スターバックスはなぜフタに触りたくないのか?-フタ対応とブランドロイヤルティ

フタは外していただけますか?

スターバックスにマイタンブラー、マイボトルを持参した際に言われるひとこと。フタは外してくれ、と?

この言葉の真意とは何かを考えていたら、「ブランドロイヤリティ」に行きついた。という話をします。

スタバが「フタ」を触りたくないワケ

スタバ好きなわたしですが。いまはスタバ製ステンレスボトル、いわゆる「マイボトル」を持参しています。そのマイボトルを使い始めた当初、ある疑問にぶつかりました。

フタは外して渡さなければいけないのか?

マイボトルを持って初めてのドリンクオーダー。意気揚々とボトルを差し出しました。

ちなみにこのとき、なんの先入観も予備知識もないわたしは、「フタをしたまま」でボトルを渡しました。

店員さんはコーヒーを注いで戻ってくると、フタはボトルに乗っけただけの状態。こんなカンジです ↓

マイボトル

店員さんは言いました、「フタは閉めていただけますか?」。あ、そう。自分で閉めるのね。なんかよそよそしいじゃない?

そして、その後もしばらく、マイボトルを「フタをしたまま」差し出していたわたし。店員さんの対応には3種類あることに気が付きました。次の3つです。

  1. 「フタは閉めていただけますか?」と、フタも受け取るが閉めてはくれない
  2. 「フタは外していただけますか?」と、そもそもフタを受け取らない
  3. 「フタはお客さまも確認してもらえますか?」と、フタを閉めてくれ、客にも閉まり具合の確認を求める

この3種類が出そろったところで。鈍感なわたしもようやく気が付きました。ボトルやタンブラーの「フタは外して渡す」のが、スタバにとってのベストなんだね、と。

なぜフタを外して欲しいのか?

わたしは単なる「スタバ好き」であって。スタバ内部のことは存じません。ゆえに、店員さんの「フタ対応」が不統一である事情もわかりませんが。

でも、おそらく。フタは外して欲しいんだよね、ということはわかりましたので調査開始。なぜ、フタを外して欲しいんだ?

ということで、想像力とネットを駆使して調査した結果。考えられる「フタを外して欲しい理由」は4つです。

  1.  他の客のフタとの取り違えをしたくないから
  2.  衛生面での問題を避けたいから
  3.  店員がフタを閉めたにもかかわらず、中身が漏れるというトラブルはイヤだから
  4.  フタを開けたり閉めたりするのに手間と時間が惜しいから

以下、それぞれの補足。

フタの取り違え

混雑時などに複数の客のタンブラーやボトルをフタごと預かると、ドリンクを注いでいる際に外していたフタを取り違えてしまう可能性がある。

いろんな形のタンブラーやボトルがあるから、取り違いたくてもなかなかできなそうだけど・・・まぁ、可能性から言えばあるんでしょうね。うん。

衛生上の問題

衛生上の問題ってなんだ? よくわからないけれど、実際の店員さんだかがネットの書き込みにそう書いていたんで。

フタなどが汚れていた場合に触れたくない、ということなのか。逆に。フタや飲み口などを汚してしまいたくない、ということなのか。わかりません。

中身が漏れる

店員さんのフタの閉め方が甘くって。結果、飲み物が漏れてしまう。これは、ありそうな話です。

もともとフタが壊れていたなどの不具合があった場合でも、さいごに閉めたのが店員さんであれば。客からは漏れた責任を追及されかねません。たしかにこれはイヤだわ。

手間と時間

とくに混雑時は、フタの開け閉めの手間と時間は惜しいでしょう。ひとつひとつの手間と時間はわずかであるにせよ、効率化の観点からは「ムダ」であることはわかります。

 

スタバが僕に「フタ」を外させたワケ

かくして、スタバの思惑どおり(?)。わたしはフタを外してから、店員さんにボトルを渡すようになりました。それはなぜか?

