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フリーランスが支払う税金は経費になるの?【勘定科目・仕訳まとめ】

フリーランスの税金は経費になるのか

所得税は「経費」にならない。個人事業税は「経費」になる。わけわからん。

というあなたのために。フリーランスが支払う税金あれこれについて、経費になるか否か、勘定科目・仕訳についてまとめます。

目次

フリーランスの税金あれこれは「経費になるの?」を総まとめ

自分で事業をはじめると、なにかにつけて支払う機会が増えたように思える「税金」あれこれ。

支払うのでさえタイヘンなのに、こんどはそれを経理もしなくちゃならない。メンドーだ。

しかも、同じ税金なのに「経費」になるものもあれば、ならないものもあるだなんて… どうかしてるぜっ! と叫びたくもなるでしょう。

そんなフリーランスにまつわる税金について。経費になるか否か、勘定科目・仕訳などについてお話をしていきます。

まずは、どんな税金があるのか? それは経費になるのかならないのかを一覧にしてみましょう↓

経費になる経費にならない
  • 個人事業税
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 償却資産税
  • 自動車税・軽自動車税・自動車取得税・自動車重量税
  • 登録免許税・不動産取得税
  • 印紙税
  • 利子税
  • ゴルフ場利用税・入湯税
  • 所得税
  • 源泉所得税
  • 住民税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 延滞税・加算税、延滞金・加算金
  • 交通違反の罰金
  • 国民健康保険料・国民年金保険料

それではこのあと、勘定科目や仕訳のことなどくわしく見ていきましょう。

 

税金を支払ったときの勘定科目・仕訳

フリーランスが税金を支払ったときの「勘定科目」と「仕訳」について確認をしておきましょう。

経費になる税金の場合・原則

「経費になる」税金を支払ったときの勘定科目は、原則、「租税公課(そぜいこうか)」です(例外については後述します)。

仕訳は次のとおりです↓

借方(科目)借方(金額)貸方(科目)貸方(金額)
租税公課×××現金(または預金)×××
【参考】貸方(科目)について
現金(または預金)ではなく、「事業主借」という経理方法もあります。おすすめです。
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経費になる税金の場合・例外

経費になる税金の勘定科目は、基本「租税公課」だと前述しましたが。別の勘定科目でもいいかな、あるいは、別の勘定科目のほうがよい、というものを挙げてみます。

【自動車税】

自動車税(自動車税ってなに?は後述します)については「租税公課」でもOKですが、「車両費」という勘定科目もおすすめです。

クルマ関係の費用(ガソリン代、時間貸し駐車場利用料、ETC利用料、自動車保険料など)は、すべて「車両費」にまとめておくと、クルマの所有・維持にどれくらいのおカネがかかっているかがわかりますので。

仕訳は次のとおりです↓

借方(科目)借方(金額)貸方(科目)貸方(金額)
車両費×××現金(または預金)×××

【ゴルフ場利用税・入湯税】

ゴルフ場利用税や入湯税(ゴルフ場利用税や入湯税ってなに?は後述します)は、それ単独で支払う税金ではありません。

ゴルフ場利用税であればプレー代などといっしょに、入湯税であれば宿泊費などといっしょに支払います。

よくよく領収書を見てみると、「ゴルフ場利用税」とか「入湯税」って書いてある。そういうたぐいの税金です。

したがって、その「プレー代」や「宿泊費」の勘定科目に応じて、税金のほうも合わせて処理をします。

接待ゴルフのプレー代であれば「交際費」、社員旅行の宿泊代であれば「福利厚生費」、出張の宿泊代であれば「旅費交通費」というようなカンジです。

仕訳は次のとおりです↓

借方(科目)借方(金額)貸方(科目)貸方(金額)摘要
交際費×××現金(または預金)×××○○カントリー倶楽部 プレー代
交際費×××現金(または預金)×××○○カントリー倶楽部 ゴルフ場利用税

上記の仕訳について、プレー代とゴルフ場利用税とを分けずに、まとめて仕訳をしてしまっても問題はありません(ただし、消費税の納税義務者は注意→下記【参照】をチェック)。

【参考】消費税の納税義務者である場合
税金を支払うフリーランスが消費税の納税義務者である場合、かつ、原則課税の場合。ゴルフ場利用税と入湯税は「不課税取引」であることに注意が必要です。
会計ソフト入力時、「消費税コード」に気をつけましょう。 

