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会社が備えるべきおカネが「平均月商の6ヶ月分」である理由

会社が備えるべきおカネが「平均月商の6ヶ月分」である理由

会社にとって、大事なおカネ。では、そのおカネをどれくらいの額、備えておけばよいものか? 1つの考え方が、「平均月商の6ヶ月分」です。でもなぜ…? その理由をお話しします。

目次

明瞭な説明ができない社長たち。

なにをいまさら、というハナシではありますが。会社にとって、「おカネ」はとても大切なものです。おカネがなくなれば、会社はつぶれてしまいます。ゆえに、おカネを備える必要があるわけです。

では、どれくらいの額を備えればよいのか? 絶対的な正解があるわけではなく、「諸説ある」といったところではあるものの。あえて、1つの考え方は「平均月商の6ヶ月分」です。

と聞いて、なんとなくわかったようにおもわれるかもしれません。でもなぜ、平均月商を元にするのか? なぜ6ヶ月分なのか? と聞かれたら。明瞭な説明ができない… という社長はいるものでしょう。

そこでこのあと、会社が備えるべきおカネが「平均月商の6ヶ月分」である理由について、お話をしていきます。具体的には次のとおりです↓

会社が備えるべきおカネが「平均月商の6ヶ月分」である理由
  • 平均月商 = 費用 + 借入金返済
  • 1ヶ月や3ヶ月では足りないから
  • そもそも備えるべき必要があるから

これらの理由について、順番に解説をしていきます。理由がわかっているのといないのとでは、動機に差が出るものですし、実践度合いにも差が出るものです。

会社が備えるべきおカネが「平均月商の6ヶ月分」である理由

平均月商 = 費用 + 借入金返済

会社が備えるべきおカネについて、「固定費(=費用)の〇ヶ月分」という考え方があります。たしかに、それも1つですが、多くの中小企業には「借入返済」がある点に配慮が必要です。

つまり、大なり小なり借入があって、毎月、その返済をしている。そのうえで、固定費に借入返済は含まれない(=借入返済は費用ではない)のだから、別途、おカネを用意しなければいけません。

それが、「費用 + 借入金返済」の意味するところです。ならば、会社が備えるべきおカネは「費用 + 借入金返済の〇ヶ月分」と表現すべきではないのか? と、おもわれることでしょう。

そのとおりです。ではなぜ、「平均月商(年間売上高 ÷ 12ヶ月)の〇ヶ月分」などと言われるのか?

まずは、多くの会社で「平均月商 ≒ 費用 + 借入金返済」が成り立つからです。資金繰りがまわっている会社であれば、「平均月商」と「費用 + 借入金返済」とは、おおむね等しい関係にあります。

逆に、その関係が成り立たなければ(短期的には成り立たたないことがあったとしても、中長期的にも成り立たなければ)、資金繰りが破たんするため、会社は存続できません。

それから、もうひとつ。「費用 + 借入金返済」よりも「平均月商」が用いられるのは、社長にとって、「費用 + 借入金返済」よりも「平均月商」のほうが数字をイメージしやすいからです。

社長であれば、自社の「平均月商(あるいは年間売上高)」はソラで言える数字でしょう。いっぽうで、「費用 + 借入金返済」となると、「ちょっと待てよ…」と考え込んでしまう社長はいるはずです。

それなら、「平均月商 ≒ 費用 + 借入金返済」が成り立つのだから、「平均月商」で考えたっていいよね、ということになります。それはそれとして、厳密には「費用 + 借入金返済」であることは覚えておくとよいでしょう。

1ヶ月や3ヶ月では足りないから

なぜ、平均月商をもとにするのかがわかったところで。次に「〇ヶ月分」の理由についても考えてみましょう。冒頭では、6ヶ月分としました。でも、1ヶ月分ではダメなのか?3ヶ月分ではダメなのか? と、おもわれるかもしれません。

実際には、諸説あります。ただし、1ヶ月分ではダメなことは明らかです。仮に、自社の「費用 + 借入金返済」が 500万円だとしましょう。そして、いま現在、499万円のおカネがあるとします。

「費用 + 借入金返済」のほぼ1ヶ月分のおカネを持っている、ということです。そのうえで、自社の平均月商が「費用 + 借入金返済」だとすれば、毎月、500万円のおカネが入金されることになります。

いま現在は 499万円のおカネがある。そこに、売上 500万円が入金されて、「費用 + 借入金返済」で 500万円を払うのだから、資金繰りに問題はない。とは言えませんよね?

