フリーランスだってひとりじゃない!家族に給料を出そう【専従者給与】

専従者給与

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フリーランスって、人を雇わないんでしょ?

そうですねぇ。基本的に「他人」は雇いませんが、給料を支払うことはあります。

仕事を手伝ってくれる奥さんや旦那さんなどへの給与、「専従者給与」です。

家族に何も手伝ってもらっていない、なんてことある?

一般に「フリーランス」というと、「イコール 独り身」のイメージがつよいものであり。基本的には、他人を雇いません。

しかしながら、奥さんや旦那さんなど同居する家族がいる場合。何かしら手伝ってもらっている、というケースは少なくないようです。

わたし自身もフリーランスを名乗っていますが、やはり妻の手を借りていることはあります。たとえば、

  • 郵便物の準備・発送
  • 経理書類の整理
  • 消耗品や贈答品などの買い物
  • 各銀行の通帳記帳
  • 各種書類の誤字脱字チェック
  • ブログ記事の内容確認 など

そう言われると手伝ってもらっていることもあるなぁ、と思い当たることもあるのではないでしょうか?

ところが、思い当たるにもかかわらず。特に「お給料」は支給していない、ということもまた少なくないようです。

これがもし他人だったら、お給料を支払いますよね。

家族だから別にいいんだ、ということかもしれませんが。給料を支払い経費にできれば、税金が少なくなることも考えられます。

というわけで。家族に給料を支給する効果と注意点について、このあとお話をしていきます。

 

フリーランスが家族に給料を支給することの効果

家族に給料を支給することで得られる、税金面での効果についてみていきます。

給料を支給しない場合

はじめに「前提条件」を。

《前提条件》

  • フリーランスA氏の課税所得(「税金が課税される利益」のようなもの)は400万円
  • 上記課税所得は「配偶者控除」の控除前の金額とする
  • A氏の奥さんが仕事を手伝っているが、給料は支給していない。奥さんはほかに仕事はしていない

この前提条件で、A氏の各種税金を計算してみることにします。

なんじゃこの計算式は? というカンジかもしれませんが、計算の雰囲気と計算結果の税額くらいを眺めて先に進んでください ↓

《税金計算》

  • 所得税 ・・・(400万円 - 配偶者控除 38万円)× 税率 = 約 30万円
  • 住民税 ・・・(400万円 - 配偶者控除 33万円)× 税率 = 約 37万円
  • 事業税 ・・・(400万円 - 事業主控除 290万円)× 税率 = 約 6万円

よって、A氏の税金合計は「30万円+37万円+6万円=73万円」です。

給料を支給する場合

前提条件をひとつだけイジります。下記、《前提条件》の「青太字」の部分。A氏の奥さんに給料を支給します ↓

《前提条件》

  • フリーランスA氏の課税所得(「税金が課税される利益」のようなもの)は400万円
  • 上記課税所得は「給料」の控除前の金額とする
  • A氏の奥さんが仕事を手伝っているため、月額8万円(年間96万円)の給料を支給している。奥さんはほかに仕事はしていない

この前提条件で、ふたたびA氏の各種税金を計算してみることにします。ここもサラッと眺めていきましょう ↓

《税金計算》

  • 所得税 ・・・(400万円 - 給料 96万円)× 税率 = 約 21万円
  • 住民税 ・・・(400万円 - 給料 96万円)× 税率 = 約 31万円
  • 事業税 ・・・(400万円 - 給料 96万円 - 事業主控除 290万円)× 税率 = 約 1万円

よって、A氏の税金合計は「21万円+31万円+1万円=53万円」です。

このケースでは奥さん自身に所得税・住民税は発生しません(注・住まいの地域によっては若干の住民税がかかる可能性があります)。
奥さんの給料が「年間 100万円(地域によっては93万円~)」を超えると、奥さん自身に住民税がかかってきます。「年間103万円」を超えると所得税もかかります。
 

【結論】給料を支給しない場合とする場合の税金のちがい

ここで比較のために、給料を支給しない場合とする場合の《税金計算》を再掲します。

両者のちがいは「青字」の部分です。見比べてみましょう ↓

《給料を支給しない場合》

  • 所得税 ・・・(400万円 - 配偶者控除 38万円)× 税率 = 約 30万円
  • 住民税 ・・・(400万円 - 配偶者控除 33万円)× 税率 = 約 37万円
  • 事業税 ・・・(400万円 - 事業主控除 290万円)× 税率 = 約 6万円

《給料を支給する場合》

  • 所得税 ・・・(400万円 - 給料 96万円)× 税率 = 約 21万円
  • 住民税 ・・・(400万円 - 給料 96万円)× 税率 = 約 31万円
  • 事業税 ・・・(400万円 - 給料 96万円 - 事業主控除 290万円)× 税率 = 約 1万円

