” 経費の「帳簿つけ」でだいじなことってなに? ”
経費を帳簿につけるときには、だいじな4大要素と「+アルファ」について。お話をしていきます。
経費を帳簿につけるときには4大要素と「+アルファ」がだいじ
フリーランスには、「帳簿つけ(経理)」という仕事があります。
ただその「帳簿つけ」も、確定申告をしなければならないから、しかたなくやっている… ということかもしれませんが。
本来、「帳簿つけ」は、自分の商売・生活の状況を把握するためのだいじな手段であり、「しかたなくやる」ようなものではありません。
それはそれとして。帳簿つけにおける、フリーランスの関心事として「経費」が挙げられます。
その「経費」の金額が大きくなればなるほど、税金の額は安くなるため、「いかに経費を帳簿につけるか」には一定の興味関心があるはずです。
経費を帳簿につけるときの4大要素
税金のことを考えながら「経費」を帳簿につけるときには、4つのことに注意が必要です。それがこちら ↓
- 支払日 ・・・ いつ
- 支払先 ・・・ だれに
- 支払金額 ・・・ いくら
- 支払の内容 ・・・ なにを
「経費だ」と言うからには、上記のとおり、支払日・支払先・支払金額・支払の内容という4つの要素を明らかにできなければいけません。
だれに対して? 「税務署」に対して、です。
これら4つの要素が明らかではない支払いについては、「経費だとは言えないなぁ」というのが税務署の見方になります。
したがって、請求書や領収書・レシートなどの「証拠資料」の記載事項をもって、あるいは、「会計帳簿(会計データ含む)」の記載事項をもって、4つの要素を明らかにすることが求められます。
4大要素では足りない「支払の目的」
ここでもうひとつ。前述の4大要素には含まれていない、だいじな要素があります。+アルファの要素、言わば5つめの要素です。
それが、「支払の目的」。言い換えると、「なんのために」です。
この「支払の目的(なんのために)」については、請求書や領収書などの「証拠資料」に記載を要求されるものではありません。
たとえば、飲食代。その領収書を見て、飲食代を支払ったことはわかりますが、支払の目的(なんのために)までは書いていないのでわかりません。
お客さまを接待するためだったのか、はたまた家族で食事をするためだったのか。それらは、領収書やレシートに記載されることはありませんよね。
けれども。フリーランスが「帳簿つけ(経理)」をするにあたっては、その「支払の目的」が重要なんだ。というお話をしていきます。
なぜ、「支払の目的」という要素が重要なのか? それは、「支払の目的」が、次の問いの答えを明らかにするからです ↓
- 経費になるかどうか?
- 勘定科目は何になるのか?
- そもそも必要な経費なのかどうか?
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
経費になるかどうか?
その支払が「経費になるかどうか」を判断するにあたり、「支払の目的」が必要になります。つまり、「なんのために」その支払をしたのかがだいじなのです。
たとえば、同じ「飲食代」という支払でも。お客さまの接待のためであれば、仕事に関係するものですから「経費」です。
ところが、家族のプライベートの食事のためであれば、仕事に関係するものではありませんから「経費」ではない。ということになります。
したがって、「支払の目的」は、経費か否かを判断する重要な材料になるものです。にもかかわらず、それは、領収書やレシートに記載をされません。
おかげで、と言うべきなのかどうなのか。税務調査の場面では、しばしば「支払の目的」が疑われることになります。
税務署としては、「この飲食代、ほんとうに接待なんですかねぇ?自宅のすぐ近くのお店、しかも日付は日曜日なんですけど、仕事なんですかねぇ…?」と。そんな感じです。
言われたこちらも、「どうだったっけ?あのお店はプライベートでも使うんだよなぁ…(忘れちゃったよ)」ということでもあったりして。
歯切れが悪い回答となれば、即問題にはならないにせよ、その他全般についてまで疑いの目を向けられかねません。疑われるのは不利益です。
これを避けるためには、「支払の目的」を、領収書・レシートなどの「証拠資料」の余白や裏面、「会計帳簿」の摘要欄などにメモを残しておくことです。
先ほどの飲食代の例であれば、「◯◯商事・△△様 接待」とか。「●●物販・▲▲様 打ち合わせ」とか。
ほかにもたとえば、電車代。「どこの駅からどこの駅まで」という情報だけでは不十分です。「◯◯商事・商談」といった支払の目的をメモに残すのがベストです ↓
勘定科目は何になるのか?
