求書、通帳などです。

これらの書類を正しく保存できていないフリーランスの方もいます。レシートや領収書を失くしてしまった… 捨ててしまった… というのは、その典型です。

また、仕事で使っている銀行の通帳を、古いものは捨ててしまった… という人もいます。紙の通帳がないネットバンクの場合には、ネット上の取引明細を定期的に保存しておくようにしましょう。

経理・確定申告をするのに使った書類は、基本的に「7年」のあいだ保存しなければならない。これが税金のルールです。

税務調査があれば、それらの書類を見せる必要もありますので、「最低限の整理」はしておきましょう。ある年とある年の書類がごっちゃごちゃ… これでは書類を見るのにも難儀します。ほんとうにちゃんと計算できたの? と疑われます。

くわしくはこちらの記事もどうぞ ↓

あわせて読みたい
フリーランスが『支払う→領収書もらう→帳簿つけ→書類保存』で注意すべきポイント フリーランスが繰り返し行う「支払う→領収書もらう→帳簿つけ→書類保存」という流れについて。 「各場面」で注意すべきポイントを押さえておきましょう、というお話です...

《ざんねん6》クラウド会計で手入力している

最近では、クラウド会計(会計ソフト)を使って経理をするフリーランスが増えています。具体的には、freeeやマネーフォワードクラウドです。

そんなクラウド会計の「売り」として、「自動化」が挙げられます。たとえば、銀行の取引明細データを自動取得して、自動的に仕訳をする。結果として、自動的に帳簿ができあがる。

ところが、データの自動取得をすることなく、「手入力・手作業」しているフリーランスの方もいます。せっかくの自動化機能がもったいないですよね。

手入力・手作業には、「時間がかかる、疲労する、入力・作業ミスする」というデメリットがあります。これらのデメリットを解消(あるいは軽減)してくれるのが「自動化」です。

それでも自動化していない・できない理由として、「やり方がよくわからなくて…」との声を多く耳にしています。「実は、わたしも…」ということであれば、ぜひいちど、税理士に聞いてみることをおすすめします。

ご自身の仕事の内容や状況などにもとづいて、「じぶんに合った方法」を教えてもらうことができるはずです。もちろん料金はかかりますが、その後の「経理・確定申告」が円滑・正確さを増すのであれば、じゅうぶんに元も取れるでしょう。

《ざんねん7》現金取引が多い

現金での取引が多いフリーランスがいます。とくに「経費の支払い」はほとんど現金払い、という方について。

いつもニコニコ現金払いがポリシーなんだっ! とのことであれば、それはそれですが。経理の効率化という面では、もったいないものがあります。

なぜならば、現金取引の場合には「現金出納帳」をつくらなければいけません。現金の入出金を記録する帳簿です。これを会計ソフトに手入力する… ってメンドーですよね。

現金取引がなければ、そのメンドーはありません。つまり、支払いはできるだけ現金以外にする。銀行振込、クレジットカード、電子マネーなど。これにより、現金出納帳への記録は不要になります。

この点で。銀行振込、クレジットカード、電子マネーなどの取引データを会計ソフトに取り込むこと(クラウド会計の自動取得)ができれば、メンドーをいっそう軽減できます。

加えて。現金出納帳があると、現金の管理もしなければいけない。これも問題です。

管理できないがゆえに、前述したような「貸借対照表の現金がマイナス」といったことが起きてしまう。財布のなかみ(実際の現金)がマイナスになることなど無いのに、現金出納帳(帳簿の現金)はマイナス… 問題です。

逆に、現金出納帳がなければ、現金の管理は必要ありません。とはいえ、まったく現金を使わないなんてムリ… というのであれば。現金を使いつつも、現金出納帳をつくらない方法はあります。くわしくはこちらの記事をどうぞ ↓

あわせて読みたい
フリーランスが『現金出納帳をやめる』ときの5つの注意点 基本、「現金出納帳はつけない」をおすすめしています。 というわけで。フリーランスが現金出納帳をやめるときの注意点についてお話をしていきます。 【よし、現金出納...

確定申告・経理におすすめのメニュー

モロトメジョー税理士事務所では、フリーランスの「確定申告・経理のサポート」をするメニューをそろえています!
確定申告・経理の記事まとめページ
フリーランスのためのはじめての確定申告・経理セミナー
経理コンサルティング
確定申告・経理の個別相談

まとめ

「我流・独学で、経理・確定申告をしている」と言うのであれば。勘違いや間違いがないか、もっといい方法・考え方を見逃していないか、に気をつけましょう。

もしかしたら、「ざんねん」な経理・確定申告になっているかもしれませんので。まずは、よくある7つの「ざんねん」を確認です ↓

フリーランスの「ざんねん」な経理・確定申告7選
  1. 貸借対照表がめちゃくちゃ
  2. 家事あん分の根拠がない
  3. 所得控除が漏れている
  4. 小規模企業共済を知らない
  5. 書類を正しく保存していない
  6. クラウド会計で手入力している
  7. 現金取引が多い
実録!フリーランスの『ざんねん』な経理・確定申告7選

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次