『グレーゾーンもどんどん経費にしよう』にちょっと待て

グレーゾーンと経費

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ダメで元々、グレーゾーンもどんどん経費にしよう!

って、それ。あなたにかかるストレスと手間を考えたうえでのことですか?

ストレスと手間を負うのはあなた

事業者であれば、おカネの支払いについては「できるだけ経費にしたい」と考える人が多いことでしょう。

この点で、世の中には次のような考え方があります。

  • グレーゾーンの支払いもどんどん経費にしよう
  • ダメで元々、税務署からダメだと言われたら、そのときにあきらめればいい(はじめから経費にしない、なんて損)

これらの考え方は、一部の税理士が書籍や講演などで私見を述べたことがおそらくのはじまりでしょう。

税金や税務署のことがよくわからないフツーの人が、「グレーゾーンもどんどんOK」などとは言わないはず。というか、言えないはずですから。

専門家である税理士の「OK」という言葉を都合よく受け取り、世間に広まった。というところではないかと推測します。

そのような背景を踏まえたうえで、ここからがきょうの本題。

【 グレーゾーンをどんどん経費にするときの現実 】

  • グレーゾーンの支払いもどんどん経費にするには手間とストレスを負う
  • そのストレスと手間を負うのは経費を計上する本人・会社(税理士ではない!)

「グレーゾーンの経費もどんどん経費にしよう」の正否を論じるつもりはありません。そもそもそこに正否はなく、考え方の違いがあるだけです。どっちでもいい。

ただ、グレーゾーンで勝負することを選ぶなら。上述したような「現実」があることをお忘れなく。

「税務署との交渉」という勝負の場に立つのは、当事者である「あなた」です。書籍や講演の場で他人事として語る「税理士」ではありません。

顧問税理士がいるのであれば助けを期待できますが、それでも交渉に伴うあなたのストレスと手間をゼロにはできないはずです。

交渉(税務調査)が長引く、調査官からの質問に応答する、説得すための資料をつくる・・・ というストレスや手間。

「グレーゾーンの経費もどんどん経費にしよう」という考え方をあまりカンタンに受け入れすぎないように、というのがポイントです。

 

