経費を使って節税しよう!
って、それ。ちょっと違いますよ。節税とは、経費を増やすことではなく、経費を減らさないこと。というお話をしていきます。
税金を減らす方法は「収入を減らす」か「経費を増やす」か
みんな大好き、節税。そりゃもう、税金は少ないほうがいい。と言う人は少なくありません。
では、税金を減らすためにできることはなんだろう? と考えてみると。その答えは大きく2つです ↓
- 収入を減らす
- 経費を増やす
これを図解してみるとこうなります ↓
上図のとおり、税金とは基本的に「(収入 − 経費)× 税率」ですから。たしかに、「収入を減らす」または「経費を増やす」で税金は減ります。理屈では。
ところが実際には、「よし、収入を減らそう!」という人はなかなかいないでしょう。別の理由ならともかく、税金を減らすために収入を減らすって・・・ あまり聞きません。
いっぽうで、「よし、経費を増やそう!」というハナシはよく聞きます。よく聞くのだけれども。
実は「経費を増やそう!」というのは、ちょっとちがう、ちょっと間違っていることがありますよ。そんなお話をこれからしていきます。
税金を減らすためにできることとして、「収入を減らす」「経費を増やす」のほかにもうひとつ、「税額控除制度を使う」という方法があります。文字どおり、税金を控除する制度。
たとえば、一定の賃上げをした際の「所得拡大促進税制」や、一定の機械装置等を取得した場合の「投資促進税制」、一定の住宅ローンを組んだ場合の「住宅借入金等特別控除」など。
ただし、これらは「収入を減らす」「経費を増やす」に比べて難易度が一段上がるため、本記事では詳述を省かせていただきます。
「経費を増やす」の間違い・勘違い
さきほど、「経費を増やそうというのはちょっとちがう」と言いました。たしかに、経費を増やせば、利益は減って税金は減るのですが、それは間違い・勘違いです。
その理由がこちら ↓
- ほんとうは経費ではないものまで経費にしようとしているから
- 単なるムダ使いをしようとしているから
上記の2つについて、カンタンに補足をします ↓
ほんとうは経費ではないものまで経費にする
これは、ひとことで言えば「脱税」です。脱税なんていうと、「わたしはそんなことしないから」と他人事ですが、意外と「やっちゃっている」こともあるもので。
たとえば、こんなこと ↓
- ほんとうは家族や友達などとのプライベートの飲食代だけど経費にしちゃえ。
- 日常生活で使う家電だけど、仕事で使うということで経費にしとこ。
- ママ友がくれたレシートも経費にしちゃお。
- 行きつけのスナックでくれた「白紙」の領収書に、実際よりもちょっと高めの金額を書いちゃえ。
などなど
これらは「ほんの出来心」のように思えなくもありませんが。そんな思いとはウラハラに、まぎれもない「脱税行為」です。
したがって、税金を減らすにあたって「経費を増やそう」ということに執着しすぎると、思わず脱税をしてしまっていることがあります。
気づかぬうちに(あるいはマヒをして)その頻度・金額が増えて、脱税が日常化してしまうことも少なくありません。気をつけましょう。
単なるムダ使いをしている
経費を使えば利益が減って、税金も減る。そのとおりです。けれども、それは単なるムダ使いかもしれない、というハナシです。
たとえば、こんなハナシ ↓
- いま、利益を計算してみたら、「(収入 2,000 − 経費 1,000)= 1,000」でした。
手元の現金は、利益(収入 − 経費)と同じく 1,000 ありました。 - このまま、税金を払うとすれば「(収入 2,000 − 経費 1,000)× 税率 50% = 税金 500」になります。
- いやしかし。税金 500を払うのは惜しいので、追加で経費を 1,000 使うことにしました。
これで「(収入 2,000 − 経費 2,000)× 税率 50% = 税金 0」です。めでたし、めでたし。
などというハナシに満足してはいけません。
なぜなら、追加で経費 1,000を支払ったあとの、手元の現金はゼロだからです。手元にあった 1,000を使い切ってゼロ。なにも残らない。
では、おとなしく税金を支払っていればどうだったのか? 手元の現金 1,000から、税金 500を支払っても 500残ります。
