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フリーランスの経費・勘定科目一覧【抜け漏れ・やり過ぎ・活用度ランキング付】

フリーランスの経費・勘定科目一覧

” これは経費になるの? 勘定科目はなににすればいいの? ”

うんうん、悩みますよね。ということで、フリーランスの経費・勘定科目一覧と、勘定科目の使い方・考え方にまつわる各種ランキングのお話です。

目次

フリーランスの経費・勘定科目一覧と各種ランキング

フリーランスが経理・確定申告をするうえでの悩みとして、「これは経費になるのか? 勘定科目はなににすれば?」というものがあります。

フリーランスの「経費」とひとくちに言っても、いろいろありますが。

その「いろいろ」を、経理・確定申告では「勘定科目(かんじょうかもく)」として表現しなければいけません。

電車に乗ったら「旅費交通費」ですよ、お客さんを接待したら「接待交際費」ですよ、事務用品を買ったら「消耗品費」ですよ。

というときの、旅費交通費や接待交際費、消耗品費といった名称が「勘定科目」です。

しかし、この「勘定科目たち」がクセモノで。いったい、何にすればよいのか? どれを使ったらよいのか? と悩む人があとを絶ちません。

ということで、まずは「こんな使い方はどうでしょう」ということで、経費の勘定科目一覧(使用例)を提示します。

そのあと、勘定科目の中でも使い方や考え方に注意が必要なものを、ランキングにまとめてみます ↓

このあとの話の内容
  • 経費の勘定科目一覧
  • 抜け漏れ度ランキング
  • やり過ぎ度ランキング
  • 活用度ランキング

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

まずは「経費の勘定科目」を一覧する

それではさっそく、下記に「経費の勘定科目一覧表」を提示してみます。

それぞれの勘定科目の使い方は、明確に決まっているわけではありません。たとえば、名刺をつくったとして、「広告宣伝費」にするヒトもいれば、「消耗品費」にするヒトもいます。

どっちでもかまいません。どっちでもかまわないからこそ迷うわけで、「わたしだったら」という視点でまとめたのが下記の一覧表になります。つまり、「参考」です。

これをベースに、自分なりの一覧表をつくりましょう。勘定科目の使い方は自由と言っても、「つどつどテキトー」では役に立つ決算書ができませんので。

なお、勘定科目名に貼られたリンクをクリックすると、その勘定科目に関する当ブログのおすすめ記事をご覧いただけます。もっと知りたい・学びたい、というあなたはクリックを。

【説明】下記、経費の勘定科目一覧表の見方

税務署から提供されている「青色申告決算書(うち1ページめの損益計算書)」には、すでに指定済み(印字済み)の勘定科目があります。「これを使いなさい」という勘定科目です。

いっぽうで、同決算書には自由に勘定科目をつくる・使うことができる空欄(6つ)が用意されています。

これら、指定済み勘定科目と、空欄で使うのにおすすめの勘定科目とについて、下記一覧表では上下に区分をしています。

勘定科目使用例










仕入金額販売用商品の仕入
租税公課住民票など役所の文書にかかる費用、収入印紙代、個人事業税、消費税、固定資産税
荷造運賃販売用商品の発送にかかる梱包費・発送費
水道光熱費電気代、ガス代、水道代、灯油代
旅費交通費電車代、バス代、タクシー代、宿泊代、カーシェア利用料
通信費電話代、インターネット利用料、切手代・はがき代・郵便料金
広告宣伝費広告掲載費用、WEBサイト運営費用、名刺代、看板代、会社案内・パンフレット製作費
接待交際費取引先などの飲食代、贈答代、香典・祝儀、ゴルフ代
損害保険料店舗・事務所の損害保険料、損害賠償保険料
修繕費備品や設備などの修理代
消耗品費10万円未満(青色申告なら30万円未満)の備品、文房具、雑貨
減価償却費10万円以上(青色申告なら30万円以上)の備品などの減価償却
福利厚生費従業員(フリーランス自身は含まない)の茶菓子代、香典・祝儀
給料賃金従業員(フリーランス自身・同居の家族は含まない)の給料・賞与
外注工賃外部業者への業務委託費(いわゆる外注費)
利子割引料借入金返済の利息部分(元金部分は経費対象外)
地代家賃店舗・事務所の賃借料、月極駐車場の利用料
貸倒金売掛金や貸付金の回収不能額 
雑費他の勘定科目のいずれにも分類できないもの(極力、この科目は使用しない)
専従者給与同居をしている親族への給料・賞与



使
会議費カフェなどでの商談・打合せ、ひとり仕事費用
図書費本、雑誌代
研修費セミナーの参加費用
支払手数料振込手数料、ATM手数料などの諸手数料
支払報酬税理士などへの報酬
諸会費同業者団体などの会費
車両関連費ガソリン代、ETC利用料、時間貸駐車代、自動車税、自動車保険料、車検・修理代
リース料パソコン、コピー機などのリース料

 

経費にし忘れて損するな!抜け漏れ度ランキング

ここからは、いろいろある勘定科目について、その特性に応じた各種ランキング(当ブログの独断)を大公開!

