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銀行との面談が苦手だ、という社長の理由と解決策

銀行との面談が苦手だ、という社長の理由と解決策

銀行との面談が苦手だ、という社長がいます。とはいえ、融資を受けるためには、面談を避けてとおることはできません。そこで、社長が「銀行との面談が苦手だ」という理由と解決策についてお話をしていきます。

目次

面談が苦手だと、不安やストレスになる。

会社の銀行融資・銀行対応のお手伝いをしているなかで、社長からときおりお聞きするのが「銀行との面談が苦手だ」という話です。

融資を受けるためには、銀行との面談を避けてとおることはできません。その面談が苦手だとなると、社長としても不安やストレスになるでしょう。

そこで、「銀行との面談が苦手だ」という理由と解決策について考えてみましょう。わたしが考える、おもな理由は次のとおりです↓

社長が「銀行との面談が苦手だ」という理由
  • 銀行には言ってはいけないことがあると思っている
  • 口下手なのでじょうずに伝えられない
  • 銀行融資・銀行対応の基本を知らない

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

社長が「銀行との面談が苦手だ」という理由と解決策

銀行には言ってはいけないことがあると思っている

社長が「銀行との面談が苦手だ」という理由のひとつが、「銀行には言ってはいけないことがあると思っている」です。

つまり、「これを言ったら、融資をしてもらえなくなるのでは…」と考えるあまり、なにも言えなくなってしまう。といった話を、社長からはお聞きしています。

また、知り合いの社長などから「銀行にはよけいなことを言わないほうがいい」とも聞いたりしていると、いっそうなにも言えなくなることもあるようです。

結果として、銀行に対する「警戒感」が生じます。その警戒感がエスカレートすると「敵意」に変わります。ところが、会社にとって銀行は「敵」ではなく、どちらかと言えば「味方」です。

もう少し正確な表現をすると、「協力者(パートナー)」だと言えます。したがって、黙秘がよくないのは当然として、ウソをつくなどもってのほかだと考えておきましょう。

基本的に、銀行に対して言ってはいけないことなどありません。聞かれたことに対しては、事実をありのままに話せばだいじょうぶです。

業績が悪いことを隠そうとするケースもありますが。銀行が、決算書や試算表を見ればわかることです。隠そうとすれば、こんどは、銀行から警戒されてしまいます。

例外的に、銀行に対して言ってはいけないことがあるとすれば。ひとつは、「おカネがないから貸してほしい」です。赤字が続いて、おカネが足りなくなってから、融資を申し込む社長がいます。

が、銀行は「おカネがない」ことを理由に、おカネを貸すところではありません。無計画な借入をする会社だと見られますから、融資が受けられない・受けにくくなってしまいます。

融資を受けるのであれば、計画的に。おカネのあるうちに、利益が出ているうちに、がセオリーです。

それから、もうひとつ。例外的に、銀行に対して言ってはいけないことは「ほかの銀行で断られたから貸してほしい」です。銀行からしてみれば、「だったらウチも貸せない」という話でしょう。

断られたことをほかの銀行は知りませんから(信用保証協会の保証付き融資を除く)、それを「あえて」伝える必要はありません。

と、例外はありますが。基本的には、銀行に対して言ってはいけないことはない、と理解をしておきましょう。銀行は、自社の「協力者(パートナー)」としてお付き合いをすることが大切です。

口下手なのでじょうずに伝えられない

続いての、社長が「銀行との面談が苦手だ」という理由は、「口下手なのでじょうずに伝えられない」です。わたしも口下手との自覚があるので、気持ちはわかります。

口下手だと、だいじなことも銀行に伝わらない、ややもすると伝え漏らしてしまう… そう考えると、銀行との面談もおっくうに感じることでしょう。

ですが、銀行との面談に関しては、口下手自体が問題になることはありません。代わりに「文書」で伝えるようにしましょう。文書といっても、融資の依頼であればA4用紙1枚ていどです↓

伝えるべき内容・伝えたほうがいい内容は、あらかじめ文書にまとめておき、それをもとに面談にのぞめば、話をしやすいでしょうし、伝え漏れもなくなるはずです。

また、面談に対応した銀行員としても、聞き漏れや記憶漏れがなくなりますから、文書にしてもらえるのはありがたいことだと言えます。

自社の現況や見込みを伝えるにあたっても、現況であれば「試算表」を、見込みであれば「経営計画書」といった文書があると、やはり話しやすく、伝えやすくもなるでしょう。

文書は「わざわざつくるもの」でもありますから、銀行はそこに「誠意」や「誠実さ」を感じるものです。口下手であったとしても、文書でおぎなうことはじゅうぶんにできるものと考えます。

むしろ、しゃべりは立板に水だけれど、どうも言っていることと事実に違いがある。言っていることの根拠もはっきりしない。こういったことだと、口上手にも「あやしさ」があります。誠意や誠実さも感じられないでしょう。

だいじなのは、うまくしゃべることではありません。だいじなのは、誠意や誠実さであり、それをカタチに示すのに役立つものが「文書」です。口下手だと自覚する社長ほど、文書を活用しましょう。

銀行融資・銀行対応の基本を知らない

さいごに、もうひとつ。社長が「銀行との面談が苦手だ」という理由が、「銀行融資・銀行対応の基本を知らない」です。

ここまで、「銀行に言ってはいけないことはない」「口下手でもだいじょうぶ」という話をしてきました。ただ、そうは言っても、そもそも面談でなにを話せばよいかはわからない…

と、思われるかもしれません。開業間もない社長など、「経験」もない・少ない場合にはなおさらでしょう。これに関しては、「学ぶ」しかありません。

銀行融資に限ったことではなく、なにごとにも学びは必要です。とはいえ、銀行融資・銀行対応の「基本を押さえる」ということであれば、それほどタイヘンなわけではありません。

そして、基本を押さえるだけでも、なにも知らずに銀行との面談にのぞむよりは、はるかに役立ちますし、はるかに安心をしてのぞめるはずです。

ここで気をつけたいのが、「学び方」になります。怖いのは、「根拠がないノウハウ」や、「再現性が乏しい体験談」です。ちまた(ネットでもリアルでも)には、そのようなハナシがたくさんあります。

なにかノウハウらしきものを耳にしたときには、必ず「根拠(なぜ、そう言えるのか)」を確認しましょう。それでも根拠がない・見つからないのであれば、そのノウハウを使うのは危険です。

たとえば、「融資を受けるときには、金利交渉すべき」とのノウハウがあります。

たしかに、金利はできるだけ低くしてもらうべきです。が、場面を間違えると、銀行との関係をこじらせて、以降の融資を受けにくいものにしてしまいます。根拠を理解していない一例です。

また、知り合い社長の体験談にも気をつけましょう。たとえば、「赤字でも借りられた」というハナシ。そこには銀行との関係性もあれば、社長個人の資産状況なども加味されているはずです。

そういった個別事情は、同じように再現できないことも多くありますので、体験談を聞いて「それならウチも…」とは考えないようにしましょう。

このあたり、必要最小限の「基本」をふまえて、かつ、再現性が高い「理屈」をまとめたものとして。わたしが執筆をしましたkindle本があります。さいごは宣伝になってしまいましたが、活用していただけましたら幸いです↓

銀行との面談が苦手だ、という社長の理由と解決策

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