銀行が『試算表をください』と言うときに考えている3つのこと

銀行融資と試算表

試算表を見せてもらえますか?

と、銀行に言われたら。めんどくさいなぁ、見せたくないなぁ、なんて思ってはいませんか。

たしかにメンドーではありますが。銀行はなぜ試算表を欲しがるのか、何を考えているのかは押さえておきましょう。というお話です。

目次

銀行が「試算表をください」と言うときに考えている3つのこと

あらたに融資を受けようとするとき。銀行から、「(決算書に加えて)試算表も見せてください」と言われることがあります。

もちろん、銀行は意図があって試算表を要求しています。考えていることがあって、試算表を欲しがっています。

では、いったい何を考えているのか? それは大きく分けて、次の3つです。

  1. いまはどうなっているんだ?
  2. なんかおかしい、なんかあやしい・・・
  3. きちんとした会社なのかな?

それでは、順番に確認していきましょう。

 

《銀行の考え①》いまはどうなっているんだ?

試算表について銀行が考えていること、その1。

融資対象先の会社は、いまはどうなっているんだろう? つまり、最新の現状を確認をしたいと考えています。

銀行:決算書の「その後」が知りたい

銀行に提示する書類のひとつに決算書があります。会社の1年間の財務状況をまとめた書類が決算書。

「これがあればいいじゃん」と言いたいところですが。銀行にとってはまだ足りない。まだ不足。

決算書からは「決算日」までのことしかわからないのであり。決算日からきょうまでの間はどうなってるの? を銀行は気にしています。

もし、決算書が赤字であったのであれば。赤字は縮小したかな? 黒字になったかな? だったら、前向きに考えてみようかな。

逆に、決算書が黒字であったのであれば。引き続き好調かな? まさか、赤字になってないよね? それじゃあ、貸すのはアブナイかもな。

などなど。決算書は決算書で重視しながらも、「足元」の状況がどうなっているかも同様に重視をしているわけです。

会社:弁明し、アピールせよ

銀行が、決算書のその後を知りたいと言うのなら。会社はそれに応じましょう。

応じると言っても、ただただ試算表をお見せすればよい、というのでは不十分です。

もし、決算後が赤字なのであれば。その理由をきちんと把握し、説明することです。加えて、対策と今後の展望についても触れることです。

もっと言えば。それらは口頭で済ませるのではなく、要点を文書にまとめて、試算表に添付するのがベストです。

目の前の担当者に伝えたとしても、その上司、融資審査の係、支店長などの決裁者までうまく伝わるかはわかりませんからね。

銀行には「文書・書類」をとても大事にする文化があります。的を射た文書であれば、きっと決裁者にまで回り、判断材料になるはずです。

赤字の弁明をしているようで言い訳がましいなぁ、と思うかもしれませんが。放っておけば、赤字はマイナスの評価をされるばかり。きちんと弁明し、アピールしましょう。

決算後が黒字であっても同じです。更なる改善、もっと良くなるという展望についてはアピールする。せっかくの弁明・アピールチャンスを逃さないように。

 

《銀行の考え②》なんかおかしい、なんかあやしい・・・

試算表について銀行が考えていること、その2。

なんかおかしい、なんかあやしいぞ・・・ つまり、融資対象先の「なにか」を疑っている場合。試算表でその真相を探ろうと考えています。

銀行:真相を知りたい

銀行には決算書を提示する、と先ほどお話をしました。

ほかに、よく提示を求められる書類として、「資金繰り表」や「銀行借入一覧表」などがあります。

このような書類の内容に疑義があると銀行が考えた場合。それは「試算表を見てみようかね」という動機になりえます。

疑義とはなにか、というと。たとえば、決算書に粉飾決算の疑いがある、とか。資金繰り表や銀行借入一覧表がなんかウソっぽい、とか。

それらの疑義の真相を確かめる手段として、試算表を要求するわけです。

当然ですが、銀行は直接的に「疑義があるんで」とは言いません。失礼すぎますからね。さすがに言わないでしょう。

会社:ヘタに隠すより、いっそ正直に

このケースでの会社側の対応としては。銀行から疑われるような心当たりがあるかどうか、です。

「ない」のであれば、堂々と試算表提示に応じればいいだけですが。問題は、心当たりが「ある」場合。

対応は2つに1つ。隠すか、正直に話すか。

そりゃぁ、隠せるのなら隠した方がいいよ。なんてことは、立場上ここで言えないことをご理解いただきたいところではありますが。

そんな立場をさておいても、正直に話すことを強くおすすめします。隠してバレたときのデメリットのほうが大きすぎるからです。

言うまでもなく、隠してバレたときの信頼度低下はハンパではすみません。履歴として残り、この先ずっと、その銀行からの融資は難しくなるかもしれません。

いっぽうで自ら正直に話すのであれば。粉飾などのマズい状況を解消できれば、その後は融資を検討してもらえるかもしれません。どちらをとりますか?

 

《銀行の考え③》きちんとした会社なのかな?

試算表について銀行が考えていること、その3。

きちんとした会社なのかな? ということを、試算表をすぐに出せるかどうかでチェックしよう。とも、銀行は考えています。

銀行:数値管理の重要性はわかってる?

一般に、「きちんとした会社」では、試算表を毎月作成します。それもタイムリーに作成します。理想を言えば、毎月明け3営業日以内。

いきなりそこまでは難しいにしても。そもそも試算表は作っていない(決算書だけ)とか、3か月遅れで作ってます、なんていうのは論外と言えます。

なにが論外って、きちんとした会社だとは見られないということです。ダメな会社のレッテルを貼られてしまいます。

経営者が数値管理の重要性をわかっていない、社内に数値管理をする機能がない。税理士にも頼めないほどおカネが無いなど、勘ぐられることになります。

これは非常によろしくありません。イメージが悪いです。前月分の試算表を、当月15日くらいまでには仕上げるような体制をとりましょう。

といっても。銀行のためではありません、会社自身のためにです。数値管理の重要性を理解できない会社は、事実、おカネで苦しみます。

会社:言われるより前に見せるくらいの勢いで

極論で言えば。試算表は、銀行に言われるより前に見せることです。それが理想。

融資審査の際、決算日から数か月程度経過している場合。銀行は「足元」の状況が気になるものです。試算表を見たいのです。

そんなとき、決算書などの書類といっしょに、当然のごとく試算表も添付すると。なんて、きちんとした会社なんだろう! と、銀行は感じることでしょう。ほんとうに。

言われなくても自主的に見せるくらいですから、心理的に疑義が生じる余地も小さくなります。

ほとんどの会社は言われなければ見せない。場合によっては、言われても出せないのですから。試算表だけで、自社の評価を高めることができるはずです。

ちなみに。融資実行後も、定期的に試算表を提示する機会をつくることがベストです。

1年に1回、決算の情報しかない会社と。定期的に情報を取れる会社と。どちらが銀行にとって安心かと言えば、当然後者です。

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まとめ

銀行が「試算表をください」と言うときに考えている3つのことについてお話をしてきました。

銀行が考えていることに対して、会社はどうすべきか、どうあるべきかも併せて押さえておきましょう。

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