グレーゾーンは黒を白にする場所ではない

そうかぁ、グレーゾーンを経費にするのもたいへんなんだね。でも、やっぱり経費は多いほうがいいよね。

そのとおりです。気持ちはよくわかります。

ところが、その「経費は多いほうがいい」という思いのあまり、グレーゾーンが誤解を受けているというお話をいたします。

グレーゾーンに関するよくある誤解

その誤解とは、「グレーゾーンでは黒も白にできる」というもの。

ここで言う「黒」とは、端的に言うと「脱税的なこと」です。それを「白」にする、すなわち、脱税的なこともOKにできるという誤解。

グレーゾーンとは文字どおり、「グレー」の部分を扱うべき場所です。黒かな白かな、ビミョーだよね。そういう部分を扱うのがグレーゾーンです。

繰り返しになりますが、明らかに黒いものは黒なのであって黒でしかない。そもそもグレーゾーンの範囲ではない。ここを誤解している人は意外と多いのです。

  • 家族でした食事代も経費にできないかな
  • 家族旅行の費用を経費にできないかな
  • 個人的趣味で買った家電を経費にできないかな など

これらはグレーゾーンではありません。黒です。グレーゾーンの余地がありません。

「グレーゾーンも経費にしよう」という話をするときに、「黒」を持ち出す人がいますが。それはそもそも間違いだ、ということをここで確認しておきます。

グレーゾーンの正体

さきほど「黒」の事例をいくつか挙げました。そこで、黒か否かの判断基準はどこにあるのか、ということについても触れておきましょう。

税法の考え方によれば、経費にできるのは「仕事(業務)に関係のあるもの」とされています。仕事に関するものあるかどうかが判断基準。シンプルです。

ところが実際には、そこをめぐって税務署と納税者との対立が起こりえます。

納税者は「仕事に関係がある」と言うし、税務署は「それは仕事と関係がないだろう」と言う。納税者は「白」を主張し、税務署は「黒」を主張する。解釈の違いによる平行線。

ここがグレーゾーンの正体です。納税者の「白」と税務署の「黒」が混じって「グレー」。

そういう意味では、多くの経費がグレーゾーンに該当すると言ってよいでしょう。それぞれの経費ひとつひとつにまで、税法による事細かな定めなどないからです。

たとえば。経営者が自分の身体をケアするために針灸を受ける費用についてはどうでしょう。

経営者は「経営者自身が会社の最大・最重要の資源であり、その機能を維持するための費用は当然に経費だ」と主張する。税務署は「針灸は個人的な費用だ」と反論する。

一般的には税務署の言い分が多勢ではありますが一般論でしかなく、経営者の言っていることが事実であれば「黒」ではない。税法に針灸費用がどうこうの具体的な定めもない。よってグレーです。

あとは経営者(納税者)が、税務署を説得できるかどうか。説得できるだけの合理的なストーリー、裏付け資料等を準備できるかどうか。

多勢である一般論(針灸は個人的な費用)が存在する以上、説得には困難を伴います。この説得の難易度に応じて、ストレスと手間が生じることになるわけです。

グレーゾーンの難易度

さいごに。グレーゾーンについて税務署を説得するにあたり、その難易度をどのように考えればよいのかに触れておくことにします。

ここまでのお話でわかるように、難易度が高ければ高いほど、税務署に対する説得は難航し、説得をする側(納税者)のストレスと手間が積もることになります。

よって、説得をする側が、どこまでのストレスと手間を許容できるかが、チャレンジするグレーゾーンの難易度を決めることになります。

ストレスと手間を覚悟して積極的にグレーゾーンでの経費計上を試みるという姿勢もあれば、あまり無理せず難易度の高いグレーゾーンは見送る、という選択肢もあるわけです。

ゆえに、グレーゾーンにどこまでチャレンジするかの判断材料として、グレーゾーンの難易度は理解しておきたいところでしょう。

ここで、さきほどの針灸の事例のように一般論に照らしたり、過去の裁判例に照らすという方法もありますが。税理士でもないのに、過去の裁判例にあたるのも難儀です。

そこで目安として。次のようなことを自問自答されることを提案します。

【グレーゾーンの難易度をはかる自問自答 】

  • 他人が同じことをしていても許せるか、違和感はないか?
  • 仕事に関する「割合」が小さすぎないか?

まず、同じことを他人がしていても許せるか。つまり、自分が経費にしようとしていることを、他人がやろうとしていた場合に納得できるかどうか、ということ。

ヒトは自分のこととなると甘くなりがちですから、他人に置き換えて考えてみるのはひとつの方法です。

そのうえで、許せないかも、違和感があるかも、ということであれば。難易度としては高い、ということを認識することになります。

そしてもうひとつ。仕事に関する「割合」が小さすぎないか。たとえばプライベートと仕事を兼ねた旅行について。

観光 9割、視察 1割で、旅行費用の1割を経費にしようと考える場合。そもそもの目的はプライベートなんだよね、だから1割部分も含めて経費にはならない、という税務署からの指摘がありえます。

これが、観光 1割、視察 9割と逆であれば、税務署からの指摘がおこる確率は格段に減るでしょう。グレーゾーンの難易度としては低い、ということです。

難易度が高いほど、対税務署という面でのストレスと手間は増えるのですから、上記の目安を参考にグレーゾーンをどこまでチャレンジするかの姿勢を決めましょう。

冒頭の繰り返しになりますが、ストレスと手間を負うのはあなた自身です。他人ではありません。

 

まとめ

『グレーゾーンもどんどん経費にしよう』はちょっと待て、ということについてお話をしてきました。

ところで。税務調査なんてそうそう来ないから、経費はどんどん入れて大丈夫。という話を見聞きします。しかし、それはただの確率論です。

もし税務調査の確率は100社に5社くらいと言われても、あなたにとってみればゼロか100かでしかありません。

税務署が来るときは来るのですから、確率論に意味はなく。また、税務署がいつ来るのかは誰にもわからない。

ゆえに、税務調査はいつか来るものとして準備をするのが正解です。自らが攻めるグレーゾーンについても調査があるものとして考えておきましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!