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融資を受けられない社長が『銀行との会話に足りない』3つの要素

銀行との会話で足りない要素

 銀行から融資を受けるにあたり、避けては通れない面談。銀行員との会話が必要です。

そこで気をつけるべきこととして。融資を受けられない社長・個人事業者に共通する「銀行との会話に足りない」3つの要素についてお話をしていきます。

目次

避けられぬ会話、外せぬ要素。

会社・事業における銀行融資について。

融資を受けるにあたり、社長・個人事業者が銀行(員)との会話を要する場面があります。いわゆる「面談」です。

銀行からおカネを借りるためには、社長・個人事業者は面談を避けて通ることはできません。

この点で。わたしは銀行融資の支援・コンサルティングの仕事として、面談への同席を依頼されたり、面談前のご相談をいただいています。

そのような経験をふまえて、融資を受けられない(あるいは受けにくい)社長・個人事業者に共通する、「銀行との会話にコレが足りないなぁ」と感じる要素が3つ挙げられます。

言い換えると、銀行と会話をするときに外してはいけない3つの要素。それがこちらです ↓

融資を受けられない社長が「銀行との会話に足りない」3つの要素
  1. 数字
  2. 改善策
  3. 前向き

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

融資を受けられない社長が「銀行との会話に足りない」3つの要素

《要素①》数字

融資を受けられない(あるいは受けにくい)社長・個人事業者の会話には、「数字」が足りません。

代わりに「感覚」での会話が多いことに特徴があります。たとえば、次の2人の社長の会話を比較してみましょう ↓

どっちの社長を信用できる?
  • 感覚で会話するA社長「先月はすごく良かった」
  • 数字で会話するB社長「先月は売上 2,000万円、利益が 300万円で好調でした」

あなただったら、どちらの社長のハナシを信用しますか? ということです。

とくに説明を要するまでもなく、具体的な数字を使って会話をするB社長のほうでしょう。会社の規模感(売上 2,000万円)、収益力(利益 300万円)がはっきりわかります。

いっぽうで。A社長の「すごく良かった」の会話からでは、「良さ」のほどがわかりません。そもそも、ほんとうに良かったのかなぁ…? という疑いもあります。

ゆえに、A社長よりもB社長のほうを信用するはずです。ましてや、おカネを貸すか貸さないかをシビアに検討している銀行であれば、まちがいなくB社長のほうを信用します。

ところが。「今月はすごく良かった」「来月はもっと良くなる」など、数字ではなく感覚を多用して会話をされる社長・個人事業者は少なくありません。

それはなぜなのか? 感覚で会話をしてしまう原因は大きく2つです ↓

数字ではなく感覚で会話をしてしまう原因
  • 数字を用意していない
  • 数字の見方がわからない

そもそも、数字を用意していない。具体的には、日ごろ「試算表」をつくっていない、という原因がひとつめです。

たとえば、数字を見るのは年に1回、決算のときだけ。このような環境だと、「先月」の数字を語ることができません。数字を語れない以上、感覚に頼るしかなくなります。

加えて、未来(来月や来期など)を語るのであれば、利益計画書や予測資金繰り表も必要です。試算表よりも難易度は上がりますが、その分、用意できれば銀行からの信用が上がります。

また、数字は用意できても、その数字の見方がわからない。これが2つめの原因です。

「見方」と言うのは、試算表・決算書そのものの見方、というのはもちろんですが。もうひとつ、銀行にはどの数字の話をすればよいのか、銀行に話をすべき数字の見方がわからない、ということもあるでしょう。