売上入金よりも、「費用 + 借入金返済」の支払いが先だったら、資金ショートを起こしてしまうからです。なので、平均月商の1ヶ月分のおカネを備えるだけでは足りないことになります。

そういう意味では、「平均月商の2ヶ月分」が最低ラインとしての目安です。そのうえで、次の目安が「平均月商の3ヶ月分」になります。

コロナ禍にあっては、銀行に多くの会社が殺到したため、融資を受けるまでに3ヶ月ほどの待ち時間も生じました。だとすれば、融資を受けるまでの時間稼ぎができるよう、「平均月商の3ヶ月分」くらいの備えはあったほうがよいわけです。

ただ、それとて確実ではありません。融資を申し込んでも、断られる可能性もあります。また、コロナをへて、生活様式は大きく変わり、従来の事業では成り立たない会社も多くありました。

結果、事業の見直し(いわゆる事業再構築)が必要にもなりました。それには、時間とおカネもかかるわけで、そのための備えとして、目安は「平均月商の6ヶ月分」というのが私見です。事業を見直すのに、3ヶ月分では不十分でしょう。

そもそも備えるべき必要があるから

会社はおカネを備えておきましょう、と言うと。「おカネが必要になったら、銀行から借りればいい」と考える社長がいます。

ところが、おカネが必要だからといって、すぐには借りられない状況があることは(コロナ禍の例)、すでにお話をしたとおりです。

また、おカネが必要なときとは、会社の業績・状況が悪いときであり、銀行にとってはリスクがある融資だといえます(貸したおカネを返してもらえない可能性が高い)。

コロナ禍のように、国の後押しがあれば別ですが、後押しもなく、ただただ自社の業績・状況が悪いとなると、融資が受けにくくなったり、融資が受けられないことは多くなるものです。

だとすれば、「おカネが必要になったら、銀行から借りればいい」というのが間違いであることがわかるでしょう。そこに、そもそも「平均月商の6ヶ月分」のおカネを備えるべき理由があるのです。

さらに言えば、「平均月商の6ヶ月分」ものおカネを、いちどに借りれるものでもありません。はじめは、信用も実績もないので、少額しか借りることはできません。

それでも少しずつ、信用と実績を積み重ねることで、より多くの借入ができるようになります。というように、「平均月商の6ヶ月分」のおカネを借入で備えるにも、時間がかかることは理解しておきましょう。

もちろん、自己資金(利益)でおカネを備える方法もありますが、平均月商の6ヶ月分にあたるおカネを利益で増やすには、相当な時間が必要であり、あまり現実的ではありません。

ゆえに、「借りられるときに借りておく」ことで、必要なおカネを備えることも検討しましょう。

まとめ

会社にとって、大事なおカネ。では、そのおカネをどれくらいの額、備えておけばよいものか? 1つの考え方が、「平均月商の6ヶ月分」です。でもなぜ…? その理由をお話ししました。

理由がわかっているのといないのとでは、動機に差が出るものですし、実践度合いにも差が出るものです。本記事でお伝えした3つの理由を、押さえておくようにしましょう。

会社が備えるべきおカネが「平均月商の6ヶ月分」である理由
  • 平均月商 = 費用 + 借入金返済
  • 1ヶ月や3ヶ月では足りないから
  • そもそも備えるべき必要があるから
会社が備えるべきおカネが「平均月商の6ヶ月分」である理由

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