他行について銀行から聞かれる。他行について銀行に話す。でも、これは言ってもイイのかな? 言ったらダメなのかな…?
というわけで。他行について言ってもイイこと・言ったらダメなことをまとめます。
他行が気になる銀行になにを言うか、言わないか?
会社・事業における銀行融資について。
銀行との「付き合いかた」がわからない… と言う社長・個人事業者は少なくありません。
そんな銀行との付き合いかたのなかから、「他行」のことを取り上げてみます。
他行とは、「他の取引銀行」を指します。たとえば、A銀行から見たときのB銀行が「他行」です。
銀行業界は良くも悪くも「横並び」。銀行は常に他行を気にしています。
あなたとお付き合いをしているA銀行は、やはりあなたとお付き合いをしているB銀行のことを気にしているのです。
したがって、他行について聞かれることもあるでしょう。また、あえてこちらから他行について話す機会もあるでしょう(ないのなら話す機会をつくりましょう)。
そのときに、「これは言ってもイイのかな? 言ったらダメなのかな?」と悩んでしまう…
そこで。他行について言ってもイイこと・言ったらダメなことをまとめます ↓
- 他行の融資条件
- 他行からの良い提案
- 他行で借りる
- 他行に断られた
- 他行で借り換え
- 他行の悪口
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
他行について銀行に言ってもイイこと
他行の融資条件
融資金額、返済期間、金利、担保・保証など。いわゆる融資条件については、言ってもイイことです。
たとえば。A銀行に対して、「ウチはB銀行やC銀行から、このような条件で融資を受けていますよ」と話をする。
これによって、A銀行には「競争意識」が働きます。B銀行やC銀行には負けないぞ! ということで、借り手にとって 「より良い条件」での融資提案が期待できる。
ゆえに、他行の融資条件は言ってもイイ。というか、言ったほうがイイのです。
そもそも、じぶん自身が融資の状況を把握するためにも、融資条件は一覧表にまとめておくようにしましょう ↓
その一覧表を銀行に見せながら、話をするのがスムーズです。
他行の金利は見せないほうがイイ、との話もあります。他行と「高い金利で横並び」にそろえられてしまうから、というのがその理由です。たしかに一理あります。
けれども、自社の業績や将来性がじゅうぶんであり、かつ、妥当な金利を理解してさえいれば、高い金利で横並びにされてしまうことはないはずです。
自社の業績や将来性を高めつつ、他行の融資条件は積極的に開示することをおすすめします。
他行からの良い提案
たとえば、A銀行から「B銀行よりも良い条件」での融資を提案された。これは、B銀行に言ってもイイことです。
話を聞いたB銀行は、「それだけの良い条件をもらえるほど良い会社なのか」と考えます。また、「それならA銀行には負けられないぞ!」とも考えます。
結果として、A銀行よりもさらに良い条件での融資提案を受けることができるかもしれません。
ポイントとしては、あまり挑戦的な言い方はしないことです。B銀行に向かって「ほらほら、A銀行で借りちゃうぞ」みたいな態度はとらない、ということです。
言われたほうは当然、気分が悪いですよね。銀行との関係性が悪くなるきっかけになりえます。
ですから、「A銀行からこんなハナシがあるんだよね」と、あくまで情報提供の位置づけで話をするのがよいでしょう。
B銀行にその気があれば自然と提案があるものです。逆にノーリアクションであれば、B銀行にとって「他行にとられてもかまわないお客さま」と見られていれるとの見極めにもなります。
他行で借りる
他行で借りる、って言いづらい… という話を聞くことがありますが、問題ありません。
A銀行に対して、「今回はB銀行から借りる」とか、「あたらしくC銀行ともお付き合いをはじめたから」というのは言ってもイイことです。
なぜなら、資金の調達先を確保するために、複数の取引銀行を持つのは当然のこと。
また、銀行にとっても、リスク分散というメリットがあります。万一、回収不能になった際、複数の銀行で融資を受けているほうが損失額は少なくて済むからです。
