会社が銀行から融資を受けるにあたっては、あれば「融資を受けるのに役立つ書類」はいろいろあるものです。
そこで、銀行融資を受けるのに役立つ書類を「重要度順」に 10個、お話をしていきます。
あればいい書類は、決算書だけじゃない。
会社が銀行から融資を受けるにあたっては、なにかと「書類」が必要です。その最たるものとして挙げられるのが「決算書」になります。
そして、決算書以外にも。あれば「銀行融資を受けるのに役立つ書類」はいろいろとあるものです。
書類を用意するなんてメンドーだ、と思われるかもしれませんが。できるだけ融資を受けやすくするために、書類を準備することも検討してみましょう。
でもいったい、どんな書類を準備すればいいの? ということで。銀行融資を受けるのに役立つ書類を「重要度順」に 10個、お話をしていきます。こちらです↓
- 決算書
- 試算表
- 資金繰り表
- 借入金一覧表
- 会社概要・商流図
- 売上・仕入・在庫明細
- 事業計画書
- キャッシュフロー計算書
- 実態貸借対照表
- ローカルベンチマーク
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
【重要度順】銀行融資を受けるのに役立つ書類10選
【重要度1位】決算書
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度1位。それは、「決算書」です。銀行融資においては、決算書がなければ、話の土俵に上がることもできない。と、言ってよいでしょう。
その決算書から、銀行は「貸したおカネを返してもらえる会社かどうか」を見ています。端的に言えば、「利益が出ているかどうか」です。貸したおカネを返済できるだけの利益が出ているか。
この点で。利益が出ているのにもかかわらず、「税金を払いたくないから」と、みずから利益を減らしている会社もあります。結果として、融資が受けられない・受けにくくなることを忘れてはいけません。
銀行融資における決算書の見方について、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
【重要度2位】試算表
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度2位。それは、「試算表」です。決算日から数ヶ月ほど過ぎている状況で融資の依頼・相談をすると、銀行からは決算書に加えて「試算表」も求められます。
試算表を見ることで、決算日からいま現在までの業績、つまり、「足元の業績」を把握するためです。
にもかかわらず。試算表をつくっていなかったり、試算表をつくるのが遅れていたりすれば、銀行からは「この会社だいじょうぶ?(だいじょうぶじゃないな)」と思われてしまいます。融資が受けにくくなる。
また、試算表をつくっていても、その「精度」に問題がある会社は少なくありません。銀行に見せる試算表をつくるのであれば、決算書に近い精度でつくることもだいじなポイントになります。
【重要度3位】資金繰り表
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度3位。それは、「資金繰り表」です。融資を受けようとすると、銀行から「資金繰り表をお願いします」と言われることがあります。
できれば、「言われる前に提示する」くらいでちょうどいいのが資金繰り表です。なぜなら、資金繰りは会社の生命線だから。資金(おカネ)が尽きれば会社はおしまい。その資金の状況を把握するのに資金繰り表は欠かせません。
にもかかわらず。資金繰り表をつくっていない、言ってもなかなか出てこない… 当然、銀行からは嫌われます。
資金繰り表がなくても融資を受けられることはありますが、あれば融資が格段に受けやすくなるのは間違いありません。資金繰り表は、常備しておくようにしましょう。
【重要度4位】借入金一覧表
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度4位。それは、「借入金一覧表」です。代わりに、各借入金の返済予定表のコピーを渡している、という会社もあるでしょう。
けれども、「融資を受けやすくしたい、融資条件を良くしたい」と考えているのであれば。借入金一覧表をつくり、それをもとに銀行と話をするのがおすすめです。
借入金一覧表をつくることで、会社自身が借入の状況を把握できます。逆に、借入金一覧表がないと、「借入の状況」や「各銀行の動き」が把握できず、銀行とじょうずに「交渉」をすることができません。
借入金一覧表は、「他の銀行の動き」を気にする銀行が、欲しい書類のひとつでもありますから。ぜひ、準備をしておくようにしましょう。
【重要度5位】会社概要・商流図
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度5位。それは、「会社概要・商流図」です。銀行から言われなくても渡しておきたい書類になります。
銀行が会社のことをよくわからなければ、柔軟に融資をすることはできません。決算書や試算表などの「表面的な数字」でのみ、見られることになってしまいます。
