東京ディズニーリゾートの「質」はほんとうに低下したのか? 真偽ではなく「質」に迫る

不満

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テーマパークの王者「東京ディズニーリゾート(以下、TDR)」に翳り?質の低下と入園料の値上げとが相まって、TDRに悪評判が広がっているらしい・・・

「なに?質の低下とな?」TDRファンとしてはもちろんですが、ひとりのビジネスパーソンとしても聞き捨てならないこの問題。

1. ニュースから学ぶ、「質」の正体

先日、「東京ディズニーリゾート 料金値上げ以降、批判の声が続々」とのニュースを目にしました。「批判の声」と聞いて、はじめに思い浮かべたことは「満足度」という言葉でした。

顧客満足度の公式

はじめにお断りしておきます。
上述のニュースについて、「あのアトラクションのあのシーンがどうだ」とか、「なんとかキャストのあそこがどうだ」とかいう話をしたいわけではありません。

もっとも、わたしはTDRのリピーターではありますが、「内部関係者」でも「フリーク」や「マニア」でもないので話したくても話せませんが。

よって、ニュースが報じた「事の真偽」を追求しようというのではありません。あくまで、ニュースの全体観をとらえ、あらゆるビジネスパーソンに活かせるであろう本質に迫ろうというお話です。

「純粋なディズニーネタ」をご希望の方は申し訳ありませんが、ここでお引き取りいただくのがよろしいかと存じます。

と、前置きはこれくらいにしまして。

顧客満足度について、こんな「公式」を見聞きしたことはないでしょうか?

顧客満足度 = 実体験による評価 - 事前の期待

細部の表現は多少異なるかもしれませんがそんな感じの式です。要は事前の期待を実体験が上回った分だけ「顧客満足度」は高く評価されるということ。

ニュースで「批判の声」という言葉から、わたしが連想したのがこの公式でした。

「批判の声」を「満足度の低下」ととらえるならば、こうの公式から、TDRではなにが起きていると推測されるでしょうか?

推測1 事前の期待値が高まりすぎた
推測2 実体験を支える実際のサービスなり商品なりの質が低下した

推測されるのは、この2つです。

推測1「事前の期待値が高まりすぎた」

いまさら言うまでもないことですが、わたしたちが入手できる情報量は一昔前とは比べ物になりません。

インターネット環境、SNSの普及により、「より簡単に、ほとんどコストを気にせず」情報をとることができます。場合によっては、こちらが欲しいと考えていない情報でさえ。

結果、TDRに限らず、一般に「事前の期待」は高まりやすい環境にあると言えます。WEBサイトやSNSの活用などにより、情報は顧客により届きやすくなっているからです。

業種・業態にもよりますが、このあたりのPR活動は熾烈を極めるところがあります。競合に後れをとれば、新規顧客の取り込みを逃すことにもなりかねません。

これを違う一面から見ると、熾烈な「PR」により、「事前の期待」は高まるところまで高まっているとも考えられます。

つまり、実体験の前に、顧客の期待はピークに達しているわけです。これはサービス・商品提供者にとっては、満足度獲得の敷居が非常に上がったということでもあります。

拙いたとえばバナシをするのであれば、ウマいと評判のラーメン屋さんの長蛇の列に並び、苦労の末に口にしたラーメンは「そうでもない」という話。

サービス・商品提供者からすると、PR活動による情報の届く範囲が広がった半面・・・良し悪しといったところでジレンマです。

ジレンマだからといって、競合の動きを考えればPR活動を落とすわけにもいきません。「そういうものだ」という傾向として認識しておくしかないでしょう。

わかりきったことですが、あとは「事前の期待」を超えるサービス・商品提供をするだけです。

余談になりますが、「PR活動による情報の届く範囲が広がった」というのは、悪い情報についても同じこと。

近年、クレーム情報は恐ろしいスピードで伝達し、少なくない企業が窮地に立たされています。インターネットを通じた情報には「良否」含めて、目配りをしておくことも必要でしょう。

悪い情報には「速やかに対応」がキホンです。

推測2「実体験を支える実際のサービスなり商品なりの質が低下した」

ニュースの詳細を読み進めていくと、「東京ディズニーリゾートの公式Facebookには、アトラクションや働くキャストに対し、質の低下を指摘する声が多い」というような記述があります。

実際に、質の低下は現れているということでしょうか。

ただここはケースバイケースといえます。単純に実際のサービス・商品に問題が出てきているのかもしれません。

あるいは推測1の話で、高まりすぎた「事前の期待」に対して、実際のサービス・商品が相対的に見劣りしているということもあるかもしれません。

前者については「あのアトラクションのどこどこがイマイチ」など具体的な指摘事項としての声です。後者はどうかというと「昔にくらべて~な気がする」「混み過ぎていて十分に楽しめない」など感覚値や感情論による声です。

ここで少し考えてみてましょう。前者と後者の声に、サービス・商品の提供者側としてはどう対処していけばよいのでしょうか?