1つめのランキングは「抜け漏れ度」。フリーランスが、経費から漏らしてしまいがちな勘定科目について。こちらです ↓

  • 第1位 会議費
  • 第2位 地代家賃
  • 第3位 水道光熱費

チリも積もれば「会議費」

カフェやファミレスなどでの商談・打合せ費用を経費から漏らしてしまう、ということはあまりないでしょう。仕事の費用だということが明らかだからです。

これに対して、同じカフェやファミレスでも、「ひとり仕事」をする際の費用を経費から漏らしているケースをわりとよく見かけます。

ひとり仕事をする際のカフェやファミレスは、フリーランスにとっての言わば「仕事場」であり、その費用は「場所代」という意味合いで経費にできます。

ちなみに。あくまで「場所代」ですから、おやつや食事まで混じると、それは行き過ぎです。経費にできるのは飲み物代まで、と考えておきましょう。

そう考えると、1回1回の支払いは少額かもしれませんが。チリも積もれば、です。節税と言うのであれば、まずはできることをしっかりと ↓

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家で仕事するんでしょ?「地代家賃」

自宅兼オフィスで仕事をするフリーランスは、家賃のうち「オフィス部分」については経費にすることができます。

平日日中は外で仕事、夜や休日は自宅で仕事という場合でも、その「オフィス部分」についてはもちろん経費です。

その金額は決して小さくないにもかかわらず、経費に計上していないケースを見かけます。

理由は、経費にしてよいかわからなかったから、あるいは、どういうふうに経費にすればよいかわからなかったから。ということが多いようです。

自宅兼オフィスのように、仕事分とプライベート分が混じる費用のことを「家事関連費(かじかんれんひ)」と呼びます。

フリーランスが仕事をしていくうえで、家事関連費はさまざま考えられますから、きちんと理解をしておくことで節税につながります。勉強しておきましょう ↓

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【参考】自宅が持ち家の場合

自宅が賃貸の場合には、「家賃」が経費になりますが。持ち家の場合には、その「購入代金(の一部)」を経費にすることができます。減価償却というしくみを理解する必要があり少々難解ですが、該当する場合には勉強してみましょう。

だから、家で仕事するんでしょ?「水道光熱費」

前述の「家賃」に付属するものとして。自宅兼オフィスの「光熱費」もまた、経費からは漏れやすくなっています。

その理由は、やはり、経費にしてよいかわからなかったから、あるいは、どういうふうに経費にすればよいかわからなかったから。

家賃と同じく、光熱費も「家事関連費」です。仕事分とプライベート分とを区分して、仕事分だけを経費に計上する、という家事関連費の考え方をマスターしましょう。

仕事の内容にもよりますが、自宅仕事がデスクワークである場合の光熱費は「電気代」「灯油代」くらいでしょう。

水道代と言ってもお茶をいれるくらいでしょうし、ガス代と言ってもお湯を沸かすくらいです。お茶にかかる水道代とガス代なんて… ということですから、ムリくり経費にしないようご注意を。

税務署に目をつけられないように…やり過ぎ度ランキング

2つめのランキングは「やり過ぎ度」。フリーランスが、ムリくり(?)経費にしがちな勘定科目について。

やり過ぎれば税務署の目に止まりやすくなりますからご注意を ↓

  • 第1位 接待交際費
  • 第2位 消耗品費
  • 第3位 仕入金額

どうしてそんなにムチャするの?「接待交際費」

家族や友人などとの「プライベート」な飲食代が、経費ではないことは明らかなのですが… なぜか「経費にしてしまう」というケースが散見されます。

理由は、みんなやっているから、とか。どうせ税務署にもバレないだろうから、とか。

みんなとは誰を指すのかはナゾですけれど、それは「たまたまバレていない」だけです。あしたにもバレるかもしれない状況にあることは理解しておきましょう。

いつかバレちゃうかも、とドキドキしながら過ごすなんて精神衛生上よくありません。ドキドキしないというのなら、立派な悪人ということになってしまいます。

仕事かプライベートかをきちんと線引するのも、フリーランスのだいじな能力のひとつです。その能力を鍛えましょう ↓

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それ、仕事では使わないよね…「消耗品費」

前述の接待交際費に通ずるものがありますが。消耗品費も「経費にしてしまう」というケースが多い勘定科目のひとつです。

仕事では使わない家電とか、仕事着だと言うには厳しい衣服代とか。自分で買ったならまだしも、他人からもらった領収書・レシートまで経費に突っ込むツワモノもいます。

そんな人のために、税務調査では「現物」を確認されることもある、と申し添えます。すると、仕事で使うようなものではないことや、実際には所持していないことはカンタンにバレます。

