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銀行に融資を断られたときに社長がすべき5つのこと

銀行に融資を断られたときに社長がすべき5つのこと

銀行に融資を断られたときに、社長がすべきことについてお話をしていきます。断られたからといって、困ってばかりもいられません。なにをすべきか、確認をしておきましょう。

目次

困ってばかりはいられない。

銀行に融資の申し込みをしたところ、審査の結果、断られてしまうこともあります。この場合、社長としては「困ったぞ…」となるわけですが。ただ、困っているばかりではいられません。

今後の資金繰りを考えて、いますべきことがあります。おもにはぜんぶで5つ。抜け落ちているものがないか、確認をしておきましょう↓

銀行に融資を断られたときに社長がすべき5つのこと
  1. 理由を聞いてみる
  2. 他の取引銀行にもあたる
  3. 信用保証協会に直接相談する
  4. 担保提供を考える
  5. リスケを検討する

それではこのあと、順番にお話をしていきます。

銀行に融資を断られたときに社長がすべき5つのこと

1.理由を聞いてみる

銀行に融資を断られたときに、まずすべきことは「理由」の確認です。なぜ、融資を断られてしまったのか? 理由を確認するのはあたりまえのようですが、確認していない社長も少なくありません。

その背景には、「どうせ聞いても教えてくれないから」「ほんとうのことは言ってくれないから」との思いがあるようです。たしかに、ほんとうの理由を教えてくれないこともあるでしょう。

「総合的に勘案しまして、今回は…(ゴニョゴニョ)」というのは、融資お断りの常套句でもあります。ですが、それでもひとこと、「具体的な理由は?」と返すことで、聞けるハナシというのはあるものです。

金融庁は銀行に対して、「融資を断るときには理由を伝えましょう」と指導もしています。それを盾に取るまでする必要はありませんが(銀行との関係がこじれるので)、いちどは理由を聞くようにしてみましょう。

言うまでもありませんが、理由がわかれば、次の融資申し込みに活かすことができます。改善できることであれば改善をして、融資を受けやすくすることができるはずです。

それがわかっている銀行であれば、理由も教えてくれるものと考えます。それでも教えてくれないのは、言うに言えない理由があるからか、すでに関係性が悪いからだとも言えるでしょう。

融資を断る理由を教えてくれるかどうかは、銀行との関係性をあらわす指標の1つです。

2.他の取引銀行にもあたる

A銀行に融資を断られたのだから、B銀行に申し込んでも断られるだろう。というのであれば、必ずしもそうとは言い切れません。たしかに、銀行の考え方は似ているところがあります。

ですが、完全に一致するものではなく、銀行ごとに「差」はあるものです。したがって、A銀行には断られたけれど、B銀行からは融資が受けられた。というケースは、実際にあります。

ですから、融資を断られた場合、ほかの取引銀行にあたることも検討しましょう。このとき、「A銀行に断られたので…」などとは言わないことです。

これを聞いた銀行も警戒しますから、断られやすくなってしまいます。また、「なぜA銀行ではなく、うちに申し込むのですか?」などと聞かれたらどうするか。

「今後の資金調達も考えて、今回はB銀行さんにお願いすることにしました」といった回答をすればよいでしょう。ウソをついている、というわけでもありませんので。

ただし、A銀行で断られたのが「信用保証協会の保証付き融資」である場合、B銀行は信用保証協会を通じて、いちど融資を断られたことを知る可能性があります。

信用保証協会の審査の結果、A銀行から断られたのであれば、B銀行を通じて融資の申し込みをしても、基本的には信用保証協会の審査結果は変わりません。

つまり、ほかの取引銀行にあたるのは「プロパー融資」のとき、ということです。

3.信用保証協会に直接相談する

基本的には、信用保証協会の審査結果は変わらない。という話をしましたが、実は変わるケースもあります。それは、銀行と信用保証協会とのコミュニケーションが悪いケースです。

たとえば、信用保証協会が決算書を見て、「在庫が多いようですが、どういう状況ですか?」と銀行にたずねた場合。銀行担当者が状況を説明できないと、信用保証協会は融資ができません。

そこで、銀行担当者は会社にたずねたりもするわけですが、それを信用保証協会にうまく伝えられないケースもありえます。そもそも会社の伝えかたも悪い、というケースもあるのでしょうが。

いずれにせよ、信用保証協会は「又聞き」ですから、「銀行(担当者)しだい」の部分があります。

ですから、場合によっては、社長が直接、信用保証協会と話をするのはひとつの方法です。銀行には事前にひとこと、「直接、保証協会に説明をしたいので」と伝えておくとよいでしょう。

あとは、保証協会の担当者を教えてもらい、アポイントをとれば、直接話をすることは可能です。

4.担保提供を考える

ここまで、3つのすべきことをお話ししてきました。次に考えるのは「担保提供」です。担保があれば、銀行としては安全度が上がりますから、融資を再検討してもらえるかもしれません。

会社名義のものばかりではなく、社長個人名義の不動産や定期預金で、担保提供できるものがないかを検討してみましょう。ここでのポイントは、いきなり担保提供の話をしないことです。

まずは、担保になるような不動産や定期預金の「リスト」をつくり、それを銀行に提示します。その際、「個人名義の資産です。これらの評価も加味してもらえますか?」と伝えましょう。

会社の資産と社長個人の資産は、「一体」として評価するのが銀行の考え方です(中小企業の場合)。よって、必ずしも担保にとらずとも、評価が上がることで融資を受けられる可能性があります。

個人名義の資産のことまで銀行には教えたくない、と考える社長は少なくありませんが。会社のチカラだけで融資を受けるのが難しいのであれば、ひとつの選択肢として覚えておきましょう。

5.リスケを検討する

さいごにすべきことは、リスケ(リスケジュール)の検討です。つまり、銀行に返済猶予をお願いします。返済をストップすることは、その分の融資を受けるのと効果は同じです。

できるだけはやくリスケを実行することで、手元により多くのおカネを残した状態でリスケができます。リスケをするときには、この「手元により多くのおカネを残した状態」が重要です。

せっかくリスケができても、手元におカネがなければ、資金ショートを起こしやすくなってしまいます。ところが、リスケを嫌うあまり、リスケのタイミングが「遅すぎる」のは、けしてめずらしいことではありません。

ですから、銀行に融資を断られたタイミングで、必ず「リスケ」の検討をするようにしましょう。

ここで、リスケを避けるために、社員の給与支払や仕入先への支払を遅らせたりすると、事業継続に支障をきたします(社員が退職する、仕入先から取引を停止されるなど)。

また、税金や社会保険料の支払を遅らせるのもよくありません。最悪の場合、差し押さえをされてしまいます。税務署や年金事務所と相談をして、遅らせてもらうことはできますが、順番で言えば、リスケが先です。

なお、融資を断られたときというのは、リスケを依頼しやすいタイミングでもあります。これが、あるときいきなり、リスケを依頼されると銀行もびっくりするものです。

この点で、銀行が融資を断ってくるのとあわせて、「リスケであれば支援できます」との声掛けをしてくることがあります。スムーズにリスケを進められるタイミングとして、理解しておきましょう。

まとめ

銀行に融資を断られたときに、社長がすべきことについてお話をしてきました。断られたからといって、困ってばかりもいられません。なにをすべきか、確認をしておきましょう。

銀行に融資を断られたときに社長がすべき5つのこと
  1. 理由を聞いてみる
  2. 他の取引銀行にもあたる
  3. 信用保証協会に直接相談する
  4. 担保提供を考える
  5. リスケを検討する
銀行に融資を断られたときに社長がすべき5つのこと

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