以上、2つの原因について。まずは、試算表をきちんとつくるということが大前提。次いで、銀行の数字の見方も、少しずつ押さえておくようにしましょう。

CHECK! 「銀行員特有の見方・考え方」の記事まとめ

《要素②》改善策

会社・事業をしていれば、良いときもあれば悪いときもあるのが普通です。

でも、だからと言って「悪いものはしかたない」という姿勢では、銀行も不安で融資をすることができません。

もちろん。悪いものはしかたないと「思っているだけ」の社長・個人事業者などいないでしょう。なんとか良くしようと、あれこれ思案して、行動をしているはずです。

つまり、会社・事業が悪いときには、なにかしらの改善策を持っているはずなのです。

にもかかわらず。その改善策について、銀行とのあいだでは語られず… ということが少なくありません。

おそらく、社長・個人事業者の側には、「悪いものに触れたくない・触れられたくない」との思いがあるからでしょう。

けれどもそれを、悪いものはしかたないと「放置している」と銀行に見られてしまえば、融資が受けられなくなるのはさきほども言ったとおりです。

それこそ、長く会社・事業をしていれば、良いときもあれば悪いときもあります。悪いときがあるのは銀行だって知っています。

銀行が知りたいのは、その悪いときに「会社・社長がどうするか? どうしようとしているか?」です。

あれこれ思案していること、行動をしていることはあるのですから、それを「改善策」として銀行に話をするようにしましょう。

その際、改善策を文書にして渡すのがおすすめです。文書と言っても、A4用紙1枚くらいのボリュームに、箇条書きの書き方でじゅうぶんです。

融資の審査をするのは目の前の銀行員だけではありません。銀行は稟議制ですから、上司・融資係長・支店長などにも「改善策」が伝わるよう、文書にすることが大切です。

【参考】良いときには改善策がない、なんてことはない

会社・事業が良いときには「改善策」など必要ない。ということはありません。極論として、どんなに良いときにでも「課題」や「問題」がゼロではないからです。

したがって、「ウチは良い、良い」とだけ言っているような社長・個人事業者は、銀行から「リスク管理が甘い」との評価をされかねません。さらに良くなるための「改善策」を示しましょう。

《要素③》前向き

銀行が融資をするのは、貸したおカネを返してくれる・返してくれそうな相手だけです。この点で、銀行は「前向き」を好み、「後ろ向き」を嫌います。

たとえば、いま現在、業績が振るわないとして。社長・個人事業者が「いまは悪い。このあともいつ良くなることやら…」という後ろ向きでは、融資を受けることが困難です。

逆に、「いまは悪い。でも、良くなるし良くする!」という前向きであれば。いまは悪くとも、融資を検討する余地が生まれます。

この点で。《要素②》で話をした「改善策」をきちんと伝えることも、前向きをあらわすカタチのひとつです。

そのようなカタチあるものとは別に。社長・個人事業者の「姿勢・心持ち」としての前向きさも、銀行との会話には重要であることを覚えておきましょう。

繰り返しになりますが。「いつ良くなることやら…」という後ろ向きな姿勢・心持ちの会社・事業に対して、銀行はおカネを貸そうとは考えないからですね。

もちろん、過度の楽観と見られるようではいけませんが(だからこそ具体的な数字や改善策が必要)、少なくとも後ろ向きな言葉は吐かないようにすることです。

なお、「後ろ向き」に関連することとして。「他責」の言葉もよくありません。

たとえば、景気が悪いとか、業界自体が良くないとか、政治が悪い、とか。他者や環境のせいにする、というのは「後ろ向き」の一種です。

景気が悪くても業績が良い会社はあるし、業界全体としては悪いなかでも業績が良い会社は必ずあります。

であるならば。原因は、他者や環境といった「外部」にだけあるののではなく、自社・じぶんという「内部」にもあるわけです。

みずからではコントロールできない外部について愚痴るのはほどほどにして。みずからコントロールできる内部をいかにコントロールするか。銀行には前向きな会話をしましょう。

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まとめ

融資を受けられない社長が「銀行との会話に足りない」3つの要素、についてお話をしてきました。

銀行からおカネを借りるためには、社長・個人事業者は、銀行との会話(面談)を避けて通ることはできません。

その際に、外してはいけない要素として、押さえておくようにしましょう。

融資を受けられない社長が「銀行との会話に足りない」3つの要素
  1. 数字
  2. 改善策
  3. 前向き
銀行との会話で足りない要素

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