ちなみに、フリーランスの衣服代(メガネ・時計など身につけるものを含む)は、「一般に」経費と考えるのは難しい状況・傾向にあります。

そこを「経費にしよう」と言う場合には、税務署を納得させることができるだけの理屈・証拠を準備することをお忘れなく ↓

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ぜったい、在庫あるでしょ!「仕入金額」

モノを仕入れてそれを売るという仕事(たとえば、せどり)、あるいは、材料を仕入れてそれを加工して売るという仕事(たとえば、ハンドメイド作家)の場合。

その「モノ」や「材料」で決算日(年末)に残っている分については、「在庫」としての経理処理が必要です。具体的には、在庫に残った分の金額だけ、仕入金額からマイナスしなければいけません。

ですから、この在庫の経理処理がない場合、仕入金額(経費)が過大になり、結果として「やり過ぎ」になります。

この点で、モノや材料を仕入れるような仕事については、売れるまでのあいだや製作途中には、なにかしら手元に残っているというのが自然です。

したがって、在庫の経理処理がないと、税務署的には「ぜったい、在庫あるでしょ?」と気になってしまうことがありますから注意が必要です ↓

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うまく使って節税、節税 ♪ 活用度ランキング

3つめのランキングは「活用度」。考え方をきちんと理解してうまく使えば(経費にすれば)、節税につながる勘定科目について。こちらです ↓

  • 第1位 研修費
  • 第2位 減価償却費
  • 第3位 旅費交通費

学んでなお経費というオトク「研修費」

税金の計算方法は平たく言うと、「(売上 − 経費)× 税率」です。したがって、経費が大きいほど税金が安くなります。

ですから、各種のセミナーや研修に参加をする費用である「研修費」を支払うことは、税金を減らす効果があるという点でオトクです。

それよりもなによりも、研修費をかけたことでフリーランス自身が成長する機会を得られるわけですから、「超オトク」ということになります。学んでなお経費、学んでなお税金が減る。

注意すべきは、仕事に関係がある研修費かどうかということです。いくら「セミナー」や「研修」と名のつくものであっても、仕事との関係性がないものまで経費にするのはやり過ぎです。

税務署などの他人に対して、「仕事と関係がある」と説明できる、説得できる自信があるものにとどめましょう。他人だったらどう思うかな? という目が大切です。えてして自分自身に対しては甘くなるものです。

ちなみに、本や書籍代などの「図書費」も同じような考え方になります。これと合わせて「研修図書費」などの勘定科目でもよいでしょう。

やり方いろいろ「減価償却費」

フリーランスが経理・確定申告をする際に、アタマを痛めるもののひとつが「減価償却(げんかしょうきゃく)」です。

金額が高いモノ(たとえば、クルマやエアコン、パソコンなど)を買った際には、一度に経費にすることはできず、複数年に分割して経費にしなければいけない。という経理のルールを「減価償却」と呼びます。

たとえば、12万円のパソコンを買ったときには、毎年3万円ずつ4年間(パソコンは4年と決められています)かけて、合計12万円を経費にします。これが原則。

これとは別に、青色申告者は単価 30万円未満のモノは一度に経費にできる(買った年に12万円が経費)、20万円未満のモノは3年で経費にできる(毎年4万円ずつ3年間)、といった例外もあります。

原則・例外のうちどの方法を選ぶかによって、買った年やその翌年以降の税額が変わってきますから、「減価償却」については一通りの理解をしておくのがおすすめです ↓

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仕事のついでに…「旅費交通費」

金額が大きくなりがちな遠方への旅行について。プライベートの旅行費用は経費になりません。いっぽうで、仕事での旅行費用は経費になります。

では、プライベートと仕事が混在した旅行だったら? 全額とは言わないまでも、一部を「旅費交通費」として経費にすることができます。

たとえば、全3日間の旅行日程で、1日は仕事、残りはプライベートなら。「旅行費用 × 1/3」を経費にする、という考え方になります。

ですから、旅行にいくのであれば、プライベートだけではなく、旅行先で仕事の予定も組み入れるのはどうでしょう。とくに遠方への旅行であれば、旅行費用も大きく、経費を増やす効果が期待できます。

「仕事」の具体例としては、商談、営業、商品の買い付け、サービス提供、執筆等のための取材、新規事業開発や新規市場開拓のための視察、セミナーの開催などなど。

これらなにかしらの仕事をこじつける、という意味ではなく。仕事はいろいろあるのですから、自分に必要な仕事を「ほんとうに」してこよう、ということです。

なお、仕事であったことを証明できるよう「証拠資料」は整えておきましょう。高額の旅費交通費は、税務署も気にするところですから ↓

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まとめ

フリーランスの経費・勘定科目一覧と各種ランキングについてお話をしてきました。

経費か否かの判断はカンタンではない。また、勘定科目の使い方には明確な決まりがない。ゆえに。経理・確定申告でアタマを抱えます。

そんな悩みから抜け出すには、少しずつでも経費・勘定科目の考え方を身につけようとすること。そして、実践(経費の判断をする、勘定科目を選択する)を繰り返すしかありません。

 

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  きょうの執筆後記
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