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自社のメインバンクは誰がどう決めるのか?

自社のメインバンクは誰がどう決めるのか?

社長であれば、「自社のメインバンクは〇〇銀行です」などとクチにすることはあるものですが。そもそも、自社のメインバンクは誰がどう決めるのか? について、お話をしていきます。

目次

自社のメインバンクを勘違いしている社長

会社の銀行取引について、「メインバンク」という考え方があります。社長であれば、「自社のメインバンクは〇〇銀行です」などとクチにする場面もあるでしょう。

ところで、そのメインバンクとは誰が決めるものなのか? そもそも、メインバンクの定義とは? だとすれば、自社にとってのメインバンクはどのように決まるものなのか…?

これがわからずにいると、社長が「自社のメインバンクを勘違いしている」ということも起こりえます。つまり、銀行のほうは「自行がメインバンクなどとは考えていない」というミスマッチです。

そんなことにならないように、本記事では「自社のメインバンクは誰がどう決めるのか?」についてお話をしていきます。それではさっそく、確認していきましょう。

自社のメインバンクは誰がどう決めるのか?

決めるのは銀行

自社にとってのメインバンクを決めるのは誰なのか? しいて言うのであれば、銀行です。少し言い方を変えるのだとすれば、会社の一存でメインバンクを決めることはできない、ということになります。

ときおり、社長が一方的に「自社のメインバンクは〇〇銀行です」とクチにしているケースはあるわけですが、〇〇銀行のほうは「ウチがメインバンクだとは考えてないけど」なんてことがあるので気をつけなければいけません。

そういう意味では、メインバンクかどうかをさいごに決めるのは銀行なのです。

とはいえ、会社側の意思表示は大切ですし、それ以前に、メインバンクにしたい銀行を選ぶ必要もあります。というわけで、まずは、メインバンクにしたい銀行と取引をはじめることです。

中小企業であれば、基本的には「信用金庫」あるいは「地方銀行」になります。都市銀行は、大企業向けの銀行であり、融資を含めた支援について「親身」を望むことはできません。

なので、同じ融資を受けるなら都市銀行ではなく、中長期的に安定した支援を望める信用金庫または地方銀行を選ぶのがよいでしょう。

そうして、選んだ銀行と取引(融資を受ける)をはじめたら、会社は「すべきこと」をしたうえで、その銀行に対して「自社は御行をメインバンクと考えています」と伝えることになります。

これにより、銀行側にも認識をしてもらう、自覚をもってらうわけです。ちなみに「すべきこと」ってなんだ? という話はこのあとしていきます。

融資残高が一番

さきほど、会社は「すべきこと」をしたうえで、銀行に「御行がメインバンク」だと伝えましょう、という話をしました。すべきことの1つめが、「融資残高が一番」です。

つまり、メインバンクとする銀行の融資残高が、ほかの取引銀行の融資残高と比べて一番多い、ということになります。借入金一覧表をつくって、確認してみましょう。

銀行にとって、融資は商品ですから、融資残高が多いということは「お得意さま」を意味します。すると、会社の業績が悪いときでも、親身な対応が求められるわけです。

この点で、メインバンクと呼べる銀行がないと、会社は厳しいことになります。業績が悪化して、資金繰りが悪いときに、どの銀行からも融資が受けられない… みたいな。

そのようなことを避けるために、会社はメインバンクを持つ必要があります。融資を受けるときには、各取引銀行の融資残高を意識して、メリハリをつけるということです。

メリハリがなく、どの銀行も似たりよったりの融資残高になると、どの銀行からも「自行がメインバンク」だとは見てもらえなくなってしまいます。

なお、融資残高が一番といっても、保証付き融資ばかり、担保付き融資ばかりの場合には注意が必要です。保証や担保があるということは、銀行はリスクを負っていないということでもあります。

いっぽうで、融資残高が一番ではないけれど、プロパー融資(保証付きでない融資)や、無担保の融資もしてくれる銀行があったとしたらどうでしょう。リスクを負って融資をしてくれる銀行だ、ということです。

だとしたら、いざというとき(自社の業績悪化時など)にもリスクを負って、親身に対応してくれるのは、プロパー融資や無担保融資をしてくれる銀行だと言えるでしょう。

なので、単純に融資残高の「金額」だけを見るのではなく、「中身」まで確認することが大切です。

加えて、預金残高も一番

みたび、会社は「すべきこと」をしたうえで、銀行に「御行がメインバンク」だと伝えましょう、という話について。すべきこととして、「預金残高も一番」も挙げられます。

融資をしている銀行にとって、預金は「担保」のようなものです。預金があれば、そこから返済をしてもらえますから、預金があるほど「安心・安全」だと考えられます。

この点で、融資残高が多い銀行ほど、より多くの預金残高がほしいと考えるのは当然でしょう。自行の融資残高が一番多いのに、預金残高は他行よりもだいぶ少ない… となれば、その銀行は「不公平だ」と考えます。

結果、融資残高が一番でも、メインバンクとは見てもらないことはあるわけです。よって、融資残高とあわせて、預金残高についても、各銀行ごとに確認をするようにしましょう。

端的に言えば、融資残高の割合にあわせて、預金残高の割合を調整する、ということです。

ただし、預金の「残高」だけを調整すればよいかというと、そうでもありません。「取引内容」もまた、調整の対象になります。では、取引内容とは?

売上入金や、仕入代金・給与など経費の支払い、といった取引です。そういった取引が多いほど、銀行には「手数料収入」が発生します。

将来の回収不能に備えて、手数料収入で先に回収しているとも言えますから、融資をしている銀行にとっては、これも安心材料です。

ところが、預金残高がただ多いだけで、取引は全然ないとなるとそうはいきません。なので、メインバンクの口座内での取引を増やす(他行の口座から取引を移す)ことも大切になります。

以上の「すべきこと」をしたうえで、「御行がメインバンク」だと銀行に伝えるようにしましょう。

まとめ

社長であれば、「自社のメインバンクは〇〇銀行です」などとクチにすることはあるものですが。そもそも、自社のメインバンクは誰がどう決めるのか? について、お話をしました。

社長が「自社のメインバンクを勘違いしている」ということはあるものです。すると、資金調達・資金繰りに悪影響が生じてしまいます。本記事の内容を押さえて、勘違いのないようにしましょう。

自社のメインバンクは誰がどう決めるのか?
  • 決めるのは銀行
  • 融資残高が一番
  • 加えて、預金残高も一番
自社のメインバンクは誰がどう決めるのか?

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