スタバの「フタ対応」を2軸に置く

冒頭、スタバの店員さんの「フタ対応」には3種類あると言いました。突然ですが、それらの対応を「責任」と「オペレーション」の2軸に表現してみます。

3種類とは、次の3つでした。

  1. 「フタは閉めていただけますか?」と、フタも受け取るが閉めてはくれない
  2. 「フタは外していただけますか?」と、そもそもフタを受け取らない
  3. 「フタはお客さまも確認してもらえますか?」と、フタを閉めてくれ、客にも閉まり具合の確認を求める
対応の2軸

3種類の対応に見えるスタンス

「3種類の対応」と「2軸の表現」について、説明を加えます。

「フタは外していただけますか?」

フタを預からないし、閉めるのも自分でやってね、というスタンス。フタを預からないのだから、開け閉めというオペレーションも要りません。

結果的に、スタバ側は「フタの取り違え」「衛生上の問題」「中身の漏れ」に関する責任も負わずに済みます。スタバから見れば、オペレーションも責任も放棄できる、いちばんラクなカタチです。

「フタはお客さまも確認してもらえますか?」

フタはわたし(店員さん)がしっかり閉めました。でも、お客さんも念のため確認してね、というスタンス。フタを預かるのでオペレーションに負荷がかかります。

結果的に、スタバ側は「フタの取り違え」「衛生上の問題」「中身の漏れ」に関する責任を負うことになる。スタバから見ると、オペレーションも責任も受容する、いちばん面倒なカタチです。

「フタは閉めていただけますか?」

前2つの対応の真ん中的なスタンスです。フタは一応預かる。でも、閉めるのはお客さん。一部オペレーションを受容し、一部責任を受容します。

そして僕はフタを外す

3種類の対応のうち。「フタはお客さまも確認してもらえますか?」の対応をさいごに受けました。これによりわたしは、オーダー前にフタを外してから渡すようになりました。なぜか?

「オペレーションも責任も受容する」という店員さんのスタンスを見て、そのスタンスに「自分も参加するぞ」という意思を持てたからです。要は、共感したわけです。

他の対応との違いは、スタバ側の前提が「受容」であること。つまり、お客さんに対して「YES」です。フタは預かる、フタは閉める。

いっぽうで、他の対応は前提が「NO」。フタは預からない、フタは閉めない。だからお客さん側は、指示に従うカタチになります。なんか冷たいカンジがするのは、「指示」だからです。

いくら笑顔で丁寧な言葉づかいであろうと、「指示に共感する」のはむずかしいものがあります。

 

リスクの受容がブランドロイヤルティに変わるとき

果たして、3種類の対応のうち。いったいどれが正解なのか。

正解はなんだ?

再度の繰り返しになりますが。わたしはスタバの内部事情を知りません。「フタ対応」について、スタバ的には何が正解なのかを知りません。

だからもしかすると、わたしが共感した対応も、実はスタバ的にはダメなものであって。その店員さんの独断であり、オリジナル対応なのかもしれません。

そうだとしても。わたしは「自らフタを外す」という、スタバ側にとってもっともラクなカタチに落ち着きました。

しかも、指示されて渋々ではなく。スタバの意図に、快く参加する思いで。その「参加する」という姿勢は、スタバへのブランドロイヤルティ向上の典型と言えます。

一時的には、オペレーションと責任を受容する。つまり、リスクを受容することとなった対応でしたが。

長期的にはそのリスクを手放すことができ、さらにはブランドロイヤルティをも高めた、という結果です。

「短期的視野」と「ヒトの感情」

目先の「効率化」や「合理化」を求めるあまり。長期的な視野が欠落することは少なくありません。とくに、効果を測ることが難しい「ヒトの感情」については、視野に入らないことすらあります。

効果の測定はやはり目に見えるものが優先されるものです。だから、効果が見えやすい、効率化・合理化が必要以上に推奨されてしまうことがあります。

そんな効率化・合理化に応じる「ヒトの感情」が、意外にもブランドロイヤルティを痛めているケースがあるのではないか。それが、スタバの「フタ対応」から得られた考察です。

「ヒト」を大切に考えるスタバの精神について、ひとつ言葉を引用しておきます。

私たちはコーヒービジネスを通じて人に奉仕する会社ではない。人を相手にしたビジネスとしてコーヒーを提供しているのだ。

ハワード・ビーハー(元スターバックス役員)

 

まとめ

スタバのマイボトルにはじまり、なんのこっちゃという結論だったかもしれませんが。

あれもダメ、これもダメ。お客さんに対して「NO」の前提が多すぎやしないか、ということを考えました。

「NO」は「NO」のスタンスで構わない。でもそこで、まずは受容してみる。「YES」と言って、それを自分が見せてみる。その結果、共感を得ながら「NO」も貫くことができる。

そんなやり方も、ひとつの方法として。自分の仕事に置き換えて考えてみませんか。

 

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  きょうの執筆後記
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