経費にならない税金の場合・原則

「経費にならない」税金を支払ったときの勘定科目は、原則、「事業主貸(じぎょうぬしかし)」です(例外については後述します)。これにより、経費としては集計されないこととなります。

仕訳は次のとおりです↓

借方(科目)借方(金額)貸方(科目)貸方(金額)
事業主貸×××現金(または預金)×××
【参考】事業用の現金・預金以外で支払いをした場合
経費にならない税金について、事業用の現金・預金以外で支払いをした場合(=プライベートの現金・預金で支払いをした場合)には、そもそも仕訳をする必要はありません。
上記の仕訳は、あくまで、事業用の現金・預金を使って支払いをした場合に必要なものです。

経費にならない税金の場合・例外

経費にならない税金の勘定科目は、基本「事業主貸」だと前述しましたが。これは別の勘定科目で、というものを挙げておきます。

【源泉所得税】

源泉所得税(源泉所得税ってなに?は後述します)は、フリーランス(個人事業者)が、家族・従業員などへの給与から天引きして預かった所得税です。

もともとは、家族・従業員の税金であり、ただ預かったに過ぎません。そして、その預かった税金をそのまま税務署に納めます。

仕訳は次のとおりです↓

借方(科目)借方(金額)貸方(科目)貸方(金額)
預り金×××現金(または預金)×××

 ちなみに天引き時の仕訳は、次のようになります↓

借方(科目)借方(金額)貸方(科目)貸方(金額)摘要
給料×××現金(または預金)×××○月分給料
給料×××預り金×××○月分給料 源泉所得税

【要注意!】経費になる・ならないが混じっている税金の場合

前述した「経費になる税金」だとしても経費にならない部分もある、というものもあります。つまり、一部は仕事、一部はプライベート(私生活)に関わる税金です。

具体的には、「自宅兼事務所」の固定資産税、「仕事とプライベート兼用」のクルマの自動車税など。

これらは、仕事の分は「経費になる税金」として、プライベート(私生活)の分は「経費にならない税金」として処理します。

たとえば、自宅兼事務所の固定資産税の場合の仕訳は次のとおりです↓

借方(科目)借方(金額)貸方(科目)貸方(金額)摘要
租税公課×××現金(または預金)×××固定資産税 事務所分
事業主貸×××現金(または預金)×××固定資産税 自宅分

事務所分と自宅分をいくらずつにするかは、それぞれの利用面積など合理的な理由にもとづいて決めなければいけません。

仮に、自宅兼事務所のうち、事務所分の面積が全体の30%だとしたら。固定資産税の金額に30%を乗じた金額が経費として「租税公課」、残りの金額は「事業主貸」です。詳しくはこちらの記事を↓

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「○○税」ってどんなもの?どんなときに支払うの?