けれども、本来、融資審査は「事業の内容や将来性」まで見られるべきです。そこまで見るためには、自社が扱う商品やサービス、ビジネスモデルを伝えられるよう「会社概要・商流図」などが必要になります。
とくに決まった書式はありませんが。よくわからなければ、後述する「ローカルベンチマーク(重要度10位)」を使ってみるとよいでしょう。
[ad1]【重要度6位】売上・仕入・在庫明細
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度6位。それは、「売上・仕入・在庫明細」です。このあたりも、銀行に言われずとも用意しておきたい書類になります。
具体的には、売上先や仕入先、外注先の名称と取引割合をリストにする。あわせて、入金・支払条件(月末締め・翌月末入金、など)も併記しておくとよいでしょう。ふだんから在庫がある会社であれば、いま現在の在庫一覧表や入出庫表など。
これらの書類があると、銀行はその会社の「経常運転資金」を確認しやすくなります。すると、経常運転資金の融資が受けやすくなる、ということを覚えておきましょう。
経常運転資金分の融資をきちんと受けることは、会社の資金繰りをよくする有効な方法です。
【重要度7位】事業計画書
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度7位。それは、「事業計画書」です。会社の将来について、計画をあきらかにする書類であり、「経営計画書」などとも呼ばれます。
銀行から必ずしも求められる書類ではありませんが。それだけに、あれば「プラス材料」として見てもらうことができるのが事業計画書です。
事業計画書があれば、銀行は「会社の方向性」をはかることができます。また、「計画を立てて、その計画を見ながら経営をしています!」という会社には、経営管理能力の高さを感じるところです。
事業計画書をつくっている会社は、けして多くありませんので。つくっているのであれば、ぜひ銀行にも提示していきましょう。提示するだけでも、他の会社との差別化になるはずです。
【重要度8位】キャッシュフロー計算書
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度8位。それは、「キャッシュフロー計算書」です。キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書に次ぐ、第三の決算書類と言われています。
が、中小企業には作成義務がないために、「キャッシュフロー計算書?なにそれ?」という会社は少なくありません。キャッシュフロー計算書をつくっていないし、つくることができないからです。
キャッシュフロー計算書を見ることで、「おカネが増えたのはなぜか?減ったのはなぜか?」を知ることができます。銀行から融資を受けようとするのであれば、だいじな情報です。
会社がつくらずとも、銀行は銀行でキャッシュフロー計算書をつくっていますが。同じ土俵で話をするためにも、自社でキャッシュフロー計算書を用意できるようにしましょう。
【重要度9位】実態貸借対照表
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度9位。それは、「実態貸借対照表」です。会社がつくる決算書のなかにある貸借対照表とは別モノになります。
実態貸借対照表とは、その名のとおり、「実態に合わせた貸借対照表」のこと。会社がつくる貸借対照表は、往々にして実態とは異なるために、銀行は実態貸借対照表をつくっているのです。
たとえば、もはや売れる見込みがない商品が在庫として貸借対照表に計上されているとか。そういう在庫は、実態に合わせて「金額ゼロ」に修正をする。そのうえで、決算書の評価をします。
このような銀行の考え方を会社も理解して、必要があれば、実態について銀行に説明するようにしましょう。そのためには、会社自身も実態貸借対照表をつくっておくのがおすすめです。
【重要度10位】ローカルベンチマーク
銀行融資を受けるのに役立つ書類、重要度10位。それは、「ローカルベンチマーク」です。認知度が高い書類とは言えませんが、銀行融資を受けるのには役立つ書類になります。
ローカルベンチマークとは。経済産業省が、「企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)」として提供しているものです。
このローカルベンチマークのなかみは大きく2つに分かれています。「財務情報」と「非財務情報」です。財務情報によって、会社を定量的に理解して。非財務情報によって、会社を定性的に理解することができます。
非財務情報には、前述した「会社概要・商流図」に関する情報も含まれていますので。少々、手間と時間はかけてでもつくる価値がある書類として、おすすめをしておきます。
まとめ
銀行融資を受けるのに役立つ書類を重要度順に 10個、お話をしてきました。
書類を用意するなんてメンドーだ、と思われるかもしれませんが。できるだけ融資を受けやすくするために、書類を準備することも検討してみましょう。
- 決算書
- 試算表
- 資金繰り表
- 借入金一覧表
- 会社概要・商流図
- 売上・仕入・在庫明細
- 事業計画書
- キャッシュフロー計算書
- 実態貸借対照表
- ローカルベンチマーク