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銀行員に会社まで来てもらってはいけないとき

銀行員に会社まで来てもらってはいけないとき

ややもすると、「銀行員は会社に来てもらうもの」と考えているかもしれませんが。けして、そんなことはなく、むしろ社長のほうから銀行まで行ったほうがいいときもある、というお話です。

目次

銀行員は会社に来てもらうもの

日ごろから、銀行融資を受けている会社の社長は、ややもすると「銀行員は会社に来てもらうもの」と考えているかもしれません。ですが、それはちょっと違います。

理由は2つ。1つめは、銀行の支店や銀行員が減って、外回りがしづらくなっているから。ゆえに、以前ほど頻繁には銀行担当者が来ない、ということもあるでしょう。

そして2つめは、「理屈」として、銀行員に会社まで来てもらってはいけないときがあるから。今回のお話は、こちらを取り上げます。では、具体的にそれはどんなときなのか?次のとおりです↓

銀行員に会社まで来てもらってはいけないとき
  • 決算報告をするとき
  • 定期報告をするとき
  • リスケをするとき

これらのタイミングは、言い換えると、むしろ社長のほうから銀行まで行ったほうがいい、ということになります。詳しくは、このあと順番に確認していきましょう。

銀行員に会社まで来てもらってはいけないとき

決算報告をするとき

毎年、会社の決算がおわり、税務署への申告がおわると、銀行に「税務申告書一式(のコピー)」を渡します。このとき、銀行担当者に会社まで取りに来てもらっているかもしれません。

であれば、次からは社長のほうから銀行まで届けに行きましょう。ではなぜ、銀行担当者に来てもらってはいけないのか?それは、支店長や融資課長などに会えるチャンスを逃すからです。

社長が「決算報告にうかがいます」といえば、よほど銀行から嫌われていない限り、また、気が利く銀行担当者であれば、支店長や融資課長との顔合わせや同席をセッティングしてくれます。

支店長や融資課長は、融資の決裁におけるキーマンですから、直接の面識ができたり、直接自社の事業について話ができることは、融資審査をするうえでプラスの効果があるものです。

逆に、会ったこともない社長の会社となると「よくわからない」ため、よくわからないことが理由で、融資に消極的になることがありえます。これは避けたいところです。

ちなみに、決算報告の場では、文字どおり決算の報告をするのに加えて、今後の見通しを伝える(事業計画書や資金繰り予定表を持参)というのも、大事な目的になります。

決算の実績と、将来の見通しをふまえて、資金調達計画(いつ、何のために、いくら借りたいか)を伝えたうえで、さいごは「融資提案をお願いします」と締めくくるのが、決算報告のセオリーです。

いますぐ融資をしてください!と、融資の依頼をするのではなく、あくまで提案を促すところにポイントがあります。これが、「融資をしてください!」となると、銀行的には「結局、おカネを借りたいから来ただけか」となるものです。

結果、銀行から足元を見られるようでは、せっかくの決算報告も台無しになるので気をつけましょう。決算報告について、くわしくは動画にまとめています↓

定期報告をするとき

1年にいちどの決算報告とは別に、定期的な報告も大切です。何を報告するのかといえば、期中の業績や、事業計画の進捗状況など。これにより、銀行は融資先のようすを把握しやすくなります。

定期報告を通じて、銀行は融資先の事業(商売)に対する理解を深めることもできるため、より積極的な融資につながりやすいのもメリットです。本来、融資先の「事業」を評価するのが銀行であり、業績ありき・担保や保証ありきの融資は、どこかズレていると言ってよいでしょう。

とはいえ、銀行が事業を評価するにも、機会や情報が必要なのであり、だとしたら、定期報告の場を活かすのがおすすめです。もちろん、銀行もわかっているので、定期的に融資先を訪問します。

ところが、冒頭でもふれたとおり、支店や銀行員が減って、訪問するにも時間や人員が足りないのが現状です。にもかかわらず、「定期報告するから会社まで来て」ではコクというものでしょう。

そこで、決算報告と同じように、社長のほうから銀行に出向くのも1つの方法です。定期報告といっても、毎月ほどの頻度は必要ありません。四半期にいちどが、ちょうどよい頻度になります。

そのくらいであれば、社長も時間を取れるものではないでしょうか。銀行担当者も、支店まで来てもらえるほうが、会社まで行くよりは時間を取られずにすむので助かるはずです。

これができる会社と、できない会社とでは、銀行の理解も心象も変わりますから、結果として、差別化につながります。つまり、他の会社よりも融資が受けやすくなる、ということです。

いま、銀行には「伴走支援」が求められています。取引先の事業を理解し、課題を共有し、課題解決を支援する(融資は解決手段の1つにすぎない)ことを、金融庁から求められているのです。

その伴走支援をするにあたっても、定期報告が役立ちますから、やはり銀行からは好感されるものと考えます。

リスケをするとき

どうしても、当初の約束どおりには返済ができない…というときにはリスケです。リスケとは、リスケジュールの略であり、「返済の減額・猶予」をいいます。

資金繰りが厳しく、返済ができないのであれば、銀行へ事前の相談をすることで、リスケを実行できる可能性があります(現状、実行率は99%とのデータあり)。

では、事前の相談をするときに、銀行担当者に会社まで来てもらうのはどうなのか?もちろん、やめたほうがいいでしょう。というのが、わたしの考えです。

なぜなら、リスケ(=当初の約束を守れない)をお願いするのは会社のほうなのに、銀行に時間と手間を取らせて来てもらうのでは、「失礼」だからにほかなりません。

銀行対応も、結局は「ヒト対ヒト」です。目の前にいる銀行員の感情を悪くすれば、銀行融資にも悪い影響が及びます。目の前にいる銀行員に対しては、誠実さをもって臨むのがよいでしょう。

やや打算的ではありますが、銀行担当者に良い印象をもってもらえれば、親身な対応を期待することができます。リスケは、社長が頭を下げるところがスタートであり、であれば、社長の側から出向くのが筋だと理解しておきましょう。

なお、取引銀行すべてをいちどに集めて、リスケを依頼しようとする社長がいます。いわゆる、バンクミーティングです。たしかに、それも1つの方法ではありますが、なかには文句を言ったり、拒否する銀行が出てくるかもしれません。そうなると、他の銀行もリスケを躊躇します。

この点でも、社長は1つ1つ銀行に出向いて、1つ1つ協力を求めていくのがおすすめです。目先の手間を惜しんで、かえって手間取ることがないように気をつけましょう。

まとめ

ややもすると、「銀行員は会社に来てもらうもの」と考えているかもしれませんが。けして、そんなことはなく、むしろ社長のほうから銀行まで行ったほうがいいときもある、というお話をしました。

具体的にどんなときなのか、前述した注意点などもふまえて押さえておきましょう。

銀行員に会社まで来てもらってはいけないとき
  • 決算報告をするとき
  • 定期報告をするとき
  • リスケをするとき
銀行員に会社まで来てもらってはいけないとき

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