このように、税金を惜しむがために、結果「ムダ使い」をしておカネを無くしている。そんな間違い・勘違い節税をよく見聞きします。
利益が出たから税金を払うより、パーッと使っちゃおう! それ、ただのムダ使いかもしれませんよ。気をつけましょう。
節税のキホンは「経費を増やす」のではなく「経費を減らさない」こと
これまでの話を振り返ると。経費を増やせば税金は減るが、脱税やムダ使いになっていることが少なくない。
じゃあ、いったいどうしたら税金は減るんだ? それがここからのお話です。
まず、結論から言いましょう。結論は、「経費を減らさない」ことです。
「経費を増やす」ことよりも、まずは「経費を減らさない」ことです。なんだか禅問答のように聞こえるかもしれませんが、図解をするとこういうことです ↓
上記のとおり、「ほんとうは経費であるはずのもの」を、みすみす経費にせずにいる(漏れている)ことがあります。
きちんと経費にできていれば、脱税やムダ使いなんてしなくて済むものを。みずから経費を減らして、利益を増やし、結果として税金を増やしていることがあるのです。
だから、まずは「漏れている経費」をきちんとしましょう、みすみす経費にせずにいるなんてやめましょう。
そんな「みすみす経費にせずにいるケース」とは、具体的にはこういうことです ↓
- 領収書・レシートを失くしている
- ほんとうは経費にできることを知らない・気づかない
上記について、それぞれ説明を加えます ↓
領収書・レシートを失くしている
経費について経理処理(帳簿づけ)をする際、基本的には、経費を支払うときに受け取った領収書やレシートが元になります。
では、この領収書・レシートを失くしてしまっていたらどうでしょう?
銀行預金やクレジットカードでの支払いであれば、通帳や利用明細で履歴は残りますが、現金払いの場合には履歴は残りません。
したがって。経費を現金支払いしたのち、領収書・レシートを失くしたあげく、時間がたってしまえば、「経費を支払った」ことは忘れてしまうでしょう。
この場合、経費から漏れることになります。せっかくおカネを払って経費を使ったのにもかかわらず。
対策は、「すぐに経理をすること」です。とくに現金払いの経費については履歴が無いのですから、毎日でも経理処理(帳簿づけ)をしておきましょう。
きょうのことや前日のことくらいであれば、もしも領収書・レシートを失くしていても思い出すことができるはずです。そのときは、再発行なり、出金伝票なりの手段があります。
ほんとうは経費にできることを知らない・気づかない
実は経費にできるはずの支払いについて見逃している、ということがあります。理由は「勉強不足」です。
よくある勉強不足で言えば、こんなものが挙げられます ↓
- 移動のあいまにカフェで仕事をしたときのカフェ代
- 自宅で仕事をしている場合の家賃、光熱費、固定資産税、火災保険料、固定電話代
- 自家用車を仕事にも使っている場合の購入費用、ガソリン代、自動車税、自動車保険料
- 仕事とプライベートを兼ねた旅行代金の費用
- 賽銭や祈祷料、お札や破魔矢や熊手の購入費用
などなど
これらは経費にできる(仕事とプライベートを兼ねるものは仕事部分だけ)のですが、知らなければ経費から漏れておしまいです。
知っていれば問題なく経費にできるのにもかかわらず、これらを漏らしたあげくに、脱税やムダ使いをしていたのでは目も当てられません。
ですから、勉強をしましょう。ネットでも、書籍でも、セミナーでも。学べる機会には事欠きません。
勉強の結果、経費を漏らさなければ、いまよりも税金が減る(節税)ことになるはずです。
まとめ
節税とは「経費を増やす」のではなく「経費を減らさない」こと、についてお話をしてきました。
「節税!節税!」と叫んでいる人に限って、領収書・レシートを無くしている、勉強不足ということがあるものです。
たしかに、経費を増やせば税金は減りますが。脱税やムダ使いにはならないように、まずは、「経費を減らさない」ことを見直してみましょう。
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きょうの執筆後記
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