ここまでで、「税金をどう経理したらよいか」についての説明はおしまいです。

このあとは、税金っていろいろあるけど「○○税」ってどんなものなの?どんなときに支払う税金なの? ということをカンタンにまとめてみます。

冒頭で掲載した、経費になる・ならないの一覧表に沿ってお話をしていきます。

個人事業税とは

個人事業者が、所得(≒ 利益)に対して納める税金のひとつです。ただし、所得が少ない人や、業種によっては課税されません。

確定申告をすることで、都道府県税事務所から通知書・納付書が届き、8月と11月に納税をします。

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消費税とは

年商1,000万円を超えると、納税義務が生じる税金です。

納税義務がある場合には、毎年3月31日までに自分で申告・納税をしなければいけません。

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固定資産税とは

毎年1月1日現在、土地・建物を所有している場合に課税をされる税金です。賃貸である場合には課税されません。

該当する人には、土地・建物が所在する市区町村から通知書・納付書が届きます。年4回の分割払いで納付します。

償却資産税とは

厳密には固定資産税の一種で、モノに対して課税をされる税金です。具体的には、機械、パソコンなどの事務機器、棚や机など。

毎年1月1日現在で、償却資産税の対象になるモノの金額の合計(課税標準額と呼びます)が150万円以上の場合、1月31日までに自分で申告をしなければいけません。

申告にもとづき市区町村から通知書・納付書が届きますので、年4回の分割払いで納付します。

自動車税・軽自動車税・自動車取得税・自動車重量税とは

自動車税・軽自動車税は、毎年4月1日現在のクルマの所有者に課税されます。税額は自動車の種類、用途、排気量などによって異なります。

対象者には、県(自動車税)・市(軽自動車税)から通知書・納付書が届くので、毎年5月末までに納付します。

自動車重量税は、新車を購入したときと車検のときに課税される国の税金です。

自動車取得税は、クルマを取得したときに課税される都道府県の税金です。

登録免許税・不動産取得税とは

登録免許税は、土地・建物を購入したときなどに、登記をすることで課税される税金です。一般的には、登記を依頼する司法書士への報酬とあわせて支払います。

不動産取得税は、土地・建物を取得したときに課税される税金です。取得後、忘れたころに都道府県税事務所から通知書・納付書が届きますので気をつけましょう。

印紙税とは

契約書、領収書など印紙税の対象とされる文書(課税文書と呼びます)に課税される国の税金です。文書の種類に応じて、収入印紙を貼付(ちょうふ)、消印することで納税します。

収入印紙は、郵便局、コンビニ、金券ショップなどで購入できます。

利子税とは

所得税などを延納(えんのう)する際の利息的な税金です。ちなみに所得税に関する「延納」とは、本来の納付期限である3月15日までに、納付税額の半分以上を納付することで、残りの納付期限を5月末まで伸ばすことができる制度です。

延納している期間の利子税は、年利1.7%です。

ゴルフ場利用税・入湯税とは

ゴルフ場利用税は、ゴルフ場の利用者に都道府県が課税をする税金です。ゴルフ場が、都道府県の代わりに徴収します。

入湯税は、温泉浴場の利用者に市区町村が課税をする税金です。温泉浴場が、市区町村の代わりに徴収します

所得税とは

個人の所得(≒ 利益)に対して課税される国の税金です。毎年、1月1日から12月31日までの所得・税金を自分で計算し、翌年3月15日までに申告・納付します。

納付については、国から通知書・納付書が届くわけではなく、自分で手続きが必要であることに注意しましょう。

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源泉所得税とは

家族・従業員に給与を支払う場合、従業員から天引きする所得税を「源泉所得税」と言います。天引きした所得税は、天引きをした給与支給者(事業者)が国に納めます。

家族・従業員への給与のほかにも、税理士や司法書士などへの報酬の支払いから天引きする源泉所得税もあります。

住民税とは

個人の所得(≒ 利益)に対して課税される地方(都道府県・市区町村)の税金です。

所得税の確定申告をすることで、市区町村から通知書・納付書が届き、年4回で分割して納税をします。

相続税とは

相続税とは、亡くなった人の財産を受け継いだことにより、受け継いだ財産の金額に応じて課税される国の税金です。

相続開始(亡くなった日)から10ヶ月以内に、税務署へ申告・納税をしなければいけません。

贈与税とは

人から財産をもらったときに、もらった財産の金額に応じて課税される国の税金です。

財産をもらった年の翌年3月15日までに、税務署へ申告・納税をしなければいけません。

延滞税・加算税、延滞金・加算金とは

延滞税とは、本来の申告・納税期限に遅れてしまった場合に課税される利息的な国の税金です(前述した延納による「利子税」とは異なる点に注意)。

加算税は、申告・納税がされなかった場合のペナルティ的な国の税金です。

延滞金は、延滞税(国の税金)にあたる地方の税金です。加算金は、加算税(国の税金)にあたる地方の税金です。

交通違反の罰金とは

これまでの「税金」とは違いますが、「おカミ」に払うという点では類似するものとして挙げておきます。

具体的には、スピード違反や駐車違反などの罰金になります。これらのペナルティが経費処理できて節税効果が働くのではおかしなことになるために、経費にはできません。

国民健康保険料・国民年金保険料とは、

これもまた「税金」とは異なりますが、やはり、「おカミ」に払うという点では類似するものとして挙げておきます。

事業の所得(≒ 利益)を計算するときには経費になりませんが、「所得控除」において社会保険料控除ができるため、経費にしたのと同様の節税効果があります。

 

まとめ

フリーランスが支払う税金は経費になるの? ということについてお話をしてきました。

事業をしていると、関わる税金の数は一気に増えます。すべての税金の取り扱いを理解しておくことはタイヘンです。

ですから、「それぞれの税金の取り扱いが異なること」だけは覚えておきましょう。

あとは税金を支払うつど、勘定科目や仕訳の方法を確認です。

 

 

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