おカネを払ったのに、経費にならないモノ~前渡金・前払金・前払費用・仮払金

前渡金・前払金・前払費用・仮払金

もうお金を払ったのに、経費にならないモノってな~んだ?

決算での注意点として。お金の支払は済んでいるのに、経費にできないものをまとめてみました。

勘定科目で言うと、前渡金、前払金、前払費用、仮払金。それぞれの違いも含めて確認をしておきましょう。

経費にするにはまだ早い

おカネの支払いまで済んでいるのにもかかわらず。まだ経費にはできない。そんなモノたちについてのお話です。次の4つです。

  1.  前渡金…商品に関する支払い
  2.  前払金…商品以外に関する支払い
  3.  前払費用…サービスに関する支払い
  4.  仮払金…未確定の支払い

 

1.前渡金

まずは「前渡金」から。「まえわたしきん」がそもそもの読み方であり、メジャーです。「ぜんときん」と読まれることもあります。

「ぜんときん」なんて言っていたものですから、「前途金」という表記までみかけるようになりましたが。正しくは「前渡金」です。では、本題。

  • 前渡金とは、商品仕入れる際の前払いです

いわゆる「手付金」とか「内金」と呼ばれるもの。その、会計的な呼称(勘定科目)が「前渡金」です。

ポイントは、支払の対象が「商品」であること。「商品」とは、平たく言うと、売ることを目的に購入したモノです。

たとえば。人気の商品などを仕入れるにあたっては、事前に「手付金」「内金」でモノを押さえておくということがあります。

このとき支払ったおカネは、まだ経費(厳密に言うと「仕入」)にはできません。経費にできるのは、商品を受け取ったときです。

前渡金の段階では、ほんとうに商品を受け取ることができるかは未確定でもあります。言うなれば、おカネを預けているだけの状態。ということで、経費にするにはまだ早い。

ちなみに、前渡金を逆の立場(相手)から見たものが「前受金(まえうけきん)」です。

 

2.前払金

次に「前払金」。「まえばらいきん」と読みます。

実務的には、さきほどの「前渡金」と同じものとして使われていることが多くなっています。いっぽうで、「前払金と前渡金は違うのだ」とする考え方もあります。

いいじゃない、そのミョーなこだわり。ということで、こだわった際の「前払金」について。

  • 前払金とは、商品以外に臨時的なモノ買い入れる際の前払いです

「前渡金」との違いは何かと言うと、買うものの対象が「商品」か「商品以外」か。「商品」であれば「前渡金」、「商品以外」であれば「前払い金」。そういうこと。

「商品以外」ってナンだ?ということですが。たとえば、パソコンとか、クルマとか、工場の機械とか。もっと大きなものでは、土地を買うとか。

そういったモノを買う際の「手付金」や「内金」が、「前払金」です。前渡金同様、モノを受け取るまでは経費にはできません。

土地の手付ともなれば、ドカンと「大きな金額になる」のが前払金の特徴でもありますが。それでも、経費にするにはまだ早い。

 

3.前払費用

続いて「前払費用」です。「まえばらいひよう」と読みます。では、さっそく。

  • 前払費用とは、継続的なサービス受ける際の前払いです

「前渡金」「前払金」との違いは、支払いの対象が「モノ」ではなく「サービス」であること。

もうひとつ、その「サービス」の特徴として、「継続的」なサービスであること。継続的サービスとはつまり、「受け続けているサービス」ということです。

たとえば。保険料、賃借料、地代家賃、利息、会費など。これらについては、支払に対応する期間が経過したときが、経費にできるタイミングです。

したがって、先々の分まで保険料を前払いしても、「先々の分」は経費にできません。「前払費用」としてプール(留保)され、対応する期間を迎えたときに、都度、経費に振り替えます。

ところで、「前払費用」は「資産」です。資産として貸借対照表に計上される勘定科目です。「費用」なのに「資産」?と思われるかもしれませんが、前払費用は資産です。

いまは経費にできない将来の「費用」を、「資産」というカタチで将来に繰り延べる。ちょっとムズカシイお話でした。

ちなみに、前払費用を逆の立場(相手)から見たものが「前受収益(まえうけしゅうえき)」です。

 

4.仮払金

さいごは「仮払金」です。「かりばらいきん」と読みます。

仮払金は、これまで見てきた3つのものとは少々性格が異なります。これまでの3つには、その特徴として「前払い」的要素がありました。

それに対して、仮払金の特徴は「未確定」であること。その仮払金を定義すると、

  • 仮払金とは、顛末が決まっていない支払いの一時的な勘定科目です

つまり、おカネは払ったのだけれど、その後どうなるかわからない。というものが、「とりあえず」的な感覚で「仮払金」として処理されます。

そんなわけで、当然この時点で経費にすることはできません。経費にできるのかどうかは、その後の顛末がはっきりしたときに考えることになります。

たとえば、出張旅費の仮払い。出張に行く前に、とりあえず5万円を出金しておく。この5万円が仮払金です。

出張後、費用を精算したところ、実際には4万円かかりました。このときはじめて、4万円は経費になります。5万円の仮払金から、経費に振り替えます。

残った仮払金1万円は、現金などの勘定科目に戻すことになります。

ところで、仮払金というのは「未確定」であるだけに、傍から見るとなんとも「アヤシゲ」な勘定科目です。月次決算のときは別にしても、最終的な決算書には極力載せないこと。

一般に、仮払金は「粉飾」手段としてよく用いられます。ということで、多額の仮払金については、「この会社、粉飾してない?」と銀行から見られたり。

「使途を明らかにできないようなおカネの支払いがあるんじゃないか?」と税務署からは見られたり。いらぬ疑いはかけられないに越したことはありません。

さきほどの出張旅費などの仮払についても、決算時点では精算しておきましょう。仮払金を決算書に残すような経理は、その「機能不全」を疑われても文句は言えません。

ちなみに、前払費用を逆の立場(相手)から見たものが「仮受金(かりうけきん)」です。

 

まとめ

「お金の支払は済んでいるのに、経費にできないもの」について、4つのモノを見てきました。

  1.  前渡金…商品に関する支払い
  2.  前払金…商品以外に関する支払い
  3.  前払費用…サービスに関する支払い
  4.  仮払金…未確定の支払い

おカネを払ったのに経費にならないなんて、感情的には納得しかねるものですが。

会計・経理のルールとして注意して、確認をするようにしましょう。特に、決算のときには気を付けて。

 

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  きょうの執筆後記
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