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収入と所得の違い『もうかると税金が高い』を説明できる?【フリーランスの税金講座】

収入と所得の違い

” 収入と所得の違い、ってなに? ”

多くのフリーランスがいちどは抱く疑問のひとつです。というわけで、収入と所得の違いについてお話をします。

目次

税金の世界の基本事項「収入と所得のちがい」

フリーランスになったら、避けては通れない「税金」のハナシ。

その税金について、よくある質問に「収入と所得の違いってなに?」というものがあります。

「収入」と「所得」は、いずれも税金の世界の用語であり。フリーランスになったばかりなど、税金になじみのない人にはよくわからないのも当然です。

にもかかわらず。なんの説明もなしにしばしば登場する「やれ収入だ、やれ所得だ」という言葉・表現が混乱を招いているわけです。

そこで、収入と所得の違いについて、お話をしていきます。

収入と所得は、似ているようですがまったくの別モノ。使い分けが必要です。税金の世界の基本事項として押さえておきましょう。

 

あなたとわたし、どっちの税金が高いでしょう?

突然ですが。

「リンゴを仕入れてそれを売る」という仕事をしている「あなた」と「わたし」がいるとします。

この2人の仕事の状況は、次のとおりです ↓

  • あなた ・・・ 売上 100、仕入 50、経費 30
  • わたし ・・・ 売上 100、仕入 60、経費 40

つまり。あなたは、50で仕入れたリンゴを 100で売る。売るにあたっては、お店の家賃だなんだと経費 30を支払っている。

いっぽうのわたしは、60で仕入れたリンゴを 100で売る。お店の家賃だなんだと経費 40を支払っている。

では質問。あなたとわたし、どっちが「もうかっている」でしょうか?

「もうかっている」とはどういうことか

あなたとわたし、どっちが「もうかっている」か問題について。

2人とも売上が 100なのだから同じなのではないか? という見方があります。

たしかに。この売上が「年間の売上」だとすれば、2人はともに「年商 100」と表現されるところです。同じようにもうかっている、と言えなくもありません。

これに対してもうひとつ。「利益」という考え方があります。算式にすると「利益 = 売上 − 仕入 − 経費」です。

売上が同じだとしても。その売上を得るためにかかった仕入や経費が違えば、手元に残るおカネ(利益)も違うよね。という視点です。

そこで、あなたとわたしの「利益」を計算してみましょう ↓

  • あなたの利益 ・・・ 売上 100 − 仕入 50 − 経費 30 = 利益 20
  • わたしの利益 ・・・ 売上 100 − 仕入 60 − 経費 40 = 利益   0

上記のとおり、あなたの利益は 20、わたしの利益は 0。同じ売上 100ではありましたが、利益でみるとこれだけの差があります。

したがって、もうかっているかどうかを「利益」で見るのであれば、あなたとわたしは同じではない。もうかっているのはあなたのほうだ、と言えそうです。

もうかっている人からは税金を

「もうかっている」かどうかについては、「売上」と「利益」という2つの見方がありました。

ではここで税務署の登場です。税務署が、もうかっている人から税金を取ろう、と考えた場合。「売上」と「利益」のどちらを見て、税金を取ればよいでしょうか。

結論を先に言うと、「利益」です。利益が大きい人ほどもうかっている、と見て税金も大きくなります。

これを確認するために、あなたとわたしの利益を再掲します ↓

  • あなたの利益 ・・・ 売上 100 − 仕入 50 − 経費 30 = 利益 20
  • わたしの利益 ・・・ 売上 100 − 仕入 60 − 経費 40 = 利益   0

上記について。「売上」が同じなのだから、2人から同じだけの税金をとろう、と考えると。

あなたは、手元にある利益から税金を支払うことができます。けれども、わたしは手元の利益ゼロ。税金を支払うだけのチカラがありません。

ですから、もうかっている人から税金を取るのであれば、「売上」ではなく「利益」を見る。利益の大きい人から、より多くの税金を取る。

「税金の世界」ではそのように考えられているのです。

 

「収入と所得の違い」について

ようやく「税金の世界」に行き着いたところで。本題の「収入と所得の違い」についてお話をしていきます。

税金の世界、などと言うと身構えてしまうかもしれませんが。心配には及びません。これまでの話でほぼほぼカタはついています。

収入=売上、所得=利益

フリーランスをしばしば混乱させる、収入と所得の違い。

それを、これまでの話と結びつけてみるとこうなります ↓

“収入と所得の違い”
  • 収入 = 売上
  • 所得 = 利益

こうしてみると、なんのことはない。わりとシンプルなお話だった、ということがわかります。

あなたとわたしの例で言えば。2人とも売上 100でしたから、あなたもわたしも「収入 100」で同じです。

いっぽうで利益は、あなたが 20で、わたしがゼロ。ですから、あなたの「所得 20」、わたしの「所得 0」です。

「もうかると税金が高い」=「所得が高いと税金が高い」

収入と所得の違いに付随して、さいごにもうすこし。

「もうかると税金が高い」なんてハナシを耳にすることがあるでしょう。では、ここで言う「もうかると」とは、なにを意味しているのでしょうか?

わかりますよね。「所得が高いと」ということを意味しています。

前述をしたとおり、税金の対象は「収入(売上)」ではなく「所得(利益)」です。所得が高いほど、税金が高くなります。

つまり、世の中で言う「もうかると税金が高い」とは、正確には「所得が高いと税金が高い」ということを表しているわけです。

テレビなどではよく「年商 〇億円!もうかってますね〜」なんていう表現が使われますが。それは収入のハナシであって、所得のハナシではありません。

税金の世界で言う「もうかっている」とは、年商(収入)ではなく、利益(所得)が基準です。

極端を言えば、年商 〇億円でも利益はゼロかもしれません。税金の世界では、これを「もうかっている」とは言いません。

「もうかっている」にもいろいろあるのだなぁ、というのが税金の世界を通じてわかることです。

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まとめ

収入と所得の違いについてお話をしてきました。

税金についての話のなかには、「収入」「所得」という言葉がしばしば登場します。似て非なるものとして押さえておきましょう。

これをごっちゃにしてしまうと、思わぬ間違いをしてしまう原因になります。収入は売上、所得は利益です。

収入と所得の違い

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