金利で攻める銀行に社長はどう立ち向かえばよいか?

金利で攻める銀行に社長はどう立ち向かえばよいか?

金利上昇が予測されています。実際にそうなれば、金利で攻める銀行が増えるかもしれません。そのとき、社長はどのように立ち向かえばよいのか。社長の金利に対する姿勢についてお話しします。

目次

銀行とのあいだにあるギャップ

銀行は、金利を武器に融資を勧めてくることがあります。たとえば、「これだけ金利は低くするから、借りてほしい」といったケースです。

というように、金利で攻める銀行に対して、社長の想いはまた異なるものであったりもします。かつて、金融庁が中小企業を対象に行ったヒアリング・アンケートによれば、社長が銀行に求めるものは「金利よりも、事業に対する理解」でした。

融資の現場を見る限り、このようなギャップは、いまなお、存在しているといってよいでしょう。

社長としては、「もっと自社の事業のことを知ってほしい、事業の持続・成長を支援してほしい」と願ういっぽうで、銀行は「金利を下げれば借りてくれるだろう」と考えている…

この点、社長が「金利に目をくらませている」とようだと、ギャップはますます大きくなるばかりです。つまり、銀行からは自社の事業に対する理解を得にくくなる…すると、長期的な支援や、いざというときの支援が受けにくくなるものです。

金利上昇を迎えるいまこそ

きょうは、2024年1月11日。日銀によるマイナス金利の解除は近い、との話があります。実際に、それが実現すれば、銀行の融資金利は多かれ少なかれ上昇することになるでしょう。

結果、いまよりも融資金利の「幅」は大きくなることから、銀行はますます、金利を武器にした融資セールスを展開しやすくなります。つまり、銀行によって融資金利の「差」が大きくなることから、「金利が低い銀行から借りたい」と考える社長も増えるからです。

そうして、社長が金利ばかりを気にして融資を受けていると、やはりギャップは大きくなります。いつまでたっても、「銀行は、自社の事業を理解してくれない」となってしまいます。

すると、長期的な支援や、いざというときの支援が受けにくくなることは前述したとおりです。長い目で見れば、会社にとっては不利益な状況だといってよいでしょう。事業は「継続」が前提であり、だとすれば「山あり谷あり」だからです。

いうまでもなく、銀行との関係性は「長期的・安定的」であることが望ましく、目先の金利でふりまわされるような「短期的・不安定」なものでは困ります。

世の中の金利上昇が予測されるいま、社長は融資金利に対する姿勢をあらためて確認するようにしましょう。では、その姿勢について、具体的にどのように考えればよいのか。

低金利はあえて捨てる

もし銀行が「低金利」を武器に、融資を勧めてくるのであれば、あえて低金利を捨てるのは1つの姿勢です。代わりに、別の融資条件を相談してみましょう。たとえば、「経営者保証は無し」とか。

最近では、急速に経営者保証無しの融資が広がっていますが、それでも、すべての銀行がすべての会社に対して、経営者保証無しの融資をしているわけではありません。

経営者保証無しで融資をするにも、銀行はリスクをともないますし、なにより手間がかかるのです。その手間こそが、「融資先の事業を理解する手間」だったりします。

そこで、経営者保証有りにする代わりに、金利を下げて融資をしようとするケースもあるでしょう。そのほうが手間がかからないし、ラクに融資残高を積み上げることができます。

また、手間だけではなく、融資先の事業を理解する「能力」も要しません。だから、その能力(=目利き)を持つ銀行員が少なくなった、ともいわれています。だとすれば、能力ある銀行員も育たず、悪循環です。

以上をふまえて、「低金利はあえて捨てる」ことが、社長がとるべき姿勢の1つだと考えます。

ちなみに、いまは銀行再編(提携・統合・合併)が進んでいます。すると、能力のない銀行(員)は淘汰されて、能力のある銀行が残る。よって、銀行の事業に対する理解は進む、というハナシがあります。

が、再編によって競争が減れば、残った銀行の「殿様商売」ということもあるだろう。とも、いわれるところです。結局は、金利で攻める銀行のまま…なのかもしれません。やはり、社長の姿勢が大切です。

保証付き融資も捨てる

民間金融機関の融資には、保証付き融資とプロパー融資とがあります。会社が返済できなければ信用保証協会が肩代わりをする保証付き融資は、銀行にとってリスクが小さい融資です。

ゆえに、保証付き融資の場合には、プロパー融資に比べると金利が低くなります。そこを武器にして、融資を勧めてくる銀行は少なくありません。

社長がプロパー融資を希望しても、「金利が高いので、保証付き融資のほうがお得ですよ」と、そんな具合です。「じゃあ、保証付き融資でもいいか」というのでは、ここまでの話が台無しになってしまいます。

社長は、「金利は高くていいから、プロパー融資を検討してほしい」といえるようになりましょう。でなければ、いつまでたっても、銀行の事業に対する理解は進まないからです。

保証付き融資はリスクが小さいのですから、わざわざ手間ひまかけて、融資先の事業を理解するのはメンドーでしかありません。すると、ますますプロパー融資は遠のきます。

プロパー融資には、事業の理解が欠かせませんから、どこかで覚悟を決めて、手間ひまかけてもらわねばなりません。そのきっかけが「金利」です。

社長が「金利は高くてもいい」といえば、銀行がプロパー融資に取り組む動機になりえます。

この点、経常運転資金を借りるのに、経営者保証あり、信用保証協会の保証付きは、「過剰保証」です。経常運転資金の借入であれば、売掛金や棚卸資産という返済原資の裏付けがあるのですから、本来、保証は必要ありません。

それでも銀行が保証を取るのであれば、やはり、事業に対する理解を避けているからです。ここでもまた、社長の「低金利は捨てる」姿勢が大切になります。

まとめ

金利上昇が予測されています。実際にそうなれば、金利で攻める銀行が増えるかもしれません。そのとき、社長はどのように立ち向かえばよいのか。社長の金利に対する姿勢についてお話ししました。

銀行と長期的・安定的な関係をつくれるように、金利に対する理解を深め、金利に対する姿勢を持つようにしましょう。

金利で攻める銀行に社長はどう立ち向かえばよいか?

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