サービスの限界

「具体的な指摘事項としての声」については、内容が妥当であれば、可能な範囲で対処することになるでしょう。ですがそれはまさに「可能」な範囲内での対処です。

可能かどうかという判断の主たるものはヒト・モノ・カネといったリソースを言うことになります。リソースは有限、どんな大企業と言えども範囲に限界はあります。

ヒトを増やしたり、モノのグレードを上げることは「できますが限りがある」、そういうこと。

乱暴なまとめ方ですが、全体として、日本は豊かな国であり、サービス・商品の質は決して低くありません。

戦後の貧しく厳しい環境下を駆け上った時代とは状況が違います。現代の技術革新といえど、「質の伸びしろ」は明らかに小さくなったのではないでしょうか。

そう考えると、「具体的な指摘事項としての声」については「リソースの限界」もさることながら、「質の限界」も問題になります。

企業努力として、限界に挑むことにはなりますが、超えることの難しい壁が存在するのは確かです。

ホスピタリティの可能性

「具体的な指摘事項としての声」の先にある限界について話をしました。その対象はなんだったかというと「サービス・商品そのもの」でした。

もうひとつあった質の低下に対する「感覚値や感情論による声」はどうでしょう。

感覚値や感情論に、サービス・商品提供者が真っ向から挑むのは困難です。さきほどのように「サービス・商品そのもの」には問題がないとすれば、あとは顧客を「説得」するだけ。

提供者による真っ向勝負の説得は、顧客の納得を得られるかわからないリスクを負う行為になります。「ウチのサービス・商品は良いものだ」という一方的なおしつけととられかねないからです。

では、「感覚値や感情論による声」への対処はなにか?それは「顧客それぞれがもつストーリー」だと考えています。

顧客にはそれぞれ、サービス・商品を買う理由や背景があります。細かい背景を追い求めれば、ひとりとして同じものはないはずです。その背景こそが、顧客それぞれの感覚値や感情論の源泉。

サービス・商品とは画一的なもの。いっぽうで、背景は顧客ひとりひとりに異なるものです。

たとえば。ある商品が売れるに際して、顧客がその商品を買う理由は顧客によって異なります。ここで言う「理由」は、「機能面」ではなく「価値」の話です。

同じ機能の商品を買っても、「ああなりたい」「こうしたい」という価値を商品に求める背景は顧客によって異なります。

顧客ひとりひとりの背景を理解したうえで、画一的にながらも限界まで高めたサービス・商品を売る。

これが、感覚値や感情論への対処について「こたえ」だとわたしは考えています。

一言でいうのであれば「ホスピタリティの発揮」。そもそもTDRが掲げるミッションでもあります。

こんなことを言っていると、「理想論だ」「無茶だ」という声が聞こえてきそうです。そうなんです、「無茶」なんです。

しかし、無茶であるがゆえに、伸びしろに限界がありません。無茶でありながらも、物理的なリソースに大きく依存するものでもありません。

無茶だと言って、ゼロをとるか。無茶だと知りながらも100を目指して1を踏み出すか、はサービス・商品の提供者しだい。

やるかやらないかの世界です。

まとめ

以上の話をもって、だからTDRのホスピタリティは低下したんだ、などとは言いません。はじめにお断りしたとおり、ニュースの真偽を目的に話をしてきたわけではありませんので。

あらゆるサービス・商品提供者にとって、ホスピタリティは「質」に対するひとつの「こたえ」だ、それがきょうのお話のポイントです。

わたしは税理士業をしていますが、お客さまの背景を理解することは口で言うほど容易なことではありません。

背景は「あえて聞く」ようなものではありませんし、聞いたからといって必ずしも教えてくれるものでもないでしょう。

どちらかといえば「聞く」よりも「聴く」といった感じでしょうか。お客さまの声なき声、気持ちや心といったものにどこまで近づけるか。

さいごにもうひとつ大事なことは、100%近づけることはないと心得ること。「オレはお客さまのことならすべてわかっている」などというのは不遜だとわたしは思っています。

100%がないから、100%を目指し続けるしかない。

どんな仕事であれ、顧客満足度を求めるすべてのビジネスパーソンにとっての永遠の課題といえそうです。自分にとってのホスピタリティの在り方を考えるきっかけにされてみてはいかがでしょうか。

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  きょうの執筆後記
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昨日は午前中は事務所内で仕事。午後は税理士会の支部総会に出席。
開業して支部を異動して、はじめての「集まり」への参加でした。
天候が悪かったこともありそうですが、出席者は想像以上に少なく、委任状参加を入れても少ないなぁ、という印象。
もともとではありますが、若い人もあまりお見掛けしないし・・・
それはともかく「不真面目な会員」であるわたしとしては、総会はもちろん、日ごろ会務運営を支える役員の方々などには頭が下がるばかりです。

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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!