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銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金とは?

銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金とは?

マイナス金利が解除となり、金利のある世界を迎えるにあたり、銀行は預金集めをはじめているところです。そこで、銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金についてお話をしてみます。

目次

ポンとあずければよいわけじゃない

会社の銀行融資について。預金をあずけると、その銀行から融資が受けやすくなる。というハナシは見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

とはいえ、ある日に突然、ポンと預金をあずければよい、というわけでもありません。同じ預金であっても、「銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金」があり、逆にそうではないものもあります。

マイナス金利が解除となり、金利のある世界を迎えるにあたり、銀行は預金集めをはじめているところです。たくさん預金を集めて、それを元手に融資を増やせれば、利ざやで稼ぐことができます。

だとすれば、会社は上手に預金をあずけることで、より融資を引き出すことも可能だとわかるでしょう。では、「銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金」とは?具体的には次のとおりです↓

銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金
  • 平残を増やす
  • 売上入金
  • 仕入・経費支払い

このあと、順番に解説をしていきます。

銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金

平残を増やす

一時点の残高を「末残」と呼ぶのに対して、一定期間の日々の残高の合計を、その期間の日数で割り算した残高を「平残」と呼びます。平均的な残高、みたいなことですね。

銀行は、末残よりも平残を重視する傾向があります。よって、ある日に突然、ポンと預金をあずけいれるのでは、末残は増えても平残はすぐには増えませんのでイマイチです。

ゆえに、平残が増えるようなあずけかたを銀行は好みます。この点、一番よいのは定期預金です。満期がくるまでは解約をしなければ引き出しができず、安定した平残を見込めます。

とはいえ、定期預金がよいのは銀行にとってであって、会社にとっては得策とはいえません。なぜなら、いざというときにも解約ができず、自由に使えないおカネになる可能性があるからです。

銀行にしてみれば、定期預金は担保のようなものですから、いちどあずかったら、そうカンタンには返したくはありません。なので、解約をしようとしても、あの手この手で引き止められることはあるのです。

それがイヤなら、融資を受けている・受けようとしている銀行に、定期預金をするのはやめておきましょう。では、どうやって平残を増やせばよいのか?

普通預金の残高を、一定金額以上にキープすることです。一時点だけあずけるのではなく、一定期間のあいだあずける、ということになります。では、どれくらいの金額をあずければよいのか?

1つの目安は、「借入残高シェア」です。借入残高シェアとは、借入金総額に占める、各銀行の残高の割合をいいます。たとえば、自社の借入金総額が5,000万円として、そのうちA銀行からの借入残高が3,000万円だとしたら、借入残高シェアは60%です(3,000万円÷5,000万円)。

このとき、預金がぜんぶで3,000万円ある場合、A銀行にあずける目安は「3,000万円×60%」で1,800万円になります。A銀行からすれば、少なくとも1,800万円はあずけてもらわないと、他の銀行に比べて不公平に感じるし、1,800万円よりも多くあずけてもらえれば嬉しいわけです。

以上をふまえて、借入残高シェアをもとに、各銀行の預金平残の調整を検討してみましょう。

売上入金

続いて、「売上入金」を伴う預金について。つまり、売上先から売上代金が入金されることによって、預金が増えるというケースです。

ではなぜ、これだと「銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金」になるのか?

1つは、前述した「平残を増やす」ことに繋がるからです。定期的に売上入金があれば、おのずと平残は増えるし、安定もします。

さらには、自行の口座に直接、売上入金があることで、その銀行は売上が実在することを確認することが可能です。いっぽうで、他行の口座に入金される売上は確認ができません。

売上なんて、決算書や試算表を見ればわかるじゃないか?と、おもわれるかもですが。銀行は、疑うことも仕事の1つです。決算書や試算表に書かれていることが「事実」とは限りません。

実際に、粉飾決算によって融資をだましとられることもあるわけです。この点、自行の口座に売上入金があれば、決算書や試算表の売上の「ウラをとる」ことができます。

銀行にとっては安心・安全に繋がりますから、融資をしやすくもなるのです。すると、自社の業績が悪いときでも、売上入金が安心材料となり、他の銀行(売上入金がない銀行)に比べれば、融資を前向きに考えてくれる、ということにも繋がります。

だとすれば、赤字のときなど業績が悪いときには、売上入金がある銀行に融資を申し込むのがよいとわかるでしょう。

にもかかわらず、融資を受けてもいない・受けるつもりもない銀行を、売上入金の口座にしているのはどうなのか?もったいないハナシだといえます。

売上先の手前、大きな銀行を入金口座に指定したい。との思いは理解できますが、その分、融資のチャンスを逃していることは理解しておいたほうがよいでしょう。

仕入・経費支払い

前述の「売上入金」に対して、「支払い」があります。仕入代金や各種経費の支払いです。いまどきは、銀行からの振込がほとんどでしょう。

この「仕入・経費支払い」も、銀行に対しては有効です。つまり、仕入・経費支払いの口座がある銀行からは融資が受けやすくなる、ということになります。

なぜなら、仕入・経費支払いをするためには、その分の預金が必要です。ゆえに、仕入・経費支払をする口座は、おのずと平残が高くなる傾向があります。銀行にとってはメリットです。

また、仕入・経費支払いをする(振込をする)にあたって、銀行は振込手数料という収入をえることができます。振込件数が多ければ、かなりの金額になることから、これまた銀行にとってはメリットです。

これらのメリットによって、会社は、仕入・経費支払いをしている銀行からは融資が受けやすくなります。自社の業績が悪く、本来であれば融資が受けにくいときでも、日ごろの手数料収入があると銀行もムゲにはできないものです。

というわけで、売上入金の口座は移すことができないとしても、仕入・経費支払いの口座を移すことができないかを検討してみるとよいでしょう。

売上先に対しては、社会的な信用上、大きな銀行を入金口座にする必要はあっても、仕入・経費支払いの口座に関しては、そのような必要(支払先を気にする必要)はないはずです。

まとめ

マイナス金利が解除となり、金利のある世界を迎えるにあたり、銀行は預金集めをはじめているところです。そこで、銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金についてお話をしてみました。

同じ預金をあずけるのであれば、より融資を引き出すことができるよう、より有利な条件で融資が受けられるよう、銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金をしましょう。

銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金
  • 平残を増やす
  • 売上入金
  • 仕入・経費支払い
銀行が喜ぶ預金・融資に繋がる預金とは?

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