経費を帳簿につけるにあたり、「勘定科目」というものが必要になります。勘定科目とは、「旅費交通費」や「接待交際費」、「消耗品費」などといった、経費の種類をあらわす名称のことです。
この支払はいったいどの勘定科目なんだ? とアタマを悩ませたことは、一度や二度ではないはずです。
この「勘定科目」を決めるにあたっても重要なのが、またしても「支払の目的」という要素です。
たとえば、同じ「花瓶の購入費用」でも。その花瓶がお客さまにプレゼントするためであれば「接待交際費」です。いっぽう、事務所に花を飾るためであれば「消耗品費」です。
繰り返しになりますが、「お客さまにプレゼントするため」や「事務所に花を飾るため」といった「支払の目的」は、領収書・レシートなどからはわかりません。
記録が無ければ、時間とともに記憶は後退するばかりです。日ごろ、帳簿つけを溜め込んで、数カ月も前の領収書を見ても「思い出せない」のはあたりまえ。
思い出すことに時間をかける帳簿つけ(経理)は最悪です。そんなことをしていたら、時間がいくらあっても足りません。
ですからやはり、「支払の目的」を、領収書・レシートなどの「証拠資料」の余白や、「会計帳簿」の摘要欄などにメモを残すようにしましょう。
極論を言えば。税務署は、勘定科目選びについてそれほどの関心はありません。だいじなのは経費か否かであって、経費であれば、勘定科目がなんであろうと結論(税額)に変わりはないからです。
だからといって、フリーランス自身までもが無関心ではいけません。大切なおカネを「なにに」どれだけ使ったのかをきちんと知るには、正しい勘定科目選びが欠かせないからです。
税務署のためにしかたなく帳簿つけ、はやめましょう。まずは自分のために、帳簿つけをすることです。
そもそも必要な経費なのかどうか?
経費なのかどうかもわかった、どの勘定科目なのかもわかった。でも、まだ終わりではありません。
そもそも必要な経費だったのかどうか? 自分の大切なおカネを、自分で判断をして使うフリーランスだからこそ。そこまで考えなければいけません。
たとえば、同じ「会費」でも。税理士として仕事をするために加入・支払が義務付けられている税理士会費は、必要な経費です。
いっぽうで。なんとなくお付き合いのために加入した◯◯会の年会費は… ほんとうに必要なんだろうか? ということです。
必要な経費か否かを見極めるためには、決算書の勘定科目を眺めているだけでは不十分です。「支払の目的」にまで踏み込んでいかないといけません。
ぜひ、定期的に見直しをしてみましょう。「ほんとうは必要でもない経費」は意外とあるものです。
しかも。1回1回の支払い(月会費など)は少額でも、繰り返し支払い続ければ、数万円にも数十万円にも及びます。
税務署向けの決算書・確定申告書をつくって「はいおしまい」という帳簿つけをしていると、税金とは違ったところでおカネを失くしてしまいます。
税金・税務署が求めている4大要素ばかりではなく、フリーランス自身のために「支払の目的」にも目を向けましょう。
まとめ
経費を帳簿につけるときには4大要素と「支払の目的」がだいじ、ということについてお話をしてきました。
確定申告の期限間際になってバタバタ慌てているようでは、「支払の目的」にまでは意識が回らないものです。
普段から溜め込まずに帳簿つけをする、という習慣にも取り組みましょう。
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