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減価償却で粉飾を考えている会社におすすめの方法

減価償却で粉飾を考えている会社におすすめの方法

減価償却による粉飾決算が散見されますが。すぐに見抜かれるものであり、そもそも粉飾をするのがよくありません。そこで、代替案としておすすめの方法をお話ししていきます。

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少々、前置きが長くなりますが。

会社がやってはいけないことに、「粉飾決算」があります。事実とは異なる、ウソの経理処理をして、銀行や株主に対して実際よりも良く見せようとする行為です。

もちろん、粉飾決算をしてはいけないことは言うまでもありませんが。とはいえ、このままでは融資が受けられなくなってしまう… このままでは株主に顔向けできない… となれば、「そういう気持ち」になるであろうことは理解できます。

この点で、中小企業ではしばしば散見されるのが「減価償却」による粉飾です。減価償却とは、固定資産(建物、機械、車、備品、ソフトウェアなど)を、複数年に分割して経費にする会計テクニックを言います。

たとえば、500万円の機械を 10年に分割して費用計上するとか。機械は長く使うものですから、1年で全額を費用にするのは実態にそぐわないから、ですね。ちなみに、分割して計上する費用のことを「減価償却費」と呼びます。

では、その減価償却による粉飾とは? 本来、計上すべき減価償却費をまったく計上しない、あるいは、少なめに計上することで費用を減らして、利益を水増しする方法によります。

税法上は、減価償却費の計上は「任意(計上してもしなくてもいい)」なので、それでも税務署から文句を言われることはありません。むしろ、税金が増えるので喜ばれることでしょう。

が、銀行や株主などから見れば、違います。実際よりも利益が多く見せるのはウソつきであり、おかしなハナシです。

それでも、減価償却による粉飾がおこなわれるのは、手段としてはお手軽だからでしょう。そのお手軽さゆえに、見る人が見れば、すぐに見破られるものなので「お粗末きわまりない」とも言えます。

なので、減価償却による粉飾などやめましょう。というのは、各所で注意喚起がされているところであり、わたしもまたそのようなお話をし続けています。1万回くらい。

いっぽうで、粉飾を考える社長の気持ちはわかる。そこで、おすすめをするのが「減価償却方法の変更」です。ずいぶんと前置きが長くなりましたが、ここからが本題となります。

減価償却方法の変更を検討せよ

さて、減価償却方法の変更がおすすめですよ、と前述しました。そもそものお話として、多くの中小企業では、機械や車、備品などの減価償却方法は「定率法」として、減価償却費を計算しています。

ちなみに、「定率法」のほかに「定額法」を選択できることはご存知でしょうか(建物やソフトウェアは、定額法が強制であり、選択はできません)。税法では、その選択をしなければ「定率法が原則」であることから、多くの中小企業が定率法で計算をしているのです。

では、定率法と定額法の違いとは?

端的に言えば、定率法は「前半は減価償却費が大きい」という特徴があり、定額法は「全期間にわたり減価償却費は定額」という特徴があります。

たとえば、500万円の機械を購入した場合、定率法と定額法による減価償却費は次のとおりです(耐用年数は 10年としています)↓

定率法定額法
1年め1,000,000円500,000円
2年め800,000円500,000円
3年め640,000円500,000円
以下、省略・・・・・・

というように、定率法は前半であるほど減価償却費が大きく、後半に向かって小さくなっていきます。いっぽうの定額法は、ずーっと定額です。なお、10年間のトータルで減価償却費として費用になる金額は、定率法も定額法も 500万円で変わりありません。

以上をふまえて、定率法によれば、固定資産の購入当初は費用が大きくなり、利益が小さくなることがわかります。だったら、定額法に変更することで費用を小さくし、利益を大きくするのはどうでしょう? という提案になります。

