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こんなはずじゃなかった…創業計画と現実が異なるケースとその対策

こんなはずじゃなかった創業計画のケースと対策

” こんなはずじゃなかった… ”

 実際はじめてみたら、思っていたのとだいぶ違う。というのも困るもの。そこで、創業計画と現実が異なるケースとその対策についてお話をします。

目次

創業計画にはツキモノの「こんなはずじゃなかった…」

創業時の計画、いわゆる「創業計画」について、次のような言葉を聞くことがあります ↓

「こんなはずじゃなかった」

つまり、創業計画と現実とが異なっている、という話です。

計画ですから、現実と異なることはあるにせよ。創業計画は現実と異なる「度合い」がひときわ大きい、という点には特徴があります。

たとえば。長いあいだ事業を続けている会社が、来年の計画を立てるのであれば、「実績」をもとに予測が立つでしょう。よって、計画には一定の精度が期待できます。

いっぽうで、創業となれば「実績」もなく、ゼロから立てる計画は予測が立ちにくいことでしょう。よって、計画の精度は心もとないものがあります。

このようなことから、創業計画は現実と異なる可能性が高く、「こんなはずじゃなかった」というのはツキモノなのです。

そこで、少しでも「こんなはずじゃなかった」を減らせるように。創業計画と現実が異なるケースとその対策について、お話をしていきます。ケースは次の3つです ↓

創業計画と現実が異なる3つのケース
  • 売上が少なすぎる…
  • 経費が大きすぎた・・・
  • 取引条件が悪かった…

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

創業計画と現実が異なる3つのケースとその対策

売上が少なすぎる…

創業計画書に記載した売上高に比べて、実際の売上高が少なすぎる。こんなはずじゃなかった… というのは、とても多いパターンです。

売上が計画よりも少なければ、当然、利益も少なくなります。その分、おカネは早く減っていきます。結果、事業の継続が難しくなる。最悪、つぶれてしまいます。

このような事態を避けるための対策。それは、創業計画書の売上高を「いくら売ればいいのか?」で考えることです。

具体的には、次のように考えます ↓

「いくら売ればよいのか?」の求め方

いくら売ればよいのか? =(原価以外の費用 + 銀行への返済額)÷(1ー原価率)

※ 個人事業者の場合、原価以外の費用に「生活費」を含みます

原価以外の費用(いわゆる固定費)・銀行への返済額(元金部分)・原価率(いわゆる変動費率)という「費用・支払」の要素を積み上げて、それらをまかなえるだけの売上高を逆算で求める算式です。

これに対して、「いくら売れるか? いくら売りたいか?」というように、売上ありきで考えてしまうと。えてして、計画売上高は大きくなりすぎてしまいます(つられて計画費用も大きくなります)。

創業者は腕に自信があり、夢にあふれているものですから、どうしても計画を大きく描きがちなのです。

大きく描くこと自体、決して悪いことではありませんが、それはあくまで「努力目標」と位置付けておくのがよいでしょう。

それとは別に、ぜったいに達成すべき「必達目標」として、「いくら売ればいいのか?」という金額を計画売上高に位置付ける。これが、計画倒れを避けるコツです。

経費が大きすぎた・・・

創業計画書のとおりに経費を使ってきたのに、経費が大きすぎた… というケースがあります。

これは、実際の売上高が計画を下回っているときに起こります。

つまり、売上高は計画未達なのに、経費は計画どおりなら、利益は計画未達になる。結果として、経費が大きすぎた… ということになります。

このような事態を避けるための対策。それは、売上高の状況を見ながら経費をコントロールすることです。

売上高が創業計画書のとおりであれば、経費も計画どおりでよいでしょう。けれども、売上高が計画を下回るのであれば、経費の見直しをする。

と、しごく当然のことではありますが。実際には、経費「は」計画どおりに使ってしまいがちです。計画を守ろうという思いの強さなのかどうなのか…

ですから、つとめて意識的に注意をしましょう、ということです。

前述したとおり、創業者は売上計画を大きく描きがちです。また、創業後しばらくは、売上が伸びない時期が想像以上に続くものです。これらは、多くの創業者が経験をしているところです。

売上は、創業計画を下回りがちであること。ゆえに、経費の使い方が計画どおりは危険であること。セットで押さえておきましょう。

取引条件が悪かった…

創業計画では「取引条件」を加味しています。取引条件とは、売上や仕入などにおける「末締め・翌月末入金」といった条件のこと。

創業時における資金繰り計画は、この取引条件を想定したところでつくられています。

では、たとえば。売上について「末締め・翌月末入金」を想定していたが、実際には「末締め・翌々月末入金」ばかりだ、という場合。

想定よりも入金が1ヶ月も遅れるわけですから、当然に資金繰りはきびしくなります。思ったよりも取引条件が悪かった… と困惑するケースです。

このような事態を避けるための対策。それは、忘れずに取引条件の交渉をすることです。

創業時は、お客さまを増やしたいという状況にあるためか、取引条件は「お客さま任せ」にしがちです。こちらの希望条件を提示せずに、「相手の条件をただ受け入れている」ことが少なくありません。

しかし、実際には、交渉の余地はじゅうぶんにあるものです。こちらが言わないから相手も言わないだけであって、「交渉をしたら思いのほかスンナリ通った」という話はよく聞きます。

ですから、まずはこちらの希望条件を提示すること。希望がとおらないようであれば、妥協点を交渉してみましょう。

これは売上に限らず、仕入・経費などの支払いについても同じです。創業期ゆえに相手からの信用度が低い状況ですから、交渉が難しい面はありますが。できる限りのことはやりましょう。

とにかく、ダメ元でも言ってみることです。繰り返しになりますが、言わなければはじまらないし、「言ったら通った」という話はほんとうに多いのです。

なお、創業計画で取引条件の見積もりを甘くしすぎないことにも気をつけましょう。現実に近い取引条件を検討し、それに必要な運転資金の創業融資を受けておくことができれば資金繰りは安心です。

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まとめ

創業計画と現実が異なるケースとその対策についてお話をしてきました。

3つのケースとその対策を押さえて、「こんなはずじゃなかった」と言うことなく、創業期を乗り越えていきましょう。

創業計画と現実が異なる3つのケース
  • 売上が少なすぎる…
  • 経費が大きすぎた・・・
  • 取引条件が悪かった…
こんなはずじゃなかった創業計画のケースと対策

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