どうでしょう、違いはわかりましたか? 違いの「青字」部分をまとめると、

給料を支給しない場合は、「配偶者控除 38万円」をマイナスして税金計算。給料を支給する場合は、「配偶者控除 38万円」は無しで、代わりに「給料」をマイナスして税金計算。

「配偶者控除」か「給料」のどちらかですよ、ということになります。

ちなみに、「配偶者控除」は定額(所得税 38万円、住民税 33万円、事業税 無し)です。いっぽうで、給料は支給金額に応じて変動します。

つまり、「(奥さんに払う給料 - 配偶者控除)× 税率」分だけ、給料を支給する方が、A氏の税金は少なくなるのです。

事例のケースでは、その金額差異が約20万円だったわけで。奥さんがA氏の仕事を手伝っているのであれば、給料を支給した方が20万円もオトクだよね。というお話でした。

 

フリーランスが家族に給料を支給するときの注意点

続いて、家族に給料を支給しようというときの注意点について見ていきます。

家族に支払う給料は、原則、給料にできない

突然ですが。実は、家族(正確には、生計を一にする親族)への給料は経費にできないことになっています。

家族への給料は、原則、経費ではない。それが税法の考え方です。

なぜなら、家族の給料を無条件に経費にできる、とすると。「お手盛り」が横行するからです。好きなだけ経費にしよう、というお手盛り。

赤の他人に対してはそういうことがないでしょうから、他人への給料はすべて経費でOKという違いがあります。

例外として青色事業専従者への給料はOK

では、さきほどの給料を支給する事例はいったいなんだったのか? ということになりますが、話には続きがあります。

家族への給料は、原則、経費ではない、としながらも。

例外的に、青色事業専従者への給料は経費にすることができる、と税法では定められているのです。

「青色事業専従者への給料」とは、青色申告者が支給する一定の要件を満たした給料のことを言います。一定の要件とは、次のとおりです ↓

  1. 青色事業専従者に支給した給料であること
  2. その給料の金額が妥当であること
  3. 青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出していること
  4. 上記届出書に記載した金額の範囲内で給料を支給していること

上記の要件について、以下補足します。

青色事業専従者に支給した給料であること

青色事業専従者とは、次の要件を満たした青色申告者と生計を一にする家族(平たく言うと、同居する家族)のことを言います。

  • その年の12月31日現在で15歳以上
  • その年を1/2を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事している

「専ら従事」とは、文字どおりであり。他に仕事がある、あるいは学生である(学業が本分)というような場合には専ら従事とは言えません。

じゃあ、パートタイマー程度であればどうなんだ? という点については、ケースバイケース。判断が分かれる部分でもありますのでご注意を。

その給料の金額が妥当であること

さきほど「お手盛り」の話をしました。ゆえに、金額に妥当性があることがポイントになります。

業務に関する資格の有無、職歴等。いわゆる世間相場と大きな差異がないように考慮する必要があります。

これについて誤解を恐れずに言うのであれば、「同じ仕事を他人に任せたときに、同じ給料をしはらうことができるか」という基準です。

身内に対してはとかく甘くなりがち、多めに支払いがちになるのですから。赤の他人であったらどうなのか? と置き換えて考えてみることです。

青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出していること

青色事業専従者に支給する給料を経費にするためには、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を提出しなければいけません。

提出期限は、給料を支給しはじめようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合には、開業日から2か月以内)であることに注意しましょう。

ただし、たとえば、別の会社で勤務していた奥さんが年の途中で退職し、青色事業専従者になるなど「相当の理由」がある場合には別。

その青色事業専従者になる日から2か月以内に届出書を提出すればよいこととされています。

上記届出書に記載した金額の範囲内で給料を支給していること

上述した「青色事業専従者給与に関する届出書」には、「給料・賞与」の支給時期・金額を記載します。

記載した支給時期に、記載した金額の範囲内で支給した給料・賞与だけが経費として認められというルールです。

給料の増額など変更がある場合には、「青色事業専従者給与に関する変更届出手続」をしなければいけないことにも注意しましょう。

白色申告者は、上限が決まっている

ところで、青色ではなく白色申告者の場合。家族の給料で経費にできる金額の上限が決まっています。

配偶者の場合には86万円、他の親族の場合には50万円。これ以上は経費にできません。

要件を満たせば上限が無い青色申告者とは、ベツモノであることを覚えておきましょう。

 

まとめに代えて フリーランスだって家族への給料を検討する

記事中の事例では、奥さんに支給する給与は「月額 8万円」でした。結果、給料を支給するかしないかで20万円もの税金に違いがありました。

「ウチはちょっとしか手伝ってもらっていないしな」と給料の支給を怠ると、税金で損をするかもしれないということです。

いくらの給料を家族に支給するかはケースバイケースですが。フリーランスであっても、ぜひ次の2点を検討するようにしましょう ↓

  • 他人であればお給料を払うくらい、家族が仕事を手伝っているかどうか?
  • 手伝っているのであれば、給料を支給すれば税金はいくら少なくなるのか?

 

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。
フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!