固定資産の購入が多い会社ほど、効果があるはずです。

税務署に届出をしましょう

よし、定額法に変更しよう、ということであれば。税務署に対して、事前に届出をする必要があります。勝手に変更することはできないので、注意が必要です。

具体的には、「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」という書類になります。提出期限は、「減価償却方法を変更する決算期がはじまる前日」です。つまり、期がはじまってからでは、減価償却方法を変更することはできません。

なお、注意点として、いちど変更をすると、すぐにまた変更というわけにはいかないことを覚えておきましょう。おおむね3年ていどは、同じ減価償却方法を続ける必要があります。

いずれにせよ、「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」は「申請」であって、税務署の「承認」があってはじめて認められるものです。

そのあたりもふまえて、書類の書き方や注意点、実際の提出については、顧問税理士にご相談されることをおすすめします。

ところで、定率法から定額法に変更したら、利益が増えるのだから税金が高くなっちゃうでしょ? というのであればそのとおりです。定率法に比べて、定額法は償却期間の前半は税金が高くなります。

でも、その分、利益は多くなるのですから、銀行からの資金調達力は高くなるのがメリットです(資金調達力は、利益の額に比例します)。そもそも、粉飾(利益の水増し)をしたいという前提でしたから、「税金が増えるのは了承済み」という前提ではありますが。

注記表への記載、銀行への説明もぬかりなく

決算書のなかには、「注記表」という書類があります。注記表には、減価償却方法についても記載が必要です。そのうえで、減価償却方法を変更したのであれば、そのむねを記載するようにしましょう。

つまり、「定率法から定額法に変更しました」という記載です。加えて、変更の理由についても記載します。たとえば、「固定資産の取得原価を、耐用年数にわたり均等に配分することが、固定資産の使用実態および経営実態をより正しく反映することになると判断したため」など。

変更の理由については、前述した「税務署への届出(減価償却資産の償却方法の変更承認申請書)」にも記載が必要なものであり、やはり、顧問税理士にも相談をするのがよいでしょう。

そのうえで、注記表に記載をするだけではなく、銀行に対しては、決算書(のコピー)を渡すタイミングで説明をすることをおすすめします。銀行が必ずしも注記表を確認するかはわからず、減価償却費が急に減れば、「粉飾をしているのでは?」と誤解をされる可能性もあるからです。

説明の内容としては、前述した「変更の理由」が重要になります。この点、IFRS(国際会計基準)では、定額法が望ましい(実態が定率法に合っていない限りは)との考え方であり、IFRSを採用する上場企業などでは、多くが定額法で計算をしていることも話してみるとよいでしょう。

なお、自社にとって定額法が実態にあっているのか? をどう考えればよいのか。その固定資産に対する「メンテナンス費用(修繕費)」が1つのヒントになります。

購入時から時間がたつにつれて、メンテナンス費用が増えるようなら定率法があっている。逆に、購入時から時間がたっても、メンテナンス費用は一定であるのなら定額法、というイメージです。

なぜ、そういう考え方なのか? メンテナンス費用と減価償却費とがそのような関係にあると、「メンテナンス費用+減価償却費」の額が、毎期一定額に近づくからです。

定率法であれば、前半の減価償却費が大きい時期にはメンテナンス費用が小さい、後半になるとそれが逆になる。なので、「メンテナンス費用+減価償却費」の額はおおむね毎期一定になります。

定額法であれば、メンテナンス費用も減価償却費も毎期一定なので、「メンテナンス費用+減価償却費」の額も、おのずと一定になります。

というように、「メンテナンス費用+減価償却費」の額が一定になると、経営実態をつかみやすくなりますよね(逆に、一定じゃないと毎期の利益を比較しづらくなる)、というハナシです。

まとめ

減価償却による粉飾決算が散見されますが。すぐに見抜かれるものであり、そもそも粉飾をするのがよくありません。そこで、代替案としておすすめの方法をお話ししました。

認められた方法であるうえに、場合によっては、より実態に即しているとも言える方法なので、いちど検討してい見るのもよいのではないでしょうか。

減価償却で粉飾を考えている会社におすすめの方法

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