なお、急いでいる場合などに、A銀行とB銀行に同時に融資を申し込むのもOKです(設備資金の借入、信用保証協会付き融資は除く)。
ただし、同時申し込みであること、融資OKであれば両方から借りること、は事前に銀行へ伝えるようにしましょう。
あとから言うのでは隠しごとのようになってしまいますし、どちらかからしか借りないというのでは銀行もやる気が出ませんから。
他行について銀行に言ったらダメなこと
他行に断られた
A銀行に融資の申し込みをするときに、「B銀行から断られたので」というのは言ったらダメなことです。
そんなことを聞いたA銀行は、「B銀行が貸さないのは、危ない会社だからか…? だったらウチも貸さない」と考えるからです。
他が貸すならウチも貸す。他が引くならウチも引く。それが銀行です。銀行が引くような「悪い情報」はオープンにしないようにしましょう。
もしもA銀行から、「なぜB銀行から借りないのですか?」と聞かれたら。「資金調達先は分散させるようにしていて、今回はA銀行さんから借りたいんです」などと言うのがよいでしょう。
この点で。あたらしくお付き合いをはじめようとするときにも、同じようなことを聞かれます。なぜウチの銀行を選ばれたのですか?
他の銀行から断られたから来たのではないか、と疑っているのです。「資金調達先を増やしたいから」「会社から近いから」「税理士から勧められたから」などと回答しましょう。
他行で借り換え
A銀行からの既存の借入について、B銀行からの新規融資で完済する。いわゆる「借り換え」。
そのほうが金利が下がる、毎月の返済額が減る、などのメリットが見込まれることから、借り換え自体はひとつの手段であって問題はありません。
ただし。借り換えをされるA銀行にとっては大問題です。なぜなら、だいじなお客さまをとられてしまうから。
また、これまで融資をしてきたA銀行にとって、借り換えは「裏切り行為」です。借り換えをするのであれば、A銀行との関係悪化、あるいは関係断絶を覚悟しなければいけません。
したがって、覚悟ができていないのであれば、「他行での借り換え」は言ったらダメだ、と理解をしておきましょう。
ときおり、他行での借り換えを「過度」にチラつかせる銀行交渉を見聞きします。フンイキとしては、「ほーら、B銀行で借り換えちゃうぞ。だからもっとイイ条件を出しなさい」みたいな。
そんなことを言われたら、もはや信頼関係もなにもありません。安定した資金調達には、銀行との信頼関係が欠かせません。気をつけましょう。
他行の悪口
A銀行の担当者に、「B銀行の担当者はほんとヒドくって…」のような話をする。つまり、他行の悪口は言ってはダメなことです。
ヒドいのは事実かもしれませんが、悪口は悪口です。そんな他人の悪口ばかりを言うのは、経営者の資質・適性などからしてどうなのか? ということになりかねません。
銀行には「人を見て貸せ」の言葉があります。他人の悪口を言うような人におカネは貸したくないなぁ、と思われないように注意が必要です。
また、悪口を聞いた銀行は、「ウチもまた悪口を言われているのかなぁ」とイヤな気持ちにもなることでしょう。
さきほどの例で言えば、A銀行の担当者は「わたしの悪口をB銀行(の担当者)に言われているのかなぁ」ということです。
銀行(員)との信頼関係にかかわるところですから、悪口に聞こえるような話はしないようにしましょう。
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まとめ
「他行」について銀行に言ってもイイこと・言ったらダメなこと、のお話をしてきました。
他行を気にするのが銀行。したがって、他行について聞かれることもあるでしょう。また、あえてこちらから他行について話す機会もあるでしょう。
そのときに、「これは言ってもイイのかな? 言ったらダメなのかな?」と悩んでしまわぬように。言ってもイイこと、ダメなことを押さえておきましょう。
- 他行の融資条件
- 他行からの良い提案
- 他行で借りる、他行でも借りる
- 他行に断られた
- 他行で借